-【ビジネス渡航4カ国再開へ。PCR陰性証明等の提出で2週間待機免除の可能性も】-

2020.06.09

新型コロナによる諸外国の渡航制限は今どうなっている?  PCR陰性を要件とするにあたっての課題とは?

 

 

【まとめ】

 

☆政府がビジネス目的での出入国の緩和を検討中。PCR検査の陰性証明書等による審査で、入国時の長期間待機を免除へ。

 

☆まず4カ国と再開交渉、相手国も同等条件となるのが通例です。渡航者数上位国の渡航制限状況をまとめました。

 

☆PCR陰性の証明のために、渡航予定者は無症状でもPCR検査を受けられるようにする方向へ。

 

 

 

ビジネス渡航再開へ、PCR検査陰性の証明が条件。2週間待機免除の可能性も。

 

 

ビジネス目的での海外との往来再開に向け、政府が具体的な検討に入っていることが、6月5日付の日本経済新聞で報じられました。

 

 

 

 

特に日本から海外への渡航に関して、政府方針の大まかなポイントは以下の通り。

 

 

●新型コロナウイルスPCR検査の陰性証明書と、行動計画の提出により、審査を通れば入国時の長期間(通常2週間)待機が免除される方向へ。

 

 

●感染程度が同程度のタイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国と、月内にも協議へ。合意すれば夏にも緩和

 

 

●対象者として、経営・管理に携わる人、技術者・高度専門職、企業内転勤者、技能実習・特定技能の労働者を想定。

 

 

●行動計画書は入国後2週間の移動経路や滞在場所を記入。渡航必要性や管理体制について現地受け入れ企業による説明文書を求められる可能性も。

 

 

 

 

上記は、まず日本政府から各国へ、日本への入国手続きの案として提案されます。2国間の出入国では、両国が同等の入国制限を設けるのが一般的。ですから政府は交渉によって、日本から相手国への渡航・入国条件についても、同じ内容を引き出す考えと見られます。

 

 


日本経済新聞

 

 

交渉4カ国や渡航者数上位国、入国制限は今どうなっている?

 

 

日経新聞によれば、政府は111カ国・地域に渡航中止勧告を出しています。もっとも強制力はありませんが、日本が海外からの入国条件に2週間待機を課している(詳しくは厚労省ホームページ、5月27日時点)以上、日本人がもし相手国に入国できても、到着後に2週間の待機を強いられることになります。

 

 

また実際、諸外国の政府それぞれが、日本に限らず海外からの入国を厳しく制限しているのが現状。航空機の乗り入れを禁じている国もあります。これまで日本人が数多く行き来していた国や地域で、一般の人が自由に渡航できるところは、ほぼないと言ってよい状況です。

 

 

 

 

近年の渡航先上位10地域について、各国が公表している渡航制限をまとめました(6月8日現在)。

 

 

※1 2018年の日本からの到着者数トップ10。日本政府観光局による。

※2 航空会社によるフライト欠航による影響は加味されていない。現時点では渡航可能な全地域で渡航後14日間の隔離等が必要。

※3 外務省海外安全ホームページをベースに、各国について別途確認を行った。

 

 

〇は新規にビザ申請が可能になっている地域、△は既に有効なビザを有していることが前提の地域です。しかし現状、一般の人が新たにビザを取得したり、ビジネス目的のビザで渡航したりするのは、いずれも事実上不可能と言ってよいでしょう。

 

 

この状況を踏まえると、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国のみ(渡航者数は上位4地域と比べればかなり少ない印象、下表)とはいえ、緩和へと動き始めているのは大きな一歩と言えそうです。

 

 

日本経済新聞

 

 

無症状の渡航者もPCR検査を保険適用へ。検査のキャパシティが実質的な制限に?!

 

 

渡航再開の交渉が順調に進んだとしても、PCR検査の要件や検査体制がボトルネックになる可能性があります。

 

 

現在は無症状のPCR検査に関しては保険適用外。政府は今後、ビジネス目的での渡航再開に向け、無症状でも保険で検査を受けられるようにしていく方針だと言います。その際の診断は、産業医や海外渡航向け予防注射を行う専門外来(トラベルクリニック)が行う見通しです。

 

 

問題は検査のキャパシティ。上記の表にもある通り、交渉に入ろうとしている4カ国合計の1日あたり渡航者数は、約8,400人。一方、国内で1日に可能な最大PCR検査数は、5月半ばの時点で22,000件超と報じられています(実際の検査数は以下のグラフの通り。5月半ばには9,000件を超えたものの、感染の勢いが収まったことで現在は、1日4,000件弱にとどまっている)。

 

 

covid-2019.live

 

 

今後、平常時の渡航者数が上位の国々ともビジネス目的での行き来を漸次再開させるのであれば、PCR検査のキャパシティは到底足りません

 

 

ナビタスクリニック立川では唾液PCRを導入、無症状でも受けられます。(自由診療)

 

 

ナビタスクリニックではトラベルクリニックを常設しており、立川院では唾液によるPCR検査も開始しています※(新宿院・川崎院も準備が整い次第、開始いたします)。今のところ保険適用の対象となるのは、症状があり、発症から9日以内の方ですが、自費であれば無症状で検査をお受けになれます。

 

※立川院での唾液によるPCR検査についてはこちら

 

 

(Shutterstock/Katy Pack)

 

 

なお、PCR検査にはもともと「感度」に限界があります。陽性と出た分に関しては、99.9%信用できる(感染していない人に陽性はまず出ない)のですが、一方で、感染している人でも、だ液や鼻咽頭拭い液など、検査に用いる材料にウイルスが含まれていなければ、誤った陰性反応=偽陰性となる可能性があります。ですから、採取の手順をきちんと踏んでいただく必要があります。

 

 

その意味で、「陰性証明」という考え方は正しいのか、という問題もあります。

 

 

世界的には、抗体検査IgG、詳しくはこちら)の陽性をもって、再感染の恐れが少ないことを示す「免疫パスポート」とする考え方も出てきており、欧州では開発が進んでいるそう。今後の動向に注目していきましょう!

 

 

 

(トップ画像:Shutterstock/Alex Erofeenkov)

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