-【中居正広のニュースな会📺後編・特効薬「イベルメクチン」は 世界で5億人が使用中💊久住医師が解説!】-

2020.05.15

今回は特効薬イベルメクチンを中心に、引き続き新型コロナ治療薬について、久住医師の解説に沿ってまとめていきます。(2020/05/09放送)

 

 

【まとめ】

 

☆新型コロナウイルス感染症の治療薬、大注目の「イベルメクチン」とは? 世界で5億人が使う日本人開発の薬。

 

☆子供は新型コロナ治療薬を使えるの? アビガンは可能性はありますが、慎重な判断を。

 

☆アルパカの抗体で予防が可能って本当? 一方、ワクチンの普及はまだ先になりそう。まずは検査拡充を。

 

 

 

テレビ朝日「中居正広のニュースな会」、ナビタスクリニック理事長の久住英二医師による新型コロナウイルス感染症治療薬に関するまとめ・後編です。

 

※前編「アビガンてどんな薬?レムデシビルは?」はこちら

 

 

大注目の特効薬候補「イベルメクチン」は、廉価で安全、全世界5億人が使用する薬!

 

 

久住医師が新型コロナウイルス感染症の治療薬としてアビガン、レムデシビルに続いて挙げたのは、今大注目の特効薬候補「イベルメクチン」です。2015年にノーベル生理学医学賞を受賞した北里大学・大村智教授が、40年以上前に研究・開発した薬です。

 

 

 

 

イベルメクチンが大注目される理由は2つ。価格が安く、安全性が高いことです。発展途上国を含む世界中で既に流通しています。

 

 

40年ほど前から、アフリカなどを含む世界中で寄生虫の薬として使われてきました。日本にもあります。世界で5億人以上が使用していますので、安全性は明らかです。使用人数がまだ数百人~1000人レベルの新薬とは異なり、副作用についてもしっかり分かっています」

 

 

薬の働く仕組みについては、

 

 

「このイベルメクチンも、細胞の中でウイルスが増えるのを防ぐ薬ですが、アビガンやレムデシビルとは仕組みが少し違うんです。アビガンやレムデシビルは、肺などの細胞に侵入したウイルスが自身の遺伝子を増やすのをブロックするものでした。一方、イベルメクチンは、細胞への感染後にそのウイルスが他の細胞に入るのを防ぐことで、増殖をブロックします」

 

 

と、久住医師。

 

 

 

 

「米国の研究グループがこのイベルメクチンを使って新型コロナウイルス感染症の患者さんを治療したところ、死亡率が約6分の1にまで低下したというデータもあります。まだ結論は出ていませんが、非常に有望視されています」

 

 

「今のところまだ海外での臨床試験データしかないので新型コロナ治療薬としては国内承認されていませんが、もうすぐ北里大学が治験を開始します。そこから通常でも大体1年以内には承認されるんですが・・・」

 

 

承認まで1年と聞いて劇団ひとりさんも、「ながいよ~」と思わず口走ります。

 

 

 

 

中居君も苦笑の後、「安全性があって、値段も安くて、実績もあるんですよね。それで使わないんですか?」と、納得いかない様子。

 

 

 

 

これに対し久住医師は、

 

 

「実は、レムデシビルも最初は、承認は12月頃になるだろうと言われていたんです。それが早まったので、イベルメクチンも1年くらいと言いつつもっとスピードアップされる可能性もあります」

 

 

と、見通しに期待を込めました。

 

 

 

 

新型コロナ治療薬は子供にも使えるの? アビガンは使用可能性あるも、慎重な判断を。

 

 

また、お子さんをお持ちの方からは「新型コロナ治療薬は子供は使えないの?」といった心配の声も聞こえてきます。高齢者を始め大人より重症化しにくいとはいえ、子供でも新型コロナウイルスに感染します。しかし、アビガンは成人用の薬。久住医師は、

 

 

「アビガンの投与基準は、まずは概ね60歳以上で、継続的に酸素吸入が必要な人もしくは高血圧やがんなどの基礎疾患のある人。あるいは、年齢にかかわらず酸素吸入と対症療法だけでは呼吸不全が悪化していく人、となっています」

 

 

「お子さんの場合は、まず熱が高い場合は解熱剤を投与して様子を見る。それでも呼吸状態が悪化していくようなら、アビガンも検討することになると思います」

 

 

と、使用の可能性を説明します。

 

 

 

 

しかし、これを聞いた劇団ひとりさんは、

 

 

「子供のことになると、少しでもリスクを負いたくないので、命に関わる状況じゃないと決断できないかもしれない」

 

 

と、不安そう・・・。

 

 

たしかに、副作用などが十分確かめられないうちに子供に使用することについては、慎重になるべきとも言えます(なお、レムデシビルは、米国では子供にも緊急使用許可が下りましたが、前編でお伝えしたように、日本ではまだ広く使えるほどに出回りそうにありません)。そもそもアビガン他の治療薬やその候補は、もともと新型コロナウイルス感染症のために開発されたものではありません

 

 

 

 

他方、解熱剤としては、解熱鎮痛剤として赤ちゃんから使えるアセトアミノフェンという成分の薬が、安全性が高く、子供にも広く使用されています。新型コロナウイルス感染症では一般にお子さんの方が高齢者等に比べて重症化リスクも低いため、まずは解熱剤等で様子を見ていく、というわけです。

 

 

アルパカの抗体を使って新型コロナウイルスを撃退?! 一方、予防ワクチンの普及はまだ遠く・・・

 

 

5月7日、北里大学などの研究グループが、新型コロナウイルスの感染を抑える効果がある抗体を作ることに成功したと発表しました。VHH抗体と呼ばれるものです。

 

 

アルパカやラマなど、ラクダ科動物の持つ抗体から作られます。一般に抗体は、免疫の細胞から出され、ウイルスにくっついてウイルスの侵入を妨げるタンパク質です。普通は抗体は割と大きなタンパク質なんですが、この動物の作る抗体は非常に小さなタンパク質で、ヒトに投与しておくと、ウイルスが入ってきた時に自分の抗体と同じように働いてくれると期待されています。感染予防もしくは感染した方の治療薬として非常に有望と考えられています」

 

 

と、久住医師。アビガンやレムデシビル、イベルメクチンなどはあくまで治療薬ですが、予防薬が実現すれば、社会・経済活動の正常化には大きく貢献するはずです。

 

 

 

 

なお、予防と言えばワクチン。現在、世界中で少なくとも115種類の新型コロナウイルス感染症のワクチンが開発中とも言われます。厚労省も、ワクチン開発のための臨床試験への参加を目的として、これまでに世界9組織とパートナーシップを締結しています。ただ、臨床試験をクリアしたとしても、量産・世界的な普及までにはまだ年単位で時間がかかりそう・・・

 

 

もうしばらく人類はワクチンなしで、経済・社会生活を維持しながら新型コロナウイルスと向き合っていかねばなりません。その際の適切な判断には、科学的に基づく信頼できるデータが必要。まずは検査数をできるだけ増やし、感染の広がりを把握することが必須です。

 

 

その強力なツールとなりそうなのが、唾液を検体として用いるPCR検査報道によれば、厚労省は5月中にも承認の方針とのこと。久住医師も大いに注目しています。

 

 

「実用化されると、PCR検査が非常に手軽になります。今までのPCR検査の問題は、鼻に綿棒をさして検体を採る方法だったために、担当の医師などにくしゃみなどによる飛沫感染のリスクがありました。唾液の場合、検査を受ける方ご自身に容器に入れていただくので、感染リスクは大幅に抑えられ、周りを汚染する恐れもありません

 

 

 

 

米国ではもう当局(FDA)の承認を得て実用化されています。感度は鼻からの検体採取で検査するのと変わらないため、唾液での検査に移行しつつあります」

 

 

PCR検査数の少なさを指摘された安倍首相が、実施能力を1日2万件に増やす方針を示したのが4月6日。それから1カ月以上、検査数はこれまで一度も1日1万件に達していません。緊急事態宣言の解除が進み、今後さらに社会が動き始めれば、第2波・第3波が訪れます。それまでに、今度こそ本気で、検査体制の拡充が進められるよう期待したいですね。【完】

 

 

※前編「アビガンてどんな薬?レムデシビルは?」はこちら

 

 

久住英二(くすみ・えいじ)

医療法人鉄医会(ナビタスクリニック立川・川崎・新宿)理事長。内科医、血液内科医、旅行医学、予防接種。新潟大学医学部卒業。虎の門病院血液科、東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門研究員を経て2008年、JR東日本立川駅にナビタスクリニック立川を開業。好評を博し、川崎駅、新宿駅にも展開。医療の問題点を最前線で感じ、情報発信している。医療ガバナンス学会理事、医療法人社団鉄医会理事長内科医、血液専門医、Certificate in Travel Health、International Society of Travel Medicine。

 

 

(画像:テレビ朝日「中居正広のニュースな会」2020年5月9日)

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