-【Dr.久住掲載】屋台のきゅうりで食中毒に…注意していても感染する恐怖(日刊SPA)-

2018.06.25

 

O157に代表される腸管出血性大腸菌感染症の増えるこの時期。ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が、日刊SPAにコメントしました。

 

【まとめ】

☆牛などの腸内にいたO157が、解体~調理される過程で食肉や、その他サラダや総菜に付着してしまい、感染源に。

 

☆潜伏期間は3~5日。水様便を繰り返し、腹痛、嘔吐、発熱も。重症化すれば命に関わります。

 

☆予防三原則:付けない(手洗い)、増やさない(速やかに冷蔵)、やっつける(75℃以上で1分加熱)を徹底しよう!

 

(日刊SPA記事はこちら

 

 

牛などの腸内にいるO157。食肉にも、解体~調理過程で付いてしまう。

 

O157は、「腸管出血性大腸菌」の一種。昨年も、埼玉・群馬両県の系列総菜店で購入したポテトサラダなどを食べた人が感染した集団食中毒がありました。それ以前から、焼肉店でのユッケによる食中毒など、O157による食中毒は度々死者を出し、大きなニュースになってきました。

 

大腸菌は、家畜や人の腸内にもいて、ほとんどのものは下痢の原因になることはありません。しかし、いくつかの種類は人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことが知られています(病原性大腸菌)。

 

その中の一群、O157をはじめとする腸管出血性大腸菌も、牛などの家畜の腸内や糞便中にいます。てしかし、家畜自体には症状が現れません。問題は、食肉として解体・流通・調理される過程で、切り身にした肉に付着してしまうことです。

 

牛肉で言えば、カルビなど私たちが普段食べる肉の部分は筋肉で、そこにはO157は元々はいませんしかし、解体や調理の過程で、内臓を処理した調理器具などを経て肉の表面に付いてしまうことがあるのです。

 

ですから牛肉は中はレアでも表面を良く焼けば安全な一方、挽肉や成型肉(霜降り加工肉、やわらか加工肉など)は中までじっくり火を通す必要があるのです(以前のブログ「意外と知らない食中毒2 ~調理時の油断が料理をキケンに」もご参照ください)。

 

その際に、生肉を焼く箸やトングと、焼けた肉を取り分けたり食べたりする際に使用する箸も、きっちり分けるようにしましょう。

 

 

感染源はさまざま。生野菜サラダなど非加熱調理品のことも。

 

東京都健康安全研究センター 腸管出血性大腸菌

 

また、野菜には元々O157は棲みついていませんが、なぜか生野菜サラダなどが感染源になるともあります。

 

久住医師のコメントを記事から引用してみます。

 

「本当にささいなことで感染は広がります。例えば4年前に静岡の花火大会で、屋台で売っていたキュウリで感染が起きました。原因は、手洗いやキュウリの消毒、保管の仕方が不十分だったこと。手洗いに石鹸を使うのはもちろん、キュウリは冷蔵すべきでした。また、汚染されたものが一つでもあれば触れたものにどんどん広がっていきます」

 

生肉を扱ったのと同じ調理器具で野菜を切ったり盛り付けたりして、サラダや浅漬けを作った場合など、やはり調理過程で付いてしまうのです。肉と違って加熱を経ずにそのまま口に入りますから、食中毒に繋がりやすいとも言えます。

 

また、調理者が生肉を扱った後に良く手を洗わないまま、次の調理に取かかったり、調理場のものに触れたりして、知らないうちに汚染が広がることもあります。

 

厚労省の発表によれば、以下のような食品からO157による食中毒を発症した例が報告されているとのこと。

 

【肉類・肉料理】

牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、シカ肉、ハンバーガー、ローストビーフ、ミートパイ、ユッケ

 

【野菜・果物類】

サラダ、貝割れ大根、キャベツ、白菜漬け、冷やしきゅうり、きゅうりの和えもの、アルファルファ、レタス、ホウレンソウ、メロン、アップルジュース

 

【その他】

井戸水、日本そば、シーフードソース、(菓子からもO157が見つかっているそうです)

 

 

ひどければ命に関わります。まずは予防3原則の徹底から。

 

発症は、水様便から始まる人が多いようです。原因となる汚染食品を食べてから3~5日の潜伏期をおいて、まず水様便を繰り返します。さらに激しい腹痛や嘔吐を伴い、まもなく著しい血便となることがあります(出血性大腸炎)。発熱も見られます。

 

激しい腹痛と血便がある場合には、特に注意が必要。うち6~7%が、数日から2週間以内(多くは5~7日後)に溶血性尿毒症症侯群(HUS、致死率は1~5%)や、脳症などの重症合併症を発症するとされています。

 

高血圧や糖尿病で血管が傷んでいる人も重症化しやすく、多臓器不全や意識障害になって命に関わることも。

 

予防のために、まずは細菌性の食中毒に共通する3原則を徹底しましょう。「付けない」「増やさない」「やっつける」です。

 

①付けない正しい手洗いを。(厚労省ポスター=こちらを参照)

 

②増やさない=買ってきた要冷蔵の食品はすぐに冷蔵庫に!(冷蔵庫の正しい使い方はこちら

 

③やっつける75℃以上で1分加熱すれば食中毒細菌は死滅します。

 

詳しい対策を知りたい方は、こちらの資料を参考にしてみてください。

家庭でできる食中毒予防の6つのポイント:家庭で行うHACCP(宇宙食から生まれた衛生管理)-厚生労働省

 

とくに今の時期~初秋にかけては、腸管出血性大腸菌の食中毒が多発する時期。例えば2016年の発生状況は、6月は1件(5人)、7月に5件(80人)、8月に6件(98人)、10月に1件(67人)、11月に1件(2人)でした。やはりこれからが本番、十分に注意必要したいですね。

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