本日、TBS系列「ひるおび!」に当会理事長の久住医師が出演し、「夏型過敏性肺炎」について症状と対策を解説しました。これからの時期が要注意。ぜひポイントをチェックしてください!
【まとめ】
☆「夏型過敏性肺炎」って何? 初期症状は風邪に似ています。でも悪化すれば命の危険も・・・。
☆もっとも多いのが、30~50歳の主婦。外出時の方が体調がいい? 入院するだけで治り、帰宅するとぶり返す?
☆実はエアコンだけではないカビ発生源。ますますカビが元気になるこれからの時期に備え、チェックすべき家庭内の4大発生場所とは?
家の中で発生したカビ、肺の奥まで吸い込んでいるかも!
先日、エアコンのつけっぱなしが原因で「咳ぜん息」を発症する人が増えている、という記事をアップしました(こちら)。その際に原因として紹介したのが、温度差と、カビなどのハウスダスト。
前者は、暑い外気に曝されていた気道が、空調の利いた室内に入ってきて急激に冷やされ、温度差が刺激となってしまう場合。一方、後者は、エアコン内部で繁殖し、風と共に排出されたカビなどの異物が気道に入り、それを体から追い出そうとする、いわゆるハウスダストアレルギーの一症状として咳が止まらなくなってしまう、とご説明しました。
今回は特に、この後者に関して、実は肺炎が起きているかもしれない、という話。
その名も、「夏型過敏性肺炎」です。
一言で言えば、夏の高温多湿環境で部屋に発生したカビの胞子を吸いこみ、それが肺の奥でアレルギー反応を起こして肺炎を引き起こすもの。
これについて本日、TBS「ひるおび!」にナビタスクリニック理事長の久住英二医師が出演し、解説しました。以下にポイントをまとめますので、心当たりのある方も、用心したい方も、ぜひチェックしておいてください。ただの咳だと思って放っておくとキケン。これからもシーズンは続きますよ!
エアコン内部はカビのパラダイス。1カ月前に掃除した、はキケン。
夏型過敏性肺炎の主な症状は、以下の通り。
●咳
●倦怠感
●微熱
●息切れ
要するに、初期は夏風邪のような症状、ということ。ただし悪化すると、少し動いただけで息切れしたり、眠れないほど呼吸が苦しくなったりします。慢性化すると肺の機能が低下し、最悪の場合は死に至る危険性も!
原因となるのは、「トリコスポロン」という白カビ。毎年6~10月頃に胞子をつくって飛散させます。大きさは、約3マイクロメートル。ピンと来ないかもしれませんが、直径で言えばスギ花粉の何分の1、というレベル。よく警戒される「PM2.5」が直径2.5マイクロメートルの粒子ですから、ほぼそれに近いものがありますね。その小ささですから、深く吸い込むと、そのまま肺の奥まで入り込んでしまう可能性があるのです。
カビの発生条件は、温度20~35℃、湿度60%以上で、栄養源となる汚れがあること。特に、この白カビの大好物が、ホコリや人のアカ、フケ。ですから汚れが溜まったまま放置されている場所が、夏になって高温多湿になれば、カビはどんどん好き勝手に繁殖していきます。
その代表格とも言えるのが、エアコン内部です。とくにフィルターはホコリを捉えるためにある部分ですから、すぐに汚れが溜まります。1カ月前に掃除したばかり、と思っても、その1カ月で目も当てられない状態になっているかも、ということ。
もっとも多いのが、30~50歳の主婦! 家にいると調子が悪い?
実は、患者の中心は、30~50歳の主婦。家にいる時間が長く、エアコンを我慢する世代でもないからでしょうか?(高齢者の方、それでもエアコンは使ってくださいね。熱中症で命を落としては仕方ありません)
特徴として見られるのが、家にいる間は咳が出て調子が悪い、でも外出中は不思議と体調が良くなる、というパターン。
ですから、この病気で入院すると、入院しているだけで勝手に良くなってくる人が多いそうです。というのも、特効薬はないのです。要するに、日々のカビ攻撃から避難できれば、免疫力が次第に盛り返してくるんですね。ところが、帰宅するとまた肺炎に逆戻り。病気の元凶に飛び込んでいくのですから無理もありません。
実はエアコンだけじゃなかった! 家中にカビは潜んでいます。
さて、ここまで「エアコン咳」の延長上にある話、と思っていた方、実は夏型過敏性肺炎は、エアコンのカビだけが原因ではありません。カビの温床は家の中のそこかしこにあって、知らないうちに肺炎の原因になっているかもしれないのです。
家庭内4大カビ発生ポイントは、
●エアコン
●洗濯機
●浴室・脱衣所
●押し入れ
対策としては、エアコンは月に数回フィルター掃除が必要です。年に数回、ではなくて、月に数回、ですよ! そんなに頻繁に掃除できない、という場合は、毎回、使い始めの10分間は送風に設定して、カビを追い出し、その間は窓を2か所開けて風を通しましょう。
洗濯機もまめに掃除が必要。できれば市販の専用漂白剤(塩素系)で洗濯~すすぎ、排水まで行うとよいでしょう。これも面倒であれば、2つの注意点を押さえましょう。1つは、洋服を洗濯機に入れて溜めないこと。もう1つは、使わない間はフタを空けておき、中が少しでも乾くようにすることです。
浴室・脱衣所は、できれば使用後に毎回、濡れた壁を拭きたいところ。でも、これもなかなか大変ですよね。代わりに、使用後は朝まで換気扇を回しておきましょう。浴室と脱衣所の扉も、それぞれ細く開けて、さらに窓がある場合はそちらも10~20cm開け、風の通り道を作っておきましょう。
押し入れは、換気も悪く、たいてい日中は閉め切ったまま。使った布団を充分日に干さずにそのまましまってしまえば、湿気と熱がこもり、カビが繁殖します。押入れを開けた瞬間にカビの胞子が流れ出てくるイメージです。押入れには是非、すのこを敷き、こまめに換気するようにしましょう。
その他、キッチンなどの水回り(排水溝、スポンジ、蛇口周り、冷蔵庫の野菜室)や、リビング(テレビの裏、カーテン、カーペット、ソファーなど)も、見落としやすいカビの繁殖場所。こまめなお掃除を心がけましょう。
カビは夏、というイメージがあるかもしれませんが、35℃以上の猛暑よりも、むしろ少しずつ過ごしやすくなってくるこれからの時期の方が、繁殖条件に当てはまります。肺炎になったり、大繁殖を発見したりして大慌てする前に、今から、増えやすい場所の清潔を確保しておきましょう!