梅雨から秋はダニの季節。被害を減らすための掃除のポイントと刺された場合の対応をまとめます。
【まとめ】
☆ダニの好む高温多湿の時期に突入! 室内の掃除ポイントを確認して早めの対策を心がけましょう。
☆部屋での被害はツメダニかイエダニが犯人。お腹など服に覆われた場所を刺されたらイエダニの仕業かも。
☆刺された部分が赤くかゆくなるのは、アレルギー反応の一種。 受診したほうがいい? 見極めは?
対策すべきは今! ダニの好む部屋になっていませんか? 実は衣服や髪・肌にもいます。
なんだかかゆい・・・蚊に刺されるはずのない部位に虫刺されが出来ている時、真っ先に疑うのは「ダニ」ではないでしょうか。
実際、ダニの繁殖シーズンは6月から9月。気温20~30℃、湿度60~80%がダニにとっての好環境で、まさに東京の梅雨~秋の気温と湿度に重なります。
(ウェザーニュース)
(気象庁データより編集部にて作成)
室内でダニ被害がよく発生するのは、ベッド、枕、布団などの寝具、そしてカーペット、ソファーなど。対策に大事なのは、掃除の行き届き具合と頻度、そして換気です。以下のポイントをぜひチェックしてみてください。
✅ 布団やベッドマットの両面に掃除機をかけている。
✅ 布団乾燥機を使用している。
✅ シーツやタオルケット、週1回は洗濯している。
✅ 枕元にぬいぐるみを置いていない。(頻繁に洗濯している)
✅ 1週間に2回以上、床に掃除機をかけている。
✅ カーペット、マットレスの下やソファにも掃除機をかける。
✅ 部屋の換気や除湿を頻繁にしている。
✅ ベッドやソファにぬいぐるみは置かない。
生活スタイルによっては、これらを徹底するのは難しいかもしれません。でも、ダニ被害に心当たりがあるなら、実践してみていただくのが一番効果的。これからの時期、ダニはたくさんの卵を産んで、ねずみ算どころではない勢いで増えていきます。対策は早めに、今が大事なのです。
イエダニ(東京都ペストコントロール協会)
ちなみに、ダニは服や髪、肌にもいることが分かっています。殺虫剤メーカーのアース製薬の調査では、対象となった5人全員からダニが検出され、日中着ていた洋服から、なんと148匹もダニが見つかった人や、肌や髪からも10匹以上のダニが検出された人もいたそうです。
お腹など露出していない部分に虫刺されが! イエダニの仕業かもしれません。
自宅でダニの被害にあう場合の多くは、ツメダニかイエダニによるものと考えられます。
ツメダニについては、昨年このブログで取り上げましたので、ぜひご確認ください。
☞過去記事【今がピーク! ツメダニ対策の基本は「刺さないダニ」を減らすこと。】
一方、イエダニは「家(いえ)」という名前がついているものの、本来はネズミに寄生するダニ。大正時代、海外からの物資に紛れて日本に入ってきたクマネズミやドブネズミに寄生していたのが、それらのネズミとともに国内に定着したのです。戦前には日本全国に広がってしまいました。
クマネズミ(東京都ペストコントロール協会)
そうして広がったイエダニは、寄生していたネズミが死んだり、ダニ自体の大繁殖によって新たな居場所やエサが必要になったりした結果、ヒトにも被害を及ぼすことに。屋根裏、天井、床下などネズミの居場所から、夜間に人のいる部屋にまで侵入し、寝具などに潜り込みます。
イエダニは服に被われた皮膚の軟らかい部位を好んで刺します。顔や手など露出している部位を刺すことはほとんどありません。下腹部や腋の下、二の腕の内側、腰、ふとももの内側などで、布団や畳に接した側が特に刺されやすいようです。
イエダニが好んで刺す部位(アース製薬)
ツメダニの被害との違いは、刺される体の部位。ツメダニの場合は、肌が露出した部位を刺すことが多いのです。ただし、対処法や対策はどちらのダニの場合も変わりません。
ツメダニが好んで刺す部位(アース製薬)
これってダニ? 判断の仕方と応急処置は? かゆみや腫れが収まらないなら皮膚科へ。
ダニに刺された場合の大きな特徴が、刺された瞬間や直後にはかゆみが出ず、まして痛みもなく、気づかないことです。そもそも体長0.7mm前後ときわめて小さいので、肉眼で見つけることは困難です。
ダニに刺されることで引き起こされるかゆみは、刺された時に皮膚に入るダニの唾液に対するアレルギー反応。異物の侵入に対抗し、追い出そうという体の働きで、結果として炎症が起きます。体の出す炎症物質によって、刺された部位は赤く腫れ、うっすらと盛り上がり、かゆくなります。
(日本皮膚科学会)
ただ、刺されてから体がアレルギー反応起こし、本人が気づく程度になるまでに、時間がかかるのです。赤く腫れてかゆみが出るまでに1~2日かかるのが普通。厄介なのは、いったんかゆみが出ると数日~1週間ほど続き、収まっても再びかゆみが出ることもあることです。
そもそもダニなどの虫刺されかそうでないか自体、すぐに分からないこともあります。しいて言うなら、例えば湿疹は、ある程度の広範囲をもって現れ、皮膚そのものがざらざらするなどダメージを受けた状態になります。じんましんであれば急速に増えて広がり、境目のはっきりした膨らみを持ちますが、数時間~数日で跡かたなく消えます。
湿疹(MSDマニュアル)
じんましん(日本皮膚科学会)
虫刺されは、刺された部分とその周りの数㎜~1㎝程度だけがかゆくなります。みるみるうちに増える、といったことはありません。さらに刺し跡が見えづらい場合も、時間の経過とともに見えるようになることも。
応急処置としては、かゆみ止めの市販薬で様子を見ます。かゆみが強い場合は、患部を冷やすことで炎症が収まりやすくなります。刺し跡は小さいとはいえ傷ですから、決して爪などでかきむしらないようにします。傷が広がって、そこから細菌感染を起こす危険があるためです。
市販薬だけでも、長くて10日以内には腫れやかゆみは収まります。とはいえその間、炎症を放っておくと、それ自体が炎症を悪化させる悪循環に陥ります。長引く場合や悪化した場合などは、原因がダニではない場合も。速やかに皮膚科を受診しましょう。ステロイドの処方薬(塗り薬)などで急速に改善することもあります。また、正しい治療を早期に行うことで、跡が残りにくくなります。ぜひ皮膚科医にご相談ください。
(トップ画像:shutterstock/Dabarti CGI)