-【久住医師解説】大流行のデング熱、再び日本に持ち込まれる?! 有効な対策とは?-

2019.09.12

デング熱など蚊媒介感染症のリスクと身近な対策について、久住医師の解説をまとめました。

 

 

【まとめ】

 

☆東南アジアで大流行中のデング熱。久住医師がインターネット生放送番組で対策を解説しました。

 

☆感染症リスクを考え、有効成分の濃度の高い虫よけ剤を。スプレーよりジェルやクリームがおススメです。

 

☆肌を覆って露出を避ける、植木鉢の皿の水を捨てる(ボウフラ対策)など、身近で地道な対策を大事に!

 

 

 

来年の東京パラ五輪に備えて先日、新宿御苑でも国立感染症研究所などの指導で蚊の駆除訓練が行われたそうです。日本でのデング熱流行阻止を図るため、敷地内の蚊からデングウイルスが見つかったとの想定で、蚊を捕まえて生息密度を調べ、殺虫剤などを散布したといいます。

 

 

デング熱は、蚊によって媒介され、重症化するとショック症状が出て死に至ることもある感染症。東南アジアなど熱帯・亜熱帯で流行し、2014年には日本でも、約70年ぶりに国内感染が確認されました。

 

 

国立感染症研究所

 

 

これについて、ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が、インターネットニュース番組「ニューズ・オプエド」に生出演し、解説しました。以下、久住医師のコメント内容を中心にまとめていきます。

 

 

(ニューズ・オプエド)

 

 

今年は大流行年。ラグビーW杯や東京パラ五輪などで、国内持ち込みの可能性も高く。

 

 

デング熱は今年も東南アジアを中心に大流行しており、特にフィリピンでは8月の時点で600人超が死亡しました。保健当局が全国的流行を宣言し、警戒を呼びかけています。

 

 

来年は東京でパラ五輪も開催されますし、今年もラグビーのワールドカップがあり、東南アジアはじめ世界各国から人が日本にやってきます。その際にウイルスが持ち込まれる可能性は高いでしょう。

 

 

日本での感染・流行の仕組みとしては、ウイルスを持った蚊が日本に入ってくるのではなくて、ウイルスを持った人がまず日本に入ってきます。国内の蚊がその人を刺して血を吸うことでウイルスを持ち、次々と他の人々を刺して感染を広げます。

 

 

蚊は気温21℃くらいから活動を始めて、だいたい25℃くらいまで活発に動いて人の血を吸います。ですから10月くらいまでは感染が広がりうると言えます。

 

 

では何をどう注意するかですが、身の回りの地道な取り組みが大事です。

 

 

国立感染症研究所

 

 

感染症リスクを甘く見ず、虫よけ剤をしっかり塗って。選び方と使い方が重要です。

 

 

まず外出時には、虫よけ剤を適切に使うこと。

 

 

日本人は、虫よけをあまり積極的に使わないようです。塗っても刺されるイメージがあるのかもしれません。

 

 

塗っても刺されてしまうのは、使っている薬の有効成分濃度が薄いのと、塗り方に問題があるからです。

 

 

デイートあるいはイカリジンというのが虫よけの有効成分です。例えばディート30%の虫よけをしっかり塗れば、8時間くらいは効果が持続し、蚊に刺されずにいられます。汗で落ちない限り、半そで短パンで代々木公園を散歩していても大丈夫。ただし、実際には汗で落ちるので、塗り直しは必要です。

 

 

また、なんとなく虫よけ=化学物質、というイメージで嫌う人がいますが、基本的にはお子さんにも安全に使えます。ディートは生後6か月以上から、イカリジンは生後間もない赤ちゃんでも大丈夫です。

 

 

もし、むやみに化学物質だからと怖がって使用を避けても、それで蚊に刺されて感染するリスクはどうするのか。世の中ゼロリスクのものはないので、どうトレードオフして考えるかが大事です。

 

 

というのも、多くの国ではデング熱による死亡はほとんどが15歳以下で、小さい子供ほど危険が高いのです。大人も、高齢者で心臓や肺など内臓や全身の機能が弱っている人は、抵抗力が弱いので気を付ける必要があります。

 

 

虫よけの塗り方にもコツがあります。露出部は完全に網羅するよう塗ることが重要。また、実はスプレーはほとんどしっかり肌につかないんです。おすすめは、ローションタイプやクリーム状、ジェルタイプを手に取って、しっかり塗っていただく方法です。スプレータイプは、念を入れて服の上から使うのにはいいでしょう。

 

 

 

 

肌の露出を減らし、植木鉢の水を捨てる・・・身近な対策を地道にやっていきましょう!

 

 

あとは、できるだけ皮膚を布で覆うこと、露出を減らすことです。物理的な遮蔽が一番確実ですから。

 

 

 

 

外出時は毎回必ず、どこへ行く場合にも、とまでは言いません。デング熱を媒介するヒトスジシマカ、いわゆるヤブ蚊は、行動範囲がそれほど広くありません。茂みなどちょっと薄暗い、緑のあるところに行く時に気を付ければよいのです。

 

 

住まいに関してできることがあります。意識的に心がけていただきたいのは、蚊の幼虫であるボウフラがわく場所をなくすこと。家の周りの植木鉢の受け皿や側溝などに1週間くらい水がたまりっぱなしだと、蚊が卵を産み、幼虫がかえってしまいます。そうした水たまりがないか定期的にチェックして、こまめに水を捨てるようにしましょう。

 

 

 

 

近年の異常気象や温暖化が、蚊の媒介する感染症を広げているのではないか、ということも言われています。世界的にはデング熱だけでなく、蚊を媒介する病気の流行地域が広がりつつあります。

 

 

例えばブラジルでは、野口英世がアフリカで命を落とした黄熱病が、街中で流行するようになってきました。もともとは山の上で感染する病気だったのが、街中でかかり、犠牲者がすごく増えて問題になっています。

 

 

実は暑くなりすぎると蚊も活動しなくなります。日本では近年、夏は猛暑続きで蚊の活動が低下し、秋口に気温が下がってくると活発に活動するようになっていますね。

 

 

ですから温暖化との因果関係を立証するのは難しいですが、関係があるだろうという説が優勢です。

 

 

 

 

ヒトも自然の一部として活動していますから、自然の変動の大きな流れには逆らえません。ですから虫よけを使ったり、皮膚を覆って露出を減らしたり、植木鉢をまめにひっくり返したりして自衛していくことが大事なんですね。

 

 

久住英二(くすみ・えいじ)

ナビタスクリニック立川・川崎・新宿理事長。内科医、血液内科医、旅行医学、予防接種。新潟大学医学部卒業。虎の門病院血液科、東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門研究員を経て2008年、JR東日本立川駅にナビタスクリニック立川を開業。好評を博し、川崎駅、新宿駅にも展開。医療の問題点を最前線で感じ、情報発信している。医療ガバナンス学会理事、医療法人社団鉄医会理事長内科医、血液専門医、Certificate in Travel Health、International Society of Travel Medicine。

 

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