-「外国人患者さんに円滑に受診してもらうために」~現場からの医療改革推進協議会第14回シンポから③-

2019.12.25

ナビタスクリニック関連の5演題(久住医師司会)をご紹介するシリーズ、3人目はメディフォン株式会社代表取締役CEOの澤田真弓氏です。

 

 

【まとめ】

 

☆ナビタスクリニックでも外国人患者さんとのコミュニケーションに導入している「メディフォン」。澤田真弓・代表取締役CEOの講演をご紹介します。

 

☆医療通訳は、単に言葉だけでなく、相手の国の文化への理解に基づく情報の仲介が求められるプロフェッショナル。その地位の向上に尽力。

 

☆急増する世界中からの外国人患者で、トラブルも急増し、疲弊する医療現場。「円滑に受診してもらうには、外国人患者さんにも働きかけを」

 

 

 

「現場からの医療改革推進協議会」第14回シンポジウムから、今回は、医療現場での外国人患者さんとのコミュニケーションについて。ナビタスクリニックでも英語以外の外国人患者さんとのコミュニケーションに導入している遠隔医療通訳「メディフォン」の、代表取締役CEO・澤田真弓氏です。日本の医療機関への外国人患者受け入れサポートについて講演しました。(以下、まとめ)

 

 

外国人患者さんに日本の医療機関を円滑に受診してもらうために。

 

 

メディフォンは、「医療における言語障壁の解消」をミッションに2014年から、医療機関向けの遠隔医療通訳サービスを中心とした外国人患者受け入れ支援を行っています。

 

 

遠隔医療通訳は、電話やビデオ通話で医療知識を持つ通訳者が診察室とつながる仕組み。ナビタスクリニックでも導入し、特に英語以外を母国語とされる患者さんとのコミュニケーションに大いに活用しています。(以前の記事もご参照ください⇒こちら

 

 

メディフォンHPより)

 

 

医療通訳者は、厚労省の定義では、「言葉の媒介者」かつ「文化の仲介者」として、「患者が自分の意思で決定することができるように、患者の文化に適した方法で、かつ患者が理解できる方法で情報が提供されることを助ける存在」とされています。

 

 

澤田氏は、「医療通訳者は、ほとんどがボランティアであり、(社会的地位や収入が)非常に不安定な状態で、本人の善意に支えられてきた」「非常に専門性が高く学習が継続的に求められるにもかかわらず、プロフェッショナルとして社会的になかなか認められてこなかった職業だと思っています」と指摘。

 

 

(澤田氏講演より)

 

 

「その点、遠隔医療通訳は患者さんに同伴する必要がない分、コストの低下につながり、依頼が増加。それが雇用の増加につながり、育成機会が増えました」

 

 

「地位改善に努めてきたメディフォンの取り組みが実を結び始め、今では自治体や地域での外国人患者受け入れ体制整備にメディホンが活用されるようになってきました」

 

 

(澤田氏講演より)

 

 

動き始めた国。なぜ今、外国人患者の受け入れ体制整備が急務なのか? 

 

 

さらに近年、ようやく国レベルでも、外国人患者受け入れ体制の整備へ向けた動きが見えてきました。

 

 

昨年は自民党プロジェクトチームが発足し、内閣府のワーキンググループが「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策(案)」を策定するに至り、平成31年度予算では17億円が計上されることとなりました。引き続き厚労省の検討会や日本医師会の委員会で、施行について議論が続いています。

 

 

やはり外国人患者の増加を無視できない状況が、すでに出てきているのす。

 

 

日本は今、2030年の政府目標6000万人に向かって、順調に外国人観光客数が増えています。また、在日外国人労働者数も増え、5年間で最大34万5150人受け入れを見込んでいます。

 

 

「国内での外国人患者は、東京五輪を前に一時的に増加しているものではなく、中長期で増加し続けます。望む望まないとにかかわらず、いつでも外国人患者は当たり前に医療機関に来院する患者さんの1カテゴリーになっていくでしょう」と澤田氏。

 

 

 

 

国土交通省

 

 

「他方、2018年10月の厚労省全国調査では、回答した3,980病院のうち半数(49%)は外国人患者を受け入れていました。1,000人以上受け入れているところも7病院ありました。ただし、多言語対応の整備をしているのはどの地方でも10%未満で、体制の整わない状態で受け入れが行われていることが分かりました」

 

 

このような状況は実際、医療安全上の問題も引き起こしています。

 

 

外国人患者と言葉の問題によるインシデントが報告されたことのある病院は、回答274病院のうち13病院(4.7%)、17事例にのぼり、うち死亡例も1事例ありました(2017年)。また、別の調査でも、 『訴訟に発展した・発展する可能性があったトラブル』を1.3%の医療機関が経験しています」

 

 

訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ

 

 

このほかにも、最大1400万円の未収金が報告されるなど医療機関の経営に直接的にダメージを与えるトラブルや、沖縄や名古屋でのはしかの発生など輸入感染症の問題など、外国人患者をめぐる様々な問題が顕在化しつつあるそうです。

 

 

国土交通省

 

 

医療現場の負担も増える一方。外国人患者さんの側の理解促進が次の課題。

 

 

「ようやく国や社会機運は高まりました。しかし、言語だけでは解決しない、というのが、この5年間事業を運営してきて本当に実感していることです」

 

 

通訳を入れることで、医療従事者に時間を2倍以上かけさせることになります。また、最後に会計を行う日本の医療のシステムが分からず無料と勘違いして帰る患者さんもいるそうです。

 

 

今後、そうした医療現場の負担を軽減するには、「外国人患者さんの理解促進を図るべき」と澤田氏。次のようなステップに着手していると言います。

 

 

●多言語での医療機関予約支援「FIND YOUR DOCTOR」(医療通訳費用の削減にも)

 

 

(FIND YOUR DOCTOR

 

 

●待合室用の外国人患者さん向け動画(待合室では携帯電話を使わない、院内は撮影禁止、病院の受診には医院からの紹介状が必要、など)

 

 

(イメージ)

 

 

「国内すべての医療機関で外国人患者さんを問題なく受け入れできるよう、引き続き活動してまいります」

 

 

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