-【第2波を防ぐ3つのポイントとは? 濱木医師が解説🌹BS11「情報ライブ インサイドOUT」・後編】-

2020.06.03

緊急事態宣言解除も、すぐ東京アラート発動の新型コロナウイルス感染症。今クリアしておくべき3つの課題とは?(2020/06/01放送)

 

 

【まとめ】

 

☆そもそも、新規感染者数が減り、緊急事態宣言が解除されても、残っていた課題とは?

 

☆第2波の到来あるいはその被害を最小に抑えるためのキーワードは、「疫学調査」「医療体制」「保健所」。

 

☆夏のマスクは熱中症リスク? 予防と熱中症、どうバランスを取ればいい? 乳児にマスクはかえって危険?

 

 

※前編「解除は正しかった?第2波は来る?」はこちら

 

 

 

疫学調査、医療体制、保健所――新型コロナウイルス第2波を防ぐ3つのポイント。

 

 

東京都では「東京アラート」が発動され、第2波の到来が現実味を帯びてきました。そもそも、全国的に新たな感染者数の増加が落ち着き、緊急事態宣言が解除されましたが、課題は残されたままです。

 

 

 

 

濱木医師も、

 

 

「今回は国民の皆さんが協力して自粛してくださったおかげで、感染数は減少に転じました。ただ逆に、実際どこを押さえたことで患者数が減ったか、というポイントは分からないままとなっています。電車なのか、会社なのか、お店なのか。そこを今後見極めていく必要があると思います」

 

 

と指摘し、第2波を防ぐために今こそ取り組むべき3つのポイントを挙げました(表)。

 

 

 

 

●疫学調査について

 

 

「例えば東京都では3~4月は感染疑いの人が多すぎてPCR検査を受けられなかった方が大勢いらっしゃいました。そういう方にIgG抗体という、感染後しばらくしてから検出できるようになる抗体の有無を検査していただくことで、感染があったかどうかを事後的に調査することができます」

 

 

ナビタスクリニックでも抗体検査を実施しています。新宿院にも、このところは1日50件程度、抗体検査をされる方が受診されます。3~4月にPCR検査が出来なかった方がいらしていて、やはり陽性になる方も。

 

 

「抗体検査で調べられる抗体には、IgGとIgMがあり、当院で行っているのはIgGの検査です。IgG陽性は2週間以上前の感染を示すもので、症状のある方に関してはお受けしていません。IgG抗体が出ただけでは、過去の感染ですから、現在症状がなければ特に問題なし、ということになります」

 

 

「東京都23区と都下でだいぶ%は違っていますが、実際のところ検査を受けていない方、無症状の方の中に、どれだけ感染していた方がいるかを把握できます。今、当院やいくつかの病院でも行われていますが、全体としてどうなのか、サンプリングを工夫して調査してはどうかと思います」

 

 

 

 

●医療体制について

 

 

「今回の件で、東京都などではある程度PCR検査センターを設置しました。今回それほどの流行がない地域でも、いざ感染者数が増えた時にそうした体制が作れる準備や話し合いを、感染者の減っている今、しておく必要があります。防護服など潤沢ではないものは、代替品だけでも準備しておく。PCR検査も、喉拭い液方式でなく、唾液方式をどんどん普及させるといいですね」

 

 

●保健所について

 

 

「東京都では、保健所からの感染者報告と医療機関からのPCR検査陽性数に、162人の食い違いがある、といった報道もありました。保健所は人手も足りず、かなり混乱していたのでやむを得ない部分もあったと思います。しかし、次もこのような態勢のままでは、もっと増えてきた時に実態がつかめません。今のうちに、もう一度、データや統計情報のやり取りや収集について、見直しをしておくべきだと思います」

 

 

コロナの夏をどう乗り切る? 高温多湿時で熱中症リスクを高めるマスクはどうする?

 

 

いつ第2波がやってくるかもわからない今、予防意識は緩めるべきではありません。しかし、マスクを着けての外出は、ますます高温多湿になるこれからの季節は、体にも負担となります。

 

 

 

 

マスクを着けているメリットと、熱中症を防ぐという観点と、両者を天秤にかけていく必要があります。基本的に屋外では、距離が離れていればマスクなしでも感染リスクは低いと言われています。また、2mくらい人と人の間隔を空ければマスクを着けていなくても大丈夫かもしれません」

 

 

と、濱木医師。

 

 

「ですから、人通りのないところに出かけるならマスクは不要です。一方で、ある程度人通りのあるところに出かけるとか、込み合った状態でジョギングをするといった場合については、もう少し調査が必要です。走った場合には呼気(吐く息)が通常より遠くまで広がりますから、どれくらい飛ぶのか。

 

 

まだはっきりしない現段階では、色々と工夫していただければと思います。もちろん周囲の人にしてみれば着けていただいた方が安心ですが、走る側とすれば息苦しいので、着けて走る代わりに短い距離でこまめに休みを取る、とか、人がいない時間帯に走るとかですね。

 

 

 

 

また、布マスクだと通気性が良く、どの程度ウイルス等を防ぐ効果があるかは分かりませんが、着けないよりいいです。また不織布マスクに湿気がこもって濡れてしまうよりはいいかもしれません」

 

 

この時期、小さいお子さんのマスクはかえって危険?! 夏の帰省やプールはどうする?

 

 

また、2歳未満のお子さんについては、マスクを付けさせない方針日本小児科医会発表しています。

 

 

日本小児科医会

 

 

濱木医師は、

 

 

基本的に小さいお子さんの重症例が少ないことが分かっていますので、そことの天秤になります。接する人が限られていて少ないお子さんまでマスクをつける必要があるのか。単に本人たちが嫌がって外してしまうだけかもしれません。

 

 

特に2歳未満のお子さんだと、呼吸器が未発達なことに加え、熱中症の症状があっても訴えられない危険もあり、普段から気を付けねばならないくらいです。そのリスクを加味すると、不要と考えられることの方が多い、ということです。杓子定規ではなく状況に応じて着け外しを考え、着けさせたとしても、健康状態をしっかり見ていくことが大事です」

 

 

と、アドバイスします。

 

 

 

 

夏の帰省やプールについても判断の難しいところですが、

 

 

「夏の帰省も、状況によると思います。まだ今から2カ月ありますので、そこを見ながらになります。感染者が増えている地域から地元に戻ろう、というのなら、ご家族にもリスクがあります。感染者の報告がほとんどない地域同士であれば、まだ検討できると思います」

 

 

「プールについては、屋外であれば、とは思いますが、顔を水につけるので、不安はありますね。検証されているわけではないので、慎重に、とは思います」

 

 

と、濱木医師は慎重な姿勢。

 

 

「いずれにしても、制限や自粛を一気に緩めるのは危険です。感染者が増えてきて、また緊急事態宣言でステイホーム、というところまで行かないために、ちょっとずつセーブする。さじ加減だと思います」

 

【完】

 

 

※前編「解除は正しかった?第2波は来る?」はこちら

 

 

ナビタスクリニック新宿院長
濱木珠恵

 

(キャプションのない画像は、BS11 「情報ライブ インサイドOUT」2020年6月1日放送より)

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