兄弟間で次々に感染。無症状なのに突然、難聴など合併症を起こすケースも!
【まとめ】
☆強い感染力で、兄弟間感染が最多。1週間も登校・登園できず…。
☆突然に難聴?! 感染しても3割は無症状、なのに後から合併症。
☆麻疹・風疹ワクチンと同時の予防接種がお勧めです!
兄弟間の感染が最多! 症状なしでも、人にうつし、合併症も。
こんにちは。ナビタスクリニック立川の細田和孝です。今回は私から、おたふくかぜの予防接種についてお話させていただきます。
おたふくかぜ、最近の話題を言えば、NHKで放送中の連続テレビ小説「半分、青い」でしょうか。小学3年生だったヒロインは、おたふくかぜの合併症で左耳の聴力を失いました。多くの視聴者にとって衝撃的だったのは、ヒロイン自身も家族も、おたふくかぜの感染に気づいていなかったことではないでしょうか。
おたふくかぜは、ウイルス性の感染症。ほほの内側にある耳下腺(唾液をつくる器官)が腫れて痛み、高熱が出ます。感染経路は飛沫(ツバキ)や、それらのついた手で口や鼻を触ることで、感染力が高いことが知られています。そのため、家の中で一気に広まることも多く、兄弟間の感染が最も多いとされます。
一方で、おたふくかぜのウイルスに感染した場合でも、約3割の方は、症状が出ずに済んでしまいます。年齢の小さいお子さんほど、その傾向は強くなります。とはいえその場合も、人に感染させてしまうのが厄介なところ。友人にうつされた子供本人は発症せず、その兄弟は発症、ということが起きるのです。
しかも、症状が出なかった場合でも、NHKの連続テレビ小説のように、合併症だけ突然現れることもあります。
感染に気づかずある日突然、難聴に! 聴力を戻す治療法はありません。
中でも深刻なのは、難聴です。失われた聴力を取り戻す治療法がないからです。
難聴のうち、おたふくかぜが原因の人はそれほど多くありません。ところが、おたふくかぜから難聴を起こす人は、患者100~500人に1人とも言われます。1つの小学校に1人か2人くらいはいると考えてよい数です。意外に多いですよね。
多くは片耳の難聴なので、発覚しづらくもあります。学校の健診や、就学前健診で、原因不明の「難聴の疑い」とされる子が多いようです。おたふくかぜの症状がないのに難聴だけ発症している、あるいは気づかないでいて突然発覚する、というのは、親子共にショックが大きいものです。ありませ
両耳に発症する場合も稀にあります。両耳が聞こえない、聞こえづらいとなると、特に一生に関わりますから、できれば予防したいものです。
学校も一週間欠席。予防接種が唯一の予防法です!
また、合併症には至らなくても、医療機関でおたふくかぜの診断が下ると、最低でも5日間は登校・登園ができません。土日もつながってしまえば、丸々1週間、欠席です。2~3週間の潜伏期間がある(その間も人にはうつします)ので、兄弟が一人感染すると、時間差で次の子、といった具合に連鎖することも。お子さんもさることながら、ご家庭でお世話をするご家族の方にも大きな負担になりますね。
そこで、予防接種をお勧めしています。
特に共働きやシングルマザー・ファザーの親御さんにとって、お子さんの病欠は大きな悩みかと思います。自費にはなりますが、予防接種によってそうした不安要素も減らすことができるのです。
接種のタイミングについては、麻疹(はしか)や風疹の二種混合ワクチン(MRワクチン)との同時接種をお勧めしています。MRワクチンは公費(実質無料)で接種できますので、その際、できれば事前に、医師や医療機関に問い合わせてみてください。
実は、ナビタスクリニックでは、MRワクチンと同じ価格で、MMRワクチン(麻疹、風疹、おたふくかぜの3種混合)を打つことができます。ぜひご相談ください。
ナビタスクリニック立川 院長 細田和孝
(参考サイト)
●「ムンプス難聴と聴覚補償」国立感染症研究所
●「おたふくかぜワクチンについて」国立感染症研究所