大ブームのタピオカドリンク。でも、高カロリーやアレルギーなど、気になる話も聞こえてきます。
【まとめ】
☆かつてないタピオカブーム。でも、そもそもタピオカって何?
☆タピオカは意外と低カロリー!? それなのに太るリスクはどこにある?
☆ブラックタピオカは、ある意外なアレルギーに注意!! 問題は着色料です。
(大阪税関)
街中がタピオカ一色だったこの夏、輸入量が過去最高を記録したそうです。大阪税関によると、今年上半期(1~6月)の全国の輸入量は前年同期の4.3倍(輸入額は5.7倍)で、上半期だけで昨年1年分を上回ったのだとか。
夏前にこの数字ですから、7・8月の消費量は相当なものだったでしょうね。
さて、ブームが過熱したことで、様々な疑問やウワサも聞こえてきています。「タピオカミルクティーは太る」「アレルギーを起こすらしい」といった健康に関するものから、「反社会的な組織の資金源らしい」といった話まで・・・。
ブームの社会的背景はさておき、ここでは健康という観点からタピオカの本当のところを確かめておきたいと思います。
タピオカって何モノ? そもそも何から出来てるの?
タピオカは、つるっとしてもっちりとした食感の、直径数㎜~1㎝程度の半透明の粒状の食べ物。黒やその他の色に着色したタピオカ粒を、冷たいミルクティーなどのドリンクに入れ、太いストローでドリンクと一緒に吸い上げて食べるのが今のブームの形です。
また以前から、中華点心のデザートとしても知られてきました。そちらはもっと小さな、直径5㎜程度の無着色の粒。甘くしたココナッツミルクに入れて、スプーンでいただきます。
独特のもちもちした食感は、「タピオカパール」と呼ばれる乾燥粒をゆでて調理することで生まれます。調理前のタピオカパールは、非常に硬く、噛み砕くのも難しいほどです。
ではその「タピオカパール」の正体はというと、実はキャッサバと呼ばれる南米原産のイモのでんぷんを固めたもの。
タピオカでんぷんの粉に水を加えて加熱すると、糊(のり)状になります。それを容器に入れて回転させていくと、しだいに雪だるま式に球形に加工され、粒ができます。それを乾燥させたものが「タピオカパール」です。
タピオカドリンクを作る際は、このタピオカパールの乾燥粒を再び煮戻して使います。そうするとあの独特のもちっとした食感が生まれるのです。
戻す方法は商品にもよりますが、大きく2通り。水に一晩漬けてふやかした後にたっぷりの湯で5~10分ゆでる方法か、乾燥したまま30分ゆでて火を消し、そのまま30分蒸らす方法です。どちらもその後、水で洗ってぬめりをとります。ゆで時間や蒸らし時間などが足りないと、中に硬い芯が残ってしまいます。
タピオカは太る? 実はタピオカだけなら意外と低カロリー。
大人気のタピオカですが、栄養・健康面で、気になる話も聞こえてきます。
まずは、「タピオカは太る」という話。
つるんとしたゼリーのようでもあり、こんにゃくや寒天を連想させる部分もあることから、タピオカ自体のカロリーについてはあまり気にしていない人も多いかもしれません。
ただ、先の通り原材料はでんぷん。むしろ、お餅や白玉、わらび餅などに近いものと考えた方がよさそうです。炭水化物のカタマリとなれば、当然、「太るのでは?」という心配が出てきます。
そこで文科省の食品成分データベースで調べてみると、ゆでたタピオカの100gあたりのカロリーは、62kcal。8割以上が水分であることが分かります。
タピオカドリンクに使われるタピオカは、ゆでた状態で1粒が約1g。一般的にドリンク1杯には、30~50粒入っているようなので、1杯飲むと30~50gのタピオカを食べることになります。
というわけで、タピオカドリンクに含まれるタピオカ自体のカロリーは、20~30kcalという計算。たしかにゼロではありませんが、意外と少ないと感じるのではないでしょうか?
太るリスクは、保存方法と“ミルクティー”の方にあった!
ただし、落とし穴が2つあります。
●その1:ゆでたタピオカは砂糖水で保存される。
専門店やカフェでは、タピオカパールをゆでた後、水に漬けて3~4時間は保存しておき、使います(それ以上は食感が変わってしまうので長期保存は無理)。ただしそのままだとタピオカ自体に甘みがなく物足りません。そこで、甘みをプラスするためにも砂糖水に漬けておくのが一般的です。
砂糖水が染み込むわけですから、美味しさとともにカロリーも上乗せされることに・・・。
ただ、その割合もたかが知れていますよね。問題は次です。
●その2:ドリンク自体のカロリーが高い。
タピオカドリンクの発祥は台湾。甘いアイスミルクティーにタピオカを入れて飲むのがオリジナルスタイルです。その後、様々なフレーバードリンクにタピオカを入れて楽しむようにもなっていますが、ほとんどが「甘い」飲み物です。タピオカよりドリンク自体のカロリーが高いのです。
実際、とあるコンビニで売られていたタピオカミルクティーの1商品(255g)には、タピオカが44粒入っていて、カロリーは155kcalとの表示でした。タピオカだけで約44g、約27kcalだとしたら、ミルクティーのカロリーは約210mLで128kcal(100mLあたり約60kcal)あることになります。
普通にペットボトルで清涼飲料として売られているミルクティーは、100mLで37kcal(キリン「午後の紅茶」ミルクティー)。それでも十分甘いと感じますよね。それもそのはず、100mLにステックシュガー(6g)が1.5本入っている計算です。
この考え方でいくと、タピオカミルクティーの“ミルクティー”は、100mLにスティックシュガーが2.5本分。糖分たっぷりの激甘仕様と分かります。
要するに、タピオカミルクティーをはじめとするタピオカドリンクは、「全体としてスイーツ」と考えておくべき。飲み物として、水分補給がわりに飲んでいたら、太るのは当然です。太るだけでなくメタボリックシンドロームや糖尿病にもつながりますので、飲みすぎはNGと心得ましょう。
ブラックタピオカ、「いか」アレルギーの人は要注意!?
さて、もう一つの気になる話が「アレルギー」です。
今のところ、タピオカでんぷんに対するアレルギーというのは、まず聞かれません。今問題になっているのは、意外にも「いか」アレルギー。
当然ながら、いかに対するアレルギーの人が、タピオカでんぷんに反応しているわけではありません。
問題は、「イカ墨」。
タピオカでんぷんは本来、無色(白)の粉。ゆでると半透明になります。ブラックタピオカは、そこにあえて黒い色を付けたものです。
業務用として輸入され販売されているブラックタピオカの多くは、黒い色を付けるのに「カラメル色素」を使っているようです。カラメル色素の是非は別の機会に譲るとして、カラメル色素ではアレルギー反応は起きません。
しかし最近では、カラメル色素ではなくイカ墨を使った商品が増えているのです。
特にコンビニやスーパーで売られているタピオカドリンクをチェックすると、原材料名のところに「着色料(イカ墨)」「イカスミ色素」などと書かれたものが半数近くを占めていました。それらには、「一部にイカを含む」と注意書きまでしてあります。
専門店やカフェなど外食産業のブラックタピオカ(業務用)で、着色にイカ墨を使っているものがどの程度あるのかはわかりません。ただ、強いイカアレルギーを持っていて、微量でもアナフィラキシー※の恐れがある場合は、くれぐれも慎重に。
※急性で激しいアレルギー反応。多くはアレルゲンの侵入から30分以内に、じんましんなどの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、蒼白や意識混濁などのショック症状が現れる。

(Aaron Amat/shutterstock)
いかアレルギーがある人は、加工食品として包装・販売されている商品は必ず原材料チェックを。外食産業の商品の場合は、イカ墨不使用が確認できない場合は口にしない方がいいかもしれませんね。