-麻しん、国立感染研が注意喚起! 品川の企業でも10人感染。今こそ集団接種を!-

2019.10.07

都内企業で集団感染が確認された麻しん(はしか)。非常に強い感染力で、気づいた頃には感染が広がっている可能性があります。

 

 

【まとめ】

 

☆麻しん患者が発生した川崎市と品川区で、相次いで注意喚起が出されました。品川では企業内で10人集団発生!

 

☆集団感染の背景に、企業としての予防対策への認識の甘さも。非常に強い感染力で、1人発見されたらすでに周囲に感染しています。

 

☆日本は麻疹排除国。しかしウイルスが入ってくれば感染者は出ます。欧州では排除国取り消しも。流行が収束しないのはなぜ?

 

 

 

再び“はしか”急増の危機?! 品川区の企業で10人集団感染も。

 

 

今月3日、国立感染症研究所が「⿇しん発⽣状況に関する注意喚起」を発表しました。

 

 

それによると、9月20日以降、神奈川県川崎市や東京都品川区で麻しん(はしか)の患者が相次ぎ、自治体として注意喚起が行われています。

 

 

川崎市.⿇しん(はしか)の患者の発⽣について(10 ⽉1⽇) 

 

 

 

東京都品川区.品川区内における⿇しん患者の発⽣についての注意喚起(10 ⽉ 2 ⽇) 

 

 

 

国立感染症研究所は、「感染症発生動向調査および自治体による積極的疫学調査より、これらの複数の麻しん患者が、公共交通機関を広範囲に利用しており、不特定多数の方と接触機会があった」として、感染のさらなる広がりを警告しています。

 

 

実際、公開情報にあるように、品川区では1つの会社から一気に10人の患者が集団感染しています。

 

 

この会社は三菱総研DCS株式会社で、同社ホームページも以下のように公表されています(10月2日付)。

 

 

 

なぜ集団感染は起きた? 非常に強い感染力と、予防意識の甘さ。

 

 

報道によると、同社の最初の感染者は、神奈川県在住でシステム開発部署に常駐している40歳代の協力会社男性社員。9月17日に、発熱などの症状から医療機関で麻疹と診断されたと報告があったそうです。

 

 

保健所の指導を受けながらその日のうちに症状確認などを行ったものの、同部署100人ほどの社員のうち、翌日以降、20〜50代の男女10人が感染していました。

 

 

同社では、感染が判明した10人を出勤停止にしたほか、取引先や顧客への連絡、社内外のイベント・会議の中止、品川本社全社員の抗体検査やワクチン接種など、感染拡大を防止するための対応に追われているといいます。

 

 

 

 

麻しんが恐ろしいのは、症状もさることながら、非常に強力なその感染力インフルエンザの6倍とも言われ、患者と同じ部屋に20分いただけでうつってしまいますドアノブでも数時間は生き残って、触った人が手を口や鼻にもっていけば、やはり感染します。

 

 

しかも、潜伏期間が通常10~12日程度とされます。感染していれば、発症前から人にうつす可能性があるのです。

 

 

感染者が一人でも出れば、それに気づいたときにはすでに周囲に感染が広がっていると見るべきと言えるでしょう。

 

 

 

 

実際、国立感染症研究所が発行している感染症週報によれば、直前の2019年9月16〜22日の間には、全国で麻しんが7例報告されていました(うち1例は、症状の現れない修飾麻しんが検査で分かったもの)。地域別の内訳は、埼玉県3例、千葉県1例、東京都1例、長野県1例、韓国1例でした。

 

 

この中の東京都の1例が、同社の社員と考えられます。そして翌週には、同社で一気に10人の患者が出たのです。

 

 

取材に対し、同社は「恥ずかしながら、麻疹や風疹が流行しているという危機感がなかった」と認めています。

 

 

大勢の社員を抱える大企業でありながら、また、これまでに麻しん流行が度々伝えられてきたにもかかわらず、認識不足から未対応だったために今回の集団発生につながってしまった、ということ。非常に残念です。

 

 

 

 

ナビタスクリニックは、集団予防接種をコーディネートするレクタスと特別提携を結び、これまでにも多くの企業で出張接種を行ってきました。企業の経営陣の方々には、危機管理の一環として、また今後のホワイト経営の常識として、企業内での集団接種をご検討いただくことをお勧めします。

 

 

世界的に収束の見えない麻しん。予防接種拒否は権利なの?

 

 

日本は世界保健機関(WHO)の「麻しん排除国」に認定されています。しかしそれは、日本国内で麻しん患者が自然発生していない、ということであって、入ってきた場合に流行しないわけではありません

 

 

麻しんは、米国など先進国ではほぼ撲滅したとされてきました。しかし、気になるのはヨーロッパでの流行です。

 

 

「The Guardian」誌によれば、ヨーロッパでは今年1~6月に9万件近い感染が確認されています。昨年1年間の感染件数は84,462件で、半年ですでにこの数字を上回り(グラフ)、37人が死亡したと言います。2016年には約5千件だったので、およそ17倍、この数年で急増しています。

 

 

「The Guardian」

 

 

また、ヨーロッパ53カ国中、35カ国が排除国に認定されていたところ、この8月に英国、ギリシャ、チェコ、アルバニアの4カ国では取り消されたそうです。

 

 

ベージュ:排除、赤:長期流行、黄:流行中断、黒:再流行

(「The Guardian」)

 

 

感染の広がりの背景として、WHOは予防接種率の低下と関連があると見ていると言います。

 

 

朝日新聞によれば、ヨーロッパ各国政府はそれぞれに対応を急いでいるようですが、一方でポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭により、科学的根拠のない議論が市民のみならず政権内部で広まっている国も少なくないようです。(以下、記事より要約して列挙)

 

 

●ドイツ

WHOに「流行国」とされている。7月に、予防接種をさせなかった親に最高2,500ユーロ(約29万円)の罰金を科す規制を閣議決定。「麻しんは多くの人が考えがちな『無害な子どもの病気』ではない」と説明。

 

 

●英国

小学校入学時に予防接種を義務化する動きがある。(タイムズ紙)

 

 

●イタリア

WHO「流行国」。政権を担う市民政党「五つ星運動」などを中心に、2017年に始まった予防接種の義務化を無効にしようとする議論が起きている。

 

 

●オランダ

「予防接種済み」を保育園の入園条件とすることを国会で議論する見通し。未接種園児の受け入れをやめるなど、対応を先行させる保育園も。「来られなくなる子どものことを考え悩んだが、子どもたちが安全に過ごせる場を提供する義務があると考えた」とのこと。ただし、接種反対派から脅すようなメールが連日届いている。「個別の判断ではなく、政府が制度化してほしい」

 

 

 

 

子供に予防接種を受けさせるかどうか、親にある程度の裁量が認められるのは理解できますし、そうあるべきとも考えられます。ただ、その判断を下すための情報が十分に科学的であること、広く共有されていることが必要ではないでしょうか。

 

 

であれば、国として正しい知識・情報を発信し、対策を講じていくことを求めます。と同時に、国の対応が後手後手であるならば、自ら発信し、アクションを起こしていくしかありません。ナビタスクリニックはこれからも、患者さんファーストで、患者さん目線で必要な情報を、正しく提供してまいります。

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