-「打って生じる不都合が、打たない不都合を上回ることはありません」-

2020.01.13

予防接種で防げる感染症も、ワクチンへの信頼度が低いがゆえに流行を繰り返す日本。犠牲になる子供が後を絶ちません。

 

 

【まとめ】

 

☆日本では、ワクチンが定期接種化されている感染症で、なぜ繰り返し流行が起きてしまうのか?久住医師が『AERA』で解説しています。

 

☆『世界で最もワクチンが信頼されていない国の一つ』と批判された日本。ワクチンの効果や副反応に関するデマに惑わされないで。

 

☆ワクチンを打つことによるマイナスはありません。定期接種だけでなく大人も接種を。久住医師おススメの打つべきワクチンとは?

 

 

 

ナビタスクリニック理事長の久住医師が『AERA』の取材に応え、「苦しむ子ども ゼロにしたい ~ワクチン『打つ不都合』と『打たない不都合』~」特集で日本のワクチン問題について解説しています(2020年1月20日号)。

 

 

日本では、予防接種で防げるはずの感染症の犠牲になるお子さんが後を絶たない現状があります。なぜでしょうか? そして、どうすべきでしょうか? AERA掲載の 久住医師の解説コメントをご紹介します。

 

 

【AERA掲載・久住医師】なぜ流行が繰り返される?「大人が接種するという意識もない」

 

 

昨年の1年間で報告された患者数は、麻疹742人、風疹2,288人、百日咳16,335人(2019年初頭から12月15日まで、AERA)。いずれも予防接種で防ぐことができる感染症です。しかしワクチンが定期接種化、つまり無料接種となってから30年以上もたつというのに、数年おきに流行を繰り返してきました。

 

 

その結果、接種年齢に達していな乳児が感染して生命の危険にさらされたり、妊婦さんが風疹に感染して赤ちゃんが障害を持って生まれたり(先天性風疹症候群こちら)するケースも、いっこうになくならずにいます。

 

 

(Shutterstock)

 

 

予防効果の高いワクチンがあるのに、どうしてでしょうか?

 

 

これについて久住医師は、

 

 

「日本の定期予防接種制度は生年月日で厳格に区切られているので、対象外だった人はその後もキャッチアップされません。さらに、ワクチンに対する信頼度が低く、大人が接種するという意識もないのが原因です」

 

 

と分析します。

 

 

日本では、乳幼児期を中心とした定期接種以降は、インフルエンザワクチンの自主的な接種を除き、成人が予防接種を受ける機会はほとんどありません。65歳になってようやく、インフルエンザと肺炎球菌のワクチンが定期接種として受けられるようになるくらいです。

 

 

 

 

しかし本来、感染症の流行を防ぐには、社会全体で免疫保有率を高めていく必要があります。新生児や免疫力の低下した人など、予防接種を受けられない人もいます。感染力の特に高い麻疹などでは、集団免疫の成立には、95%の人が免疫を持っていなければなりません。ところが日本国内の抗体保有率は、麻疹も風疹も十分とは言えません(麻疹についてはこちら、風疹についてはこちら)。

 

 

実際、昨年末には国立感染症研究所が「風疹流行に関する緊急情報を発信しました。12 月 16 日~12 月 22 日の1週間で6人の患者が確認されたたためです。2014年以来報告されていなかった先天性風疹症候群のお子さんも、2019には4人生まれてきています。母親の胎内で影響を受けるため、2019年の流行によって、今年も先天性風疹症候群のお子さんの報告が続くと見られます。

 

 

(国立感染症研究所)

 

 

日本は、「世界で最もワクチンが信頼されていない国の一つ」(nature誌)

 

 

ワクチン接種が徹底されていない背景は、制度だけにとどまりません。

 

 

昨年には、最も権威ある科学雑誌の1つとされる英誌『ネイチャー』までもが、日本は「世界で最もワクチンが信頼されていない国の一つ」であると批判を展開しました。

 

 

 

 

日本は先進国でありながら、「打っても効かない」「副反応が怖い」など、世の中には不安をあおる怪情報が飛び交っています。いまだに「人工的な免疫は体に悪い」「自閉症になる可能性がある」といった、ほとんどデマとしか言えない話が国中でまかり通っています。

 

 

これに対し、久住医師は断言します。

 

 

「ワクチンを打って生じる不都合が、打たない不都合を上回ることはありません。公衆衛生を度外視して個人の利益だけを考えても、ワクチンを打つことによるマイナスはありません」

 

 

普通に考えて、感染症にかかってから治療するよりも、ワクチンで予防する方が機能障害や重篤化のリスクがはるかに小さくて済みます。費用対効果も高いと言えます。

 

 

(Shutterstock)

 

 

もちろん、副反応が皆無とは言いません。接種した部分が赤く腫れたり、体がだるくなったり、といった“軽微な”副反応は想定の範囲内。また、副反応の可能性がある重篤な症状も、10万接種に0.2~1件、ごくごく稀には報告されているそうです。

 

 

しかしこれについても、

 

 

「ワクチンが原因で死亡したり重い障害が残ったりするケースはまずない。重篤な副反応とは医療的な介入が必要だったケースのことで、ほとんどが問題なく回復します。むしろ、予防接種を受けないことで感染症にかかり、重症化する可能性の方がはるかに高いのです」

 

 

と、久住医師は指摘します。

 

 

定期接種以外にどんなワクチンを打つべきか? 久住医師のおススメは?

 

 

定期接種以外でも、久住医師が接種をおススメするワクチンは表の通り(AERAより掲載)。

 

 

(「AERA」2020年1月20日号)

 

 

特に、3種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア)は、両親だけでなく、予防接種開始前の乳児と接する人は全員打つべきとします。

 

 

3種混合ワクチンは、生きたウイルスを使った生ワクチンとは異なり、感染の恐れのない不活化ワクチンなので、妊婦さんなども安心して接種を受けることができます。妊娠後期に接種を受ければ、胎児への免疫の移行も期待できます。

 

 

 

 

ちなみに、インフルエンザワクチンは有効率が60%(予防接種を受けた集団では受けていない集団より感染者が60%少なくなる、という意味。麻疹・風疹は95%)と低いように見えますが、久住医師によれば、

 

 

「インフルエンザの場合、年齢によって効果が異なります。子どもでは、予防接種で発病者を3分の1くらいに減らせます。高齢者では、肺炎になったり重症化したりする人を減らす効果があります」

 

 

ということ。体力や年齢次第によっては、やはり必須と言うべきでしょう(表)。

 

 

 

 

ワクチンは人類の誇るべき素晴しい発明です。自分だけでなく、自分の大切な人のためにも積極的に接種を。あるいは、自分の知らない誰かのためにしかならないように見えても、きっと回りまわって、自分の大切な人を守ることになるはず。ワクチン接種を積極的にご検討ください。

 

 

(トップ画像:「AERA」2020年1月20日号

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