【立川院】大友義之医師👨‍⚕️夜尿症の本質は「睡眠障害」です。お子さんの自尊心を守る治療を👦👧🧡


【プロフィール】
大友 義之(おおとも・よしゆき)

順天堂大学小児科教授。順天堂大学附属練馬病院小児科・診療科長。1987年、順天堂大学医学部卒業、順天堂大学小児科および関連病院に勤務。スウェーデン・カロリンスカ医科大学・大学院にて博士号取得(尿細管生理学)。2002年、埼玉県立小児医療センター腎臓科・科長。2005年、順天堂大学附属練馬病院の開院にあたり、小児科勤務。2021年より現職。専門は、小児腎臓病、夜尿症、小児リウマチ疾患など。日本小児科学会専門医・代議員、日本腎臓学会専門医・指導医、International Children’s Continence Society理事、日本夜尿症・尿失禁学会理事(元理事長)、日本小児腎臓病学会代議員(前理事)、日本小児リウマチ学会評議員(前理事)ほか。


「おねしょ」の本質は睡眠障害。治療は? 受診の目安は?


おねしょ、つまり「夜尿症」の治療をするにあたって必ず聞かれるのは、「原因は何ですか?」ということです。でも、これがはっきりしていないのです。

夜尿症の本質は、「睡眠障害」です。尿意や失禁によって、普通なら自然に目が覚めるはずが、目が覚めない。それも睡眠が深いせいではなく、浅くて質の悪い睡眠がだらだら続いている。

でも、その根本を解決するよい薬がないので、対症療法的に、おしっこの量や回数を減らす治療をします。

夜尿症の患者さんの7割は、夜寝ている間のおしっこの量が多いことがわかっています。また、5割の患者さんは「過活動膀胱」と言って、おしっこを膀胱に長時間溜めていられない。それらを抑える薬を使います。

実際、その2つを使っていくうちに良くなっていく子が多いのです。ちゃんと出ていなかったホルモンが出るようになったりして、薬がいらなくなってきます。

小学校1年生までに治っていなかったら、受診してみてください。夜尿症は、「5歳以上の子どもが、月に1回以上の頻度で、夜間の睡眠中に無意識に排尿してしまう状態が3ヶ月以上続くもの」と定義されます。

また、日中お漏らしをしてしまう子の場合、ADHDが潜んでいることが多くあります。ADHDの子は過集中(1つのことに没頭しすぎてしまう)という特性があり、尿意に気づいた時には遅い。ADHDの治療を始めたら、おねしょやお漏らしも治り、成績まで上がった、という子は少なくありません。


「夜尿症の診療は自分のライフワークです!」


振り返れば医師を志したのは、父が脳神経外科医だった影響でしょうか、ごく自然な流れでした。その中で小児科を選んだのは、医学部6年生の実習の頃です。小学生の頃は「小学校の先生になりたい」と思っていたので、子どもと関わる小児科という選択も必然だったのかもしれません。

医師1年目は、小児白血病の患者さんと向き合う日々でした。ただ、当時はまだ骨髄移植もままならない時代で、次々と子供たちが亡くなっていく現実を目の当たりにして、精神的にも追い詰められました。

そんな時、先輩に声をかけてもらった縁で、スウェーデン・カロリンスカ医科大学・大学院で腎臓について学び、博士号を取得しました。学位取得後は、埼玉県立小児医療センター腎臓科・科長として、透析など重い腎臓病のお子さんたちの治療に従事しました。

当時、病院長だった赤司俊二先生は日本の夜尿症診療のレジェンドで、私は基礎から実践まで徹底指導を受けました。2005年の順天堂大学練馬病院の開院時には小児科の設立メンバーとして参画、夜尿症外来を立ち上げることとなりました。

その後、日本夜尿症・尿失禁学会の理事長も任期満了まで務めました。今では「日本で今一番、夜尿症の診療ができる人間は自分だ」という自負を持って、ライフワークとして日々診療に臨んでいます。


メンタルとの関係は? お子さんの自尊心を守るために


さて、お子さんによっては、小さい頃におねしょを卒業したはずが、小学校低学年で急に再びおねしょが始まるケース(ニ次性夜尿症)もあります。そのほとんどは、メンタルが原因です。

ごく稀に、脳腫瘍でホルモンが適切に分泌されない場合や、糖尿病を発症して多飲多尿になっている場合、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が隠れている場合など、内科疾患が原因の場合もあります。でも、本当にごく一部です。

正直なことを言うと、20年以上前、夜尿症に関わり始めた当初は、「おねしょなんて重い病気ではない」と軽い考えでいたのです。かつて白血病で亡くなるお子さんたちをたくさん目にしてきていましたから。

しかし、おねしょは直接命には関わらなくても、メンタルに影響します。自尊心が下がってしまう。その子の生活、もっと言えば人生に関わるかもしれない。

家庭の事情がメンタルに及んでいるお子さんもいます。でも、おねしょがあれば、さらにメンタルを蝕んでしまう。まずおねしょを治して、QOLを上げてあげることが大事です。

だからお子さん一人ひとりに向き合い、心とからだ、様々な原因を想定しながら、その子にあったアプローチをご家族と一緒に探っていきます。

「夜尿症は小児科医に必要なもの全てがつまっている」

と言われます。夜尿症の診療には、小児の総合診療医である小児科医の能力を全て出し切る必要がある、という意味です。私もそう思っています。






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