-【TBSひるおび!🌹濱木医師が連日解説】陽性率7%以上は死亡数増加の衝撃! 唾液PCR検査のメリットは?-

2020.04.29

前日に続き、ナビタスクリニック新宿・濱木珠恵院長が、感染者数の推移や、PCR検査の陽性率と死亡数の関係、唾液によるPCR検査等を生解説!(2020/04/28)

 

 

 

【まとめ】

 

☆週明けは2ケタ台となった新規感染者数は、再び100人台に。北海道では早くも第2波も・・・。

 

☆PCR検査の陽性率7%を超える国は、検査不十分で死亡者数が増加傾向と、千葉大大学院から衝撃の研究結果が!

 

☆米国では早くも唾液によるドライブスルーPCR検査が登場。そのメリットとは?

 

 

 

一時の感染者減少はやはり“週明けマジック”だった・・・感染者数再び100人台に。

 

 

東京都では4月28日、新型コロナウイルス感染者が新たに112人確認されました。都内の累計感染者数は計4059人、死者は計108人となりました。

 

 

 

 

その前日、27日(月)の都内の新規感染者は39人と報告されており、2日連続での減少がみられたことから、感染拡大のストップに期待の声も聞かれました。TBS「ひるおび!」でも真っ先にこの数字に注目。これについて、生出演したナビタスクリニック濱木院長は、

 

 

月曜日の数字は週末の検査数を反映しているので、少なくはなるんです。だから長い目で見ていく必要があります。ただ、それでも先週・先々週の週明けと比べれば少なくはなっているので、これは皆さんが自粛をされている効果が出始めたのかな、と。油断はできませんが、皆さんの協力の表れと解釈していいかと思います。ただし、まだ検査数が少なく、隠れた陽性者がいる可能性があります」

 

 

と、土日の検査数の少なさを指摘。自粛の効果に一定の期待を示しつつも、全体の検査数の少なさについても言及しました。

 

 

 

 

これについては小池都知事も、東京都公式動画チャンネルで同様の指摘。引き続き都民の理解と協力を求めました。

 

 

 

 

実際、翌29日に発表された感染者数は冒頭の通り112人と、再び100人台に増加しました。

 

 

報道によれば、その112人のうち4割弱の42人は感染経路が不明。感染経路が追える濃厚接触者69人では、その半数弱が家族など同居者からの感染だといいます。また、現在入院中の感染者のうち105人が重症となっています。

 

 

北海道に早くも押し寄せた“第2波”。東京ではパチンコ店是店休業へ。

 

 

また、北海道では一時は減少に転じた感染者が再び急増中。「第2波」の問題が浮き彫りになっています。

 

 

 

 

「いったん収束したとしても、第2波・第3波は必ずあります。ワクチンのような効果的な対策がない中で、どうやって感染者がゼロにはできないながらも抑えていくか。ゆるゆると、感染者を広げないようにしつつ、その中でどう生活を維持していくか。そのあたりを天秤にかけながらやっていかないといけない

 

 

少なくともこの3週間の自粛生活で、皆さんのご協力によって新規感染者は以前より減りつつある。そういう意味で私は自粛の効果はあったと考えていますが、一方で、今までやってきたことの中で、何が本当に意味があったのか。あるいは、今までは意味があったけれどこれからは違う方策をとらないといけないのであれば、明確に方向転換をするそうやって、一の矢は終わり、二の矢三の矢を放つ時だと思います」(濱木医師)

 

 

感染者数の細かな増減に一喜一憂することなく、長い目で見て、次の行動を考えていく必要がありそうです。特に来週半ばまでのゴールデンウィーク中は、本来であれば行楽日和とも言える朗らかな陽気となる日が多いようです。残念ではありますが、気持ちを引き締めて「3密」を避け、過ごし方を工夫したいですね。

 

 

なお、東京では28日から都内パチンコ店が全店休業となりました。11日に都が休業要請を行ってから17日目。直前の27日には22店が営業していましたが、都の説得によってゼロに。特措法に基づく店名公表は見送ることとなったそうです。

 

 

パチンコ店は何が問題なのでしょうか? 濱木医師は、「他のお店と比べて、というのは言えませんが、パチンコ店はリスク条件が重なるので」と、接触感染と飛沫感染を引き起こしやすい3つの問題点を指摘しました(画像)。

 

 

 

 

PCR検査、陽性率7%を超える国は検査不十分。死亡者数が増加傾向!!

 

 

番組では前回に引き続き、東京都などの陽性率(感染者数÷検査数)が異常に高い数字であることを問題視。千葉大学大学院研究グループ(樋坂章博教授)の「死亡者数の抑制とPCR検査の陽性率に関係性あり」との研究を紹介しました。

 

 

 

 

樋坂教授たちが欧米諸国のPCR検査陽性率と死者数の関係などについて解析したところ、陽性率7%を境に死者数について明暗が分かれたのです。

 

 

つまり、陽性率7%未満の西洋諸国(1日あたりの患者死亡率が7%以上の国の15%に該当)では、死亡者数が抑制傾向にありました。一方で、陽性率が7%以上の国では死亡者数が増加傾向にあったのです。

 

 

樋坂教授は、陽性率が高い国ではPCR検査が不十分で、早期期感染者を見落としていたか、重症者の入院が手遅れになった可能性が高いとしています。

 

 

 

 

濱木医師も、

 

 

「次の作戦を打ち出していくためにも、きちんとしたデータが必要です。科学に基づく政治のためには、信頼に足るデータを揃えなければなりませんよね。しかし、現状では私たちは患者の全体像を把握できていませんから、検査を増やして実態を把握することは急務だと思います。その数字に基づいて改めて議論を重ねていくことが必要だと思います」

 

 

と指摘しました。

 

 

日本では当初、「医療崩壊を防ぐために」という説明の下、PCR検査数が抑え込まれていました。しかしその後ようやく方向転換し、4月初旬には安倍首相も「1日2万件」を掲げて検査体制の拡充に取り組んできたはずでした。それでも今なお、検査数は多くて1日15,000件超にとどまっている4月28日、菅官房長官記者会見)とのこと。

 

 

それどころか、依然としてなかなか相談センターと電話がつながらず、検査が遅れ、死後に新型コロナウイルス陽性が判明するケースも相次いでいます。

 

 

「これからは患者さんを見つけていって把握して、必要な人には入院していただく。あるいはご自宅や施設待機でも、必ず医療にアクセスできるようにする。オンライン診療でもいいし、常駐している保健師さんでもいいですが、必ず連絡を取り合って、何かあった時にすぐ入院できるよう、体制を変えていく必要があると思います」

 

 

米国ではいち早く唾液を使ったドライブスルーのPCR検査を実施。メリットは?

 

 

米国では既に、唾液によるPCR検査がすでにドライブスルー方式で実施されています。喉の奥を綿棒でこすり取る方式よりも、唾液の方がウイルス量が5倍多かったとも報告されています(米イェール大学)。

 

 

 

 

「唾液に多くのウイルスが含まれる、というのが本当なら、飛沫感染も納得ですよね。布マスクでもしないよりした方がいい、ということにもなります」

 

 

と、濱木医師。

 

 

「唾液でのPCR検査であっても、解析~報告までには数時間はかかると思います。ですが、今までのPCR検査には2つのボトルネックがありました。つまり1つは患者さんから検体を採取する際の人材・場所・道具といった問題と、もう1つは検査するPCRの機械の問題です。唾液によるPCR検査で、その前者の解消が期待できます。

 

 

唾液で検査する場合、患者さんが自らプラスチックの筒に唾液を入れるので、医療者のリスクを大幅に減らせます。これまでは、鼻やのどに綿棒を入れた際に、ゲホゲホっと咳込まれて飛沫などを浴びるリスクがありました。そのために防護服も必要で、そうした過程や道具が簡素化できます。そうなるとクリニック等でも検体採取が可能になり、検査数を大幅に増やせることになります」

 

 

 

 

「今やらなければならないことは、なるべく多くの人に検査を広げて、一人でも多くの感染者の方を拾い上げていくことです。そういう意味では、今までのやり方にこだわらず、採り入れられるものは積極的に採り入れていくべきだと思います」

 

 

ナビタスクリニック新宿院長
濱木珠恵

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