子供もストレスを感じています。ていねいに見守りつつ、でも神経質にはならないで。
【まとめ】
☆4歳以上になると、子供も日常的にストレスを感じています。
☆お腹が痛くても、1時間後にケロッとしていたら大丈夫。
☆繰り返すなら、保育士さんや幼稚園・学校の先生にも相談を。
子供も4歳からストレスを溜めるようになります。
前回(こちら)は、今年入園した小さなお子さんは1年を通じて感染症を次々にもらってくるので覚悟が必要ですよ、という話でした。今回は、どの年齢にも言える、ストレスによる体の不調の話です。
ちょっと前、新学期始まって間もなくの頃を振り返ってみましょう。春は環境が大きく変わる時期。小中学校へ進学して環境が大きく変わった子はもちろん、クラス替えで親しかったお友達と離れ離れになった子、担任の先生が変わった子、教室が変わっただけでなんだか落ち着かない子――個人差はあり、また自覚していない子も多いのですが、誰しもストレスを感じていたはずです。
そうした大きなイベントがなくても、小学生はストレスを感じています。ストレス源は、友人関係や学校の成績、家族の問題といった日常的な出来事。しかも、例えば両親の離婚や死別といった非日常的な出来事よりも、日々の友人や家族とのトラブルや、学業不振のストレスの方が影響が大きい、という研究もあります。
また、この時期の優れない天気は、子供であっても気分を憂鬱にします。外で思い切り遊べないことで、ストレス発散の機会も奪われます。
幼児も、我慢を覚える4歳くらいからは、ストレスをためるようになります。ベビーの頃は不快なことがあれば泣いたり暴れたりして発散させていたのが、それではいけない、と学習するんですね。「おりこうさん」ほど、実は我慢している、という場合もありそうです。
そうしたストレスが体の症状となって出ることは全くめずらしくありません。むしろ、当院を受診されたお子さんたちにもよく見られます。頭が痛い、お腹が痛い、吐き気、食欲がない、眠れない、物が見えづらい(視力低下)、といった訴えも、医学的に原因がはっきりせず、ストレス性の症状と考えられることは多いのです。
感染症と見分けづらいことも。判断のポイントは?
当初は、風邪など感染症と見分けづらいこともあります。判断のポイントは、発熱があるか、そして、気分転換などによってすぐに回復するか、といったところでしょう。1時間くらいして、嘘のようにケロッと治って元気に遊んでいたら、まず心配はいりません。
それに対し、38℃以上の熱があり、症状が何時間も続くようなら、風邪やその他の感染症が疑われます。ただ正直なところ、風邪や流行性胃腸炎に特効薬はありません。水分を摂り、体を休め、回復を待つしかないのです。ただし、熱や咳などで辛い場合は、症状を和らげる薬を処方することはできます。食事も、胃腸に無理のない範囲であげてください。
そして感染症ではない、でも症状を繰り返す、長引く、悪化する、といった様子が見られたら、早めに学校・幼稚園の先生や、保育士さんにも相談するとよいでしょう。子供自身は自分の心の異変に気づかないことも多く、代わりに体がSOSを出しているのかもしれません。先生たちは、私たち医師よりも、普段のお子さんの様子を良く見て知ってくれているはずです。
お母さんお父さんの心構えと関わり方も大事。
大事なことは、どんな場合も親御さんが心配し過ぎて神経質にならないこと(もちろん原因が理不尽であれば、きちんと解決が必要です)。ゆったりした気持ちで、でも、先生たちにも協力してもらいながらしっかりと、お子さんを見守ってください。特にお母さんの情緒不安定は、子供にも伝わってしまうものなんですね。
そうした学校生活におけるストレスは多かれ少なかれ、どの子も経験するものです。その過程で、心の発達に合わせながらその子なりの対処法を身に着けていきます。その真っただ中にある時は、お子さんもお母さんも、ちょっとキツいですよね。でもそれをうまく乗り越えられた時、お子さんは一回り成長してくれるはずです。