-電子タバコで深刻な健康被害、死者も・・・ ニコチン・タール無しでも肺に免疫障害!?-

2019.10.25

蒸気に含まれる化学物質が肺のリン脂質や白血球に異常を引き起こすと、科学的に明らかになってきました。

 

 

【まとめ】

 

☆米国では、ニコチンもタールも含まない電子タバコが原因で、思い呼吸器疾患を患う人が続出。死者も出ており、米国内では販売禁止へ。

 

☆電子タバコカートリッジの溶剤等に含まれる化学物質が、肺を覆うリン脂質や白血球に異常を引き起こすことが研究で明らかに。

 

☆加熱式タバコと電子タバコはどう違う? 電子タバコは“たばこ”ではありません。日本国内でも若者も購入できる懸念。

 

 

 

衝撃!「電子たばこが肺に免疫障害を引き起こす可能性、米大学の研究から明らかに」

 

 

「タバコを止めたいけれど、口さみしいから代用に」

「健康も気にしつつ、息抜きにちょっとした味と香りを楽しみたい」

「喫煙年齢に達していないけれど、なんとなくカッコいいから」

 

 

様々な理由で、電子タバコを愛用している人は少なくありません。たしかに日本で正規に流通している電子タバコは、ニコチンもタールも含まず、健康への悪影響の心配がないと言われてきました。そのため、昔ながらの紙巻きたばこや、近年流行の加熱式タバコと違い、老若男女問わず手軽に手を伸ばせるものでもあります。

 

 

 

 

ところが先日、そうした方たちには非常に残念で恐ろしい報道がありました。米国発、「電子たばこが肺に免疫障害を引き起こす可能性、米大学の研究から明らかに」というものです。

 

 

発端は、2019年6月から9月初旬までの間に、原因不明の呼吸器症例が米ユタ州で28件、同ウィスコンシン州で32件報告されたことでした。感染症ではないことが確認されていますが、呼吸困難や胸の痛み、息切れといった呼吸器症状の他、嘔吐や下痢の症状も。米国全体では、重篤な呼吸器疾患患者数が25州で200人超、2名の死者も出たといいます。

 

 

発症するまでは皆、健康的なごく普通の日常生活を送っていた人たちでした。ただし、その唯一の共通点が、全員が電子たばこを吸っていたことだったのです。

 

 

米疾病管理予防センター(CDC)や米食品医薬品局(FDA)が原因究明を急ぐ中、米国政府は9月11日に、ほぼすべての電子タバコの販売を禁止する方針を明らかにしました。既にいくつかの州では禁止措置がとられており、各地へ広がりを見せています。

 

 

 

 

電子タバコの蒸気に含まれる溶剤等の化学物質が肺を傷つけ、白血球の働きを妨げる。

 

 

米国政府が電子タバコの販売禁止を表明した直前、ベイラー医科大学の研究チームが米医学誌『Journal of Clinical Investigation』に発表したマウス研究の結果は、非常に衝撃的なものでした。

 

 

ニコチンを含まない電子たばこにより、肺の免疫機能が著しく損なわれることが分かったのです。蒸気をマウスに4カ月吸わせ続けたところ、汚染物質や感染からの肺の防御力が低下。紙巻きたばこによる障害とは異質の重い呼吸器症状が複数現れました。調べると、肺を覆う薄い脂質(リン脂質)と、マクロファージという白血球の一種に異常が生じていたのです。

 

 

リン脂質は、呼吸作用を担う細胞の働きを正常化させる役割を担っています。また、マクロファージには、病原体などの異物を丸のみにして排除する働きと、古くなったリン脂質をのみ込んで新陳代謝をうながす働きがあります。

 

 

千葉大学真菌医学研究センター

 

 

ところが電子タバコを吸い続けたマウスでは、この2つに異常を生じ、結果として感染症等への抵抗力が弱まったり、肺の細胞の正常な働きが妨げられたりしたのです。インフルエンザに感染した際には、肺の炎症と肺細胞へダメージが、通常より悪化することも観察されました。

 

 

詳細はさらなる研究を待つしかありませんが、電子タバコのカートリッジを満たす溶剤等から発生する化学物質が原因との考え方が有力視されています。

 

 

そもそも電子タバコってどんなもの? 流行りの加熱式タバコとは違うの?

 

 

近年、日本でも「加熱式タバコ」(アイコス、グロー、プルーム)が登場し、愛煙家たちの間に急速に浸透しています。加熱式タバコも電子タバコと同様、火を使わず専用装置を使用するという共通点があり、混同されることも少なくないようです。

 

 

 

 

しかし、両者は明確に線引きされています。加熱式タバコは、いわば「ニコチン吸入装置」。原料にタバコが使用されているので分類上は「タバコ」の一種で、ニコチンを含むタバコ成分が溶け込んだ蒸気を吸引します。

 

 

一方、国内で正規に流通している電子タバコは、厳密には「タバコ」ではありません。カートリッジに入った液体を電気加熱して霧状にし、吸引する、あくまで“タバコ類似品”です。ニコチンやタールのほか、一酸化炭素も発生しません。

 

 

「だから依存性も低く、健康にも問題ない、法的にも未成年でも吸える」として、幅広い人々から一定の需要があります。

 

 

しかし実際には毒性のある重金属や、高濃度の大気汚染物質、様々な刺激物質や有機化合物、ホルムアルデヒドなどの発がん化学物質が多数含まれることが、千葉大学と国立保健医療科学院の分析でも明らかになっています。

 

 

 

 

今まで“タバコ”の害ばかりに注目が集まり、黙認されてきた電子タバコ。安全性について、厳しい目で見直していくべき時が来ているようですね。

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