-【久住医師・生解説】新型肺炎はどう防ぐ?――手洗いと、健康的な生活で体力を保って。-

2020.01.24

中国から世界へ、じわじわと感染者を増やし続けている新型コロナウイルス感染症。今できること、すべきこととは?

 

 

【まとめ】

 

☆感染症に詳しいナビタスクリニック理事長の久住英二医師が、「AbemaPrim」に生出演し、新型コロナウイルス感染症について解説しました。

 

☆実は風邪の原因にもなるコロナウイルス。その分、初期症状も風邪と見分けがつきません。受診の見極めは?

 

☆すでに日本国内にも把握されている以上に入りこんでいる可能性も。予防の基本は、手洗いと規則正しい生活による体力維持です。

 

 

 

久住理事長が「AbemaPrime」に生出演、新型コロナウイルス感染症について解説しました。

 

 

新型コロナウイルスの脅威が世界に広がり始めています。発生源とされる中国では、新型コロナウイルスによる肺炎患者がほぼ全土で確認され、感染者数は830人と発表されて、死亡者数も25人に上っていますWHO(世界保健機関)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」には現時点ではあたらないとしつつも、各国に検疫の強化などを呼びかけています。

 

 

こうした事態について、感染症に詳しいナビタスクリニック理事長の久住英二医師が「AbemaPrime」(動画はこちら)に出演し、インターネット生放送で解説を行いました。

 

 

(「AbemaPrime」2020年1月22日)

 

以下、予防のために知っておくべきこと、今私たちにできることを、久住医師のコメントを追ってまとめていきます。

 

 

新型コロナウイルスって何者? ヒト-ヒトの感染力、症状の強さは?

 

 

今回、新型コロナウイルス感染症が騒がれて、初めて「コロナウイルス」の存在を知った方もいるかもしれません。これについて久住医師は、

 

 

「重症化した方だけが今検査を受けているそうですが、そもそも秋から春にかけて流行る風邪の大体10%くらいが、コロナウイルスによるものなんです」

 

 

と説明します。

 

 

NHK

 

 

「コロナウイルスには元々、ヒトだけでなく、動物の間で感染するものもあるんです。それがなぜか、ヒトにもうつってしまうことがある。それが変異して、ヒトからヒトへ効率よくうつるものが出来てしまうと、人々の間で流行が広がってしまうんです。それでなおかつ、病原性が強いと問題になるんです。今回は病原性が強くて肺炎などを引き起こしているので問題となっていますが、人から人への感染力については注意深く見守っていかねばなりません

 

 

とのこと。実際、2002 年に中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスや、2012 年にサウジアラビアで流行したMERS(中東呼吸器症候群)ウイルスも、こうして発生したコロナウイルスの一種です。

 

 

「現時点(1月22日現在)で出ているデータだけを見ると、死亡した割合は2%ちょっとくらいなんですね。SARSの時は6.9%、MERSの時は30%くらいあったので、それに比べると今のところ少ないと言えると思います」

 

 

(「AbemaPrime」2020年1月22日)

 

 

「亡くなった9人1月24日現在では26人のうち、4人の病状については詳細が出ていて、40代の方も1人いらっしゃいますが、あとは60代2人、80代1人と高齢です。しかも皆さん、糖尿病や脳梗塞などで体が弱っていた方だと分かっています。健康な、基礎疾患も何もない若い方が亡くなるようだと、警戒レベルを上げる必要がありますが、今のところ体の丈夫な方はあまり心配いらないかもしれないですね」

 

 

風邪との見分けはつく? 受診の見極めは? 予防のためにできることは?

 

 

初期症状については、

 

 

風邪と全く見分けがつきません。たぶんこの新型コロナウイルスに感染した方は、従来の普通のコロナウイルスに感染した方よりも重症化する割合は高いと思うのですが、風邪症状からどう進行していくかは個人差もあり、分からないです」

 

 

とのこと。では、風邪あるいは肺炎に近い症状が出て心配になったら、どうしたらよいのでしょうか? 久住医師は、

 

 

「少なくとも日本において感染する率は中国よりも低いので、風邪っぽいからと言ってすぐ医療機関に押しかけるのではなく、例えばすごく息が苦しい、だるくてご飯が食べられないなど、重症化するような兆候があれば、その時に医療機関を受診するようにしてください」

 

 

 

 

「ただし、それだけの症状があるのに混んでいる待合室にいきなり行ってしまうと、そこでウイルスを撒き散らして、院内感染を引き起こしてしまいます。ですから現在までの状況では、そうした症状がある方の中で武漢に行った方、もしくは武漢に行ってきて具合が悪くなった方と接触した方は、病院に予め連絡をして、他の患者さんがいない時間に受診する、といった対応が必要です」

 

 

とアドバイスします。

 

 

一方、今後国内でも広がる可能性を考えると、予防手段が気になります。中国から送られてくる映像にも、一斉にマスクを着用した人々の姿が見られますが・・・

 

 

「インフルエンザでもそうですが、基本的にマスクは感染している方がしぶき(くしゃみなどで飛ぶつば)と共にウイルスを撒き散らさないようにするために着用するものなんです。感染していない人がマスク着用によって風邪を予防できる効果は、科学的には証明されていません

 

 

(Shutterstock/Lightspring)

 

 

「マスク自体、適切な取り扱いが必要で、むやみに手で触ってしまえば簡単に汚染されてしまいますし、『繰り返し使う』『隙間がある』といった誤った使い方では意味がありません

 

 

と、久住医師。

 

 

予防接種はありません。SARSもMERSもコロナウイルスでしたから、今後、コロナウイルス全体に効くワクチンが開発される可能性はあります」

 

 

「今、我々にできることとして、やはり洗いは重要です。外から帰ってきたら、必ず石鹸をつけて手洗いをする。それと、普段から健康的な生活をして体力を保つこと。例えば睡眠不足やお酒の飲み過ぎ、過労、深夜労働を避けることです」

 

 

流行はいつまで続く? 今後、国内で患者が増えてきた場合の医療体制整備も求められます。

 

 

スタジオからは、いつまで感染を心配すればいいのか、という声が上がりました。

 

 

「このウイルスの流行がいつまで続くかは分かりませんが、SARSの時は大体3カ月くらいで収束しましたし、コロナウイルスの流行は一般的に春くらいまでです」

 

 

と久住医師。

 

 

(「AbemaPrime」2020年1月22日)

 

 

一方で、すでに油断できない状況になりつつある可能性も示します。

 

 

最初に確認された患者さん(インデックス・ケース)が、実際の第1例目ということは、ほとんどありませんその時点では既にほかにも患者さんがいる、と考えるべきなんです」

 

 

「国内では、すでに神奈川県で1人患者さんが出ていて、その方に接触した40人くらいが経過観察をしています(1月22日現在。24日に2人目を確認)。潜伏期間が2週間くらいはあり得るので、その方々が発病しなければ一度終わりになると思います。ただし、その40人以外にも追跡しきれていない人がいるかもしれませんし、すでにほかにも感染した方が国内へ入っている可能性はあります」

 

 

「ですから、医療提供体制も考えていかないといけないですね。疑わしい方をどこの医療機関で診察するのか、といった取り決めができていない。中国からの観光客がたくさんいらっしゃる地域とそうではない地域もあります。そうした地域の事情に応じて、対策を講じていかなければならないと思います」

 

 

まずは風邪と同じように、手洗いを励行し、規則正しい生活で体力を維持しながら、感染の広がりを注意深く見ていく必要がありそうです。

 

 

久住英二(くすみ・えいじ)

医療法人鉄医会(ナビタスクリニック立川・川崎・新宿)理事長。内科医、血液内科医、旅行医学、予防接種。新潟大学医学部卒業。虎の門病院血液科、東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門研究員を経て2008年、JR東日本立川駅にナビタスクリニック立川を開業。好評を博し、川崎駅、新宿駅にも展開。医療の問題点を最前線で感じ、情報発信している。医療ガバナンス学会理事、医療法人社団鉄医会理事長内科医、血液専門医、Certificate in Travel Health、International Society of Travel Medicine。

 

(トップ画像:「AbemaPrime」2020年1月22日)

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