スギ花粉症は“治せる”かも、ってご存じですか? 「舌下免疫療法」が注目されています。
【まとめ】
☆スギ花粉症に、「舌下免疫療法」が有効です。ほぼ症状をなくすことができるかも。
☆スギ花粉の飛散が少なく、症状のない時期に始めて、月1回受診して行います。
☆同じような方法で、スギ花粉症だけでなく、ダニアレルギーも治療できます。
スギ花粉症に悩まされている方も、この時期、症状はもうだいぶ落ち着いたのではないでしょうか。花粉が飛び始める前の年明け頃から、抗アレルギー薬を数カ月間飲み続けていた、という方も少なくないでしょう。
それでも重症の方は毎年、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、涙、さらには皮膚炎(くわしくはこちら)といったつらい症状を防ぎきれないようです。
しかしこの花粉症、実は根治できる可能性があるってご存知でしたか? 「舌下免疫療法」と言います。2014年に保険適用となりました。
舌下免疫療法とは?
ざっくり言えば、症状を引き起こす元凶である花粉をあえて体に入れ、体を慣れさせる治療法です。結構な荒療治に聞こえますよね。もちろん、ごくごく少しずつ様子を見ながら入れていくので、辛いものではありません。
「舌下」というのは、舌の下からスギ花粉を体に入れる、ということ。また、花粉症をはじめとするアレルギー症状は、要は免疫システムの過剰反応で、その根本をなんとかしよう、ということで「免疫療法」と呼ばれます。
花粉症が起きるのは、花粉を外敵とみなした免疫細胞の仕業です。どうにかして追い出そうとした結果、鼻水や涙を出し、くしゃみを起こし、過剰な炎症反応に発展します。花粉のようなアレルギーの元になる物質を、「アレルゲン」と呼びます。
普通に考えれば、アレルゲンは体に入れないのが一番ですよね。しかし実は、アレルギーを起こさない程度に少しずつ体に入れ、その量を徐々に増やしていくことで、体を慣れさせる(=免疫システムの暴走を止める)ことができると分かったのです。
こうして、抗アレルギー薬が、鼻水や目のかゆみといった症状を抑えるだけのもの(対症療法)だったのに対し、舌下免疫療法ではアレルギーの起きる仕組みにアプローチ。大幅な症状緩和が可能となっています。残念ながら全員に効くわけではないのですが、8~9割の人に効果が認められています。
受診は月に1回、毎日自宅で服用
もちろん、この治療法は独断でやってはいけません。急激な全身症状(アナフィラキシーショック)を起こして命に関わる可能性があります。ですから医療機関でも、きちんと講習を受け、認められた登録医師だけが行えるようになっています。
☞ナビタスクリニックでも舌下免疫療法を受けることができますので、ぜひご相談ください。
大事なのは、今が始めどき!ということ。スギ花粉の飛散が少なく、症状の出ていない時期に始める必要があるからです。症状がきつく、辛い時に始めようと思っても遅いのです。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではなく、「思い立ったが吉日」で行きましょう!
月1回受診して、登録医の指導の下、体に入れる薬(実はアレルゲン)の量をだんだんに増やしていきます。毎日1回、3年以上続けねばなりませんから、根気が必要なのは確か。ただし毎日の服用は、自宅で大丈夫。薬を舌の下にしばらく置いておけば、粘膜から薬の成分が体の中に溶け込んでいきます。
ダニアレルギーも同じように治せます
実は、同じ方法で、ダニアレルギーも治療できます。こちらも別途、登録医として認められた医師のみが行うことができます。
☞もちろん、こちらもナビタスクリニックでも可能です!
ただ、花粉症についていえば、症状を引き起こすのはスギだけではありません(花粉カレンダーはこちら)。ヒノキは、「今年は昨年の43倍飛散」という報道もありました。これらスギ花粉に次いで患者の多いヒノキやブタクサなどについても、舌下免疫療法の登場が待たれますね。