猛暑日~熱帯夜には、24時間の冷房も正解。ただし、効率性を追求したいなら「遮熱」をまず徹底しましょう。
【まとめ】
☆エアコンは夜も必須。除湿より冷房、微風より自動がオススメな理由。
☆でも、エアコンに頼るだけじゃ損! そもそも家を熱くしない「遮熱」が賢い選択。
☆遮熱のポイントは、家の外。特に“窓の外の一工夫”が、家を涼しくします。
増加していく真夏日、熱帯夜。冷房をつけて寝るのはもはや常識。
暑い暑い。日本の夏は、年を追うごとに暑くなっています。気のせいなんかではありません。
気象庁の「気候変動監視レポート2016」によれば、気温35℃以上の猛暑日や25℃以上の熱帯夜は、1931年以来、確実に増加しています。この数年は毎年、5万人超が熱中症で搬送されており、4割近くは住居で発症しています。
そう、一番危険なのは、実は家の中ということ。
特にお年寄りと子供は、体温調節機能が十分に働かず、熱中症にかかりやすいと言えます。
ですから梅雨が明けたら、エアコンは必須。しかも、場合によっては一日中必要ということです。
実際、ちょっと前まで「夜は冷房を切りましょう」と言われていましたが、今は「冷房を付けて寝ましょう」と言われるようになっています。
その際、「除湿」機能を使うより、「冷房」がオススメ。
というのも、最近のエアコンの除湿機能は、「温度を下げずに湿気を取りたい」という人の希望に応えるため、装置内に取り込んだ空気を冷やして水分を取り出した後、わざわざ再び少し温めてから送り出すものもあるからです。それこそ電気の無駄遣いです。
そもそも、家などで使うエアコンの冷房は、暖房よりも電気を食わない、って知っていましたか? 外気から4〜6℃程度下げるだけで、体の負担は極めて軽くなります。その程度の冷房なら、冬に体の負担を軽くなるまで部屋を温めるのに使う暖房に比べて、消費エネルギーはわずか1割ほど(関東の場合)に過ぎません。
また、「微風」設定も、省エネそうに見えて、実は電気を無駄にしています。電気を使って作った冷気を、あえて少ししか活用しないに等しいからです。当然、部屋の温度は下がりにくいので、だらだら運転が続きます。その点、「自動」設定にすれば、設定温度まで一気に冷気を送り込み、部屋が冷えたら出力が下がるようになっているので、ムダがありません。
特に最近のエアコンは技術が進み、自動運転でも冷気が人に直撃しない工夫がされているものもあります。
エアコンだけに頼らない! 「遮熱」でぐっと省エネ、ずっと快適!
ただ、エアコンだけで温度を下げようとするのは、実はとても非効率的。部屋の中が暑くなってしまった後で、その熱を外に逃がすのがエアコンです。入ってきたものを出すのに延々とエネルギーを投入し続けることになります。だったら、そもそも熱が中に入ってこなければよい、と思いませんか?
それが「遮熱」です。
もっと耳慣れている近い言葉に「断熱」がありますね。断熱は、壁などの素材を工夫し、伝わる熱の量をそこで小さくしてしまうもの。夏の暑さ対策というだけでなく、家の内部の熱を逃がさないようにして冬暖かく過ごすための機能という側面が大きいようです。
一方、「遮熱」は、文字通り熱を遮ること。そもそも熱が壁や窓に入り込んで来ないようにカットしてしまうものです。
分かりやすいのが、透明な窓ガラス。暑い日に冷房をきかせて走っている電車を想像してみてください。冷房が入っていても、太陽が差し込んでいる側に座ると、暑いですよね。反対に、陽が差していない側は、窓際でも暑くありません。要するに、透明な窓ガラスには、断熱性はあるけれども遮熱性がないのです。
家でもこれと同じこと。断熱素材が壁や屋根などに入っていても、窓の遮熱を徹底する必要があります。窓が大きく多いほど重要。また、古い家の壁などは、素材や劣化の問題で、断熱性が低いことがありますから、壁にも遮熱が有効になります。
カーテンやブラインドより、窓の外に“よしず”や“グリーンカーテン”を!
だったら、遮光カーテンで太陽光を遮れば、窓対策は十分でしょ、と思うかもしれません。しかし残念ながら、効果は「ないよりいい」という程度。窓の内側にあるブラインドも同じことです。
なぜなら、すでに熱はガラスを通して室内に入ってきてしまっているからです。しかも断熱性の高いガラス窓に遮られ、カーテン等で受け止めた熱は窓の外には出て行きません。結局カーテン周りの空気はどんどん暖かく、熱くなっていくのです。
ですから、遮熱を徹底するなら、かならず窓(壁)の外に対策を施しましょう。
日本には昔から、「よしず」「すだれ」という素晴らしいアイテムがあり、ホームセンターなどで、比較的リーズナブルに入手することができます。
「よしず」は、軒下やベランダの吐き出し窓に立てかけて使います。窓の高さより2、3割長いものが使いやすいようです。「すだれ」は、窓の外に吊るす外掛けを選びましょう。どちらも窓を開けている時に、風を通しつつ目隠しとなってプライバシーを守れるのも便利な点です。
また、近年の流行は、ゴーヤやツタなどの「つる植物」を使ったグリーンカーテン(緑のカーテン)です。よしずと同じように日陰によって断熱・遮熱の効果が得られるだけでなく、葉からの蒸散(水分の放出)による気化熱を利用して建物の温度を下げる効果も期待できます。
エアコンは必須、でもその前の一工夫で、快適さと経済性、両方を追求しましょう!