冬のイメージが強い脳卒中ですが、脳梗塞は6~8月にも患者のピークがあります。熱中症と間違って兆候を見逃さないように!
【まとめ】
☆脳梗塞は、ふらつきやめまい、倦怠感、頭痛、手足のしびれなど、熱中症によく似た初期症状。
☆脳卒中のうち、脳出血やくも膜下出血は冬に増加。脳梗塞は冬だけでなく、脱水を起こしやすい夏にもピークがある。
☆脳梗塞の前兆「一過性脳虚血発作」を見逃さないで!予防にこまめな水分補給を。寝る前と起床時にもコップ1杯。
熱中症とよく似た症状・・・見極めポイントはココ!
この時期、ふらつきやめまい、倦怠感、頭痛、手足のしびれなどを感じた場合、熱中症を疑う人が多いもの。ところがそのまま呼吸困難や歩行困難、言語障害などの症状が出てきて、命に関わる事態に至ることもあるのが、「脳梗塞」です。近ごろでは、「夏血栓」とも呼ばれますね。
脳梗塞は、脳の血管が血の塊(血栓)で詰まり、血液による酸素や栄養の供給をストップされた脳細胞にダメージを受けるもの。障害された部分のコントロール下にある体の各部位は、正常な働きを失ってしまいます。たしかに、ふらつきなど、初期症状は熱中症にも似ています。
ただ、見極めポイントは、感覚異常などの症状がいずれも体の片側半分に現れる、という点です。
これは、左右に分かれた大脳半球が、それぞれ反対側の身体をコントロールしているため。右脳は左半身、左脳は右半身を制御しています。
とはいえ脳機能は非常に複雑なので、実際には障害された脳の領域によって、出現する症状も様々です。
◇手足のしびれ、半身麻痺、歩行困難など
◇ろれつが回らない、言語障害
◇顔半分の麻痺
◇突然一時的に片目が見えなくなる(一過性黒内障)
脳卒中のタイプで季節差あり。脳梗塞は夏も患者が急増!
冬に多いイメージがある脳卒中。実際、脳出血とクモ膜下出血の患者は夏に少なく、冬に多発します。冬は体温を保つため、血管が収縮して熱の放散を抑えます。血管が収縮するので血圧が上昇、血管が破れやすくなるのです。日本家屋のお風呂場は脱衣所が寒くてキケン、という話はよく聞かれますね。
一方、同じ脳卒中でも、脳梗塞は冬だけでなく夏場(6~8月)にも患者が多いのです。夏は大量の汗をかき、脱水状態になりやすいためと見られます。脱水、つまり血液中の水分が不足すれば、いわば“血液ドロドロ”状態となるのは想像に難くないでしょう。
また、夏は体の熱を放出して体温上昇を防ごうと、毛細血管が拡張します。結果、血圧は低下して血流も遅くなり、血液ドロドロに拍車がかかります。こうして血の塊(血栓)ができやすい状態に陥ってしまうのです。
前ぶれを見逃さず! 予防には、水分補給と、朝の起床をゆったりと。
実は、脳梗塞を発症する人の多くには、前ぶれがあったことが分かっています。
◇左右片側の手足に力が入らない
◇顔の片側、体の半身がしびれる
◇片側の目が見えにくい、視野の一部が欠ける、物が二重に見える
◇ろれつが回らない、言葉が出ない
◇めまいがする、ふらついて立てない、歩けない
こうした症状が数分から数十分程度続き、一日程度で治まってしまう、というものです。
これらは「一過性脳虚血発作」と呼ばれ、小さな血栓が一時的に血管を詰まらせたために起きます。この段階で脳梗塞を疑い、一刻も早く脳神経外科で検査してもらえば、最悪の事態は避けられるはず。ところが間もなく収まってしまうので、放置して脳梗塞を発症してしまうことが多いのです。
脳梗塞は、特に睡眠中と、朝の起床から2時間以内に注意が必要です。
就寝中は知らない間に意外と汗をかいているもの。予防には、就寝前と起床後にコップ一杯ずつの水を飲むよう心掛けるとよいと言われています。もちろん日中も、1時間ごとに100ml程度を目安に、こまめな水分補給を心がけましょう。
また、朝の起床時は、体が活動するように脳が指令して、交感神経を活発化させ、血圧が上昇します。血管が収縮するので、血液が流れにくくなったり、血液が固まりやすくなったりして、血栓が出来やすいのです。
対策として、目覚めてすぐに起き上がると交感神経が急激に活性化するので、10分程度は横になったまま布団の中にいて、ゆっくり起きるほうが良いとされています。
もちろん、それ以上に大事なのが、脳梗塞の3大危険因子といわれる高血圧、高血糖、脂質異常の予防と改善。食事内容や運動、喫煙、飲酒など生活習慣を見直し、血液サラサラを目指しましょう!
(参考サイト)