目や鼻の症状だけでなく、スギだけでもないんです。
【まとめ】
☆春以降も症状があるなら、スギ以外の花粉症かも。
☆目や鼻、喉だけでなく、肌荒れなどの皮膚炎も。
☆花粉を「侵入者」と判断した、過剰な免疫反応です。
春だけじゃない、花粉は一年中飛んでいます
今や国民の4人に1人とも言われる花粉症。有名なのがスギ花粉症で、特にこの春は、症状が重かったり、新たに発症して、「これまで平気だったのに、目も鼻もおかしい。これって花粉症?」という人も少なくなかったようです。
スギ花粉症のピークは3月頃ですが、アレルギー症状を引き起こす花粉は、一年中飛散しています。「風邪じゃないのに、天気が良く風の強い日に外出すると、目や鼻がおかしい」といった場合、花粉症を疑ってみてもよいかもしれません。(花粉カレンダーはこちら)
しかも、意外なところに症状が出る人もいます。肌荒れです。「花粉症皮膚炎」とも言います。
顔や体に肌荒れが起きるほか、耳やえり首が赤くなってかゆくなることも。ザラついたりカサついたりしている肌では、バリア機能が低下しています。刺激に弱くなり、いつも使っている化粧水がしみてヒリヒリする、腫れてしまう、といった状態になる人も。
シラカバ花粉症など、皮膚症状を引き起こしやすいものもあるようです。
花粉症皮膚炎、なぜ起きる?
なぜそんなことが起きるのでしょうか?
そもそも花粉症とは、花粉によってひき起こされるアレルギー疾患をひっくるめた呼び方。体の中に侵入した花粉を「異物」と判断した免疫システムが、「大変!追い出さなきゃ」と過剰に働いてしまうものです。
鼻水や鼻づまり、くしゃみ、のどや目のかゆみ、涙、といった症状は全て、花粉を追い出すための手段、ということ。風邪との大きな違いは、発熱や胃腸症状がほとんどないこと。ただし、皮膚症状の他、頭痛や全身倦怠感まで引き起こすこともあります。
本当は花粉自体が悪さをするわけではありません。今日の日本では感染症を引き起こす細菌との接触が減り、免疫細胞の攻撃対象が減ったことも関係しているのでは、と考えられています。免疫細胞が「手が空いたから、仕事を探さなきゃ!」と、律儀に見つけてきた”敵”が、花粉だった、ということ。
その他に、飛散する花粉の増加、母乳から人工栄養(ミルク)への切り替え、食生活の変化、腸内細菌の変化なども、患者が増えている背景にあるとされています。
というわけで、花粉症皮膚炎は、免疫システムが暴走して、手当たり次第に攻撃指令を出した結果の一つ、ということです。
あやしいかも?と思った時の対処法
いつも使っている化粧水がしみたり、化粧乗りが悪くなって異変に気づいた、という場合、どうしたらいいでしょうか?
肌のバリア機能が低下しているので、放っておくと、そこから花粉が入り込んで症状を悪化させてしまいます。まずは、低刺激の保湿クリームなどで保護することが大事です。
また、花粉皮膚炎によく似た症状でも、別に原因がある場合もあります。化粧品や洗顔石けん、毛染め、目薬など、顔に触れるものです。いったんそれらの使用を中止して、症状が良くなるかどうかを確認してみてください。
やっぱり花粉症、と思ったら、放っておくと悪化しやすいため、早めに受診しましょう。
花粉症の一般的な自衛策も講じましょう。外出時はマスク、帽子、メガネを着用します。花粉を家の中に屋内に持ち込まないよう、帰宅したら玄関前で上着についた花粉をよく払い、できればすぐに入浴したいところ。洗濯物も、特に肌着などは乾燥機や室内干しがオススメです。