-肌のかゆみ、赤み、腫れ・・・これって湿疹? じんましん? どちらも多くは原因不明です。-

2019.08.27

   似て非なる2つの肌トラブル、見分け方や治療などについて、正しく知っていますか? 知識があれば慌てずにすみます。

 

 

【まとめ】

 

☆湿疹とじんましん、どちらも赤くてかゆい皮膚の出来物ですが、決定的な違いを知っていますか?

 

☆どちらも原因は様々で、たいていは不明。ただしどちらも、赤みやかゆみを生じさせているのは「ヒスタミン」です。

 

☆治療の基本は対症療法。全身にわたる場合は、塗り薬だけでなく抗アレルギーの飲み薬が有効です。

 

 

 

ある日突然、皮膚に現れたかゆい出来物、とても不快ですよね。「かゆみ」というのは、実は人にとって「痛み」よりも我慢が難しく、つらいものなのだそうです。

 

 

 

 

特に肌を露出することの多い今の季節は、腫れ赤みがあると、見た目も気になります。治った後に黒ずみなど跡が残るのかどうかも気になりますよね。

 

 

そうした皮膚のできもの(発疹)のうち、頻度が高くよく似ているのが、「湿疹」と「じんましん」。どちらも皮膚が赤くなってかゆくなる病気ですが、違いをご存じですか?

 

 

両者は症状の出方が違います。決定的に違うのは、特定の部分を観察していた場合に数時間以内に消えるかどうか、そして跡が残るかどうか、です。

 

 

湿疹は、皮膚そのものの異常。なかなか消えず、治っても跡が残りやすい!

 

 

湿疹は、出来てしまったらすぐには消えません。多くは少なくとも24時間以上~数日はかかる上、治ってからも跡が残ります。人や部位によっては跡がなかなか消えず、色素沈着を起こしてしまうことも多いものです。

 

 

 

 

というのも湿疹では、皮膚にかゆみが出て赤くなるだけでなく、皮膚の組織そのものに異変が生じているのです。

 

 

ぷつぷつしたり、カサカサしたり、しだいに皮がむけたり。水疱ができたり、膿がたまってジュクジュクしたり。皮膚の組織自体がダメージを受けた状態なっているので、1つひとつの発疹が治るのに数日かかってしまうのです。ダメージが大きいぶん、治っても傷跡のように色素が残り、黒ずんでしまいがち、というわけです。

 

 

 

 

じんましんは、跡形もなくきれいに消えて、でもまた出てくることも!

 

 

一方、じんましんは、それぞれの発疹は普通は24時間以内に跡形もなく消え、その代わり体のあちこちに現れたり消えたりします。

 

 

最も典型的なじんましんでは、赤くはっきりとした境目のある皮膚の盛り上がりが、突然出てきます。多くはかゆみを伴います。盛り上がりがつながって浮き上がった島のようになり、肌が赤白まだら模様に見えることも。

 

 

 

その後だんだんに、すーっと何事もなかったように消えていきます。消えたところを見ると、跡は全く残っていません。まっさらな肌に戻ります。(そうでなければ、じんましんではありません)

 

 

ただし、また現れることも。再び現れては消え、というのを繰り返しつつ、全体として治るまで、急性じんましんで通常おおよそ1~2週間かかります。慢性じんましんでは1カ月以上かかります。

 

 

 

 

1つひとつの膨らみが1~4mm程度と小さいタイプ(コリン性蕁麻疹)もあります。入浴や運動などで体が温まった時などによく見られ、大抵30分~1時間以内に消えます。

 

 

原因は不明? どちらも結局、アレルギーと同じ反応が起きている?

 

 

こうして症状が異なるので、湿疹とじんましんは異なる病気として分類されています。もちろん、発生の細かな仕組みも違います。

 

 

しかし、実はどちらも同じようなきっかけで起きることが多く、さらにかゆみや赤み、腫れを生じる最終的なメカニズムは基本的によく似ています。

 

 

ざっくり言えば、健康や皮膚の状態などの内的要因があるところに、環境や外部からの刺激といった外的要因が引き金となり、炎症反応がおきたものです。

 

 

(イメージ)

 

 

内的要因としては、健康状態や精神的ストレスによって皮膚の免疫力低下が低下していることや、アレルギー体質が大きく関係します。外的要因としては、細菌やウイルスなどの病原菌や化学物質、薬剤等が刺激になることもあれば、花粉やハウスダスト、金属などのアレルゲンのこともあります。

 

 

炎症反応は、アレルゲンやその他の外部刺激を受けると、皮膚の「肥満細胞(マスト細胞)」から、かゆみを引き起こすヒスタミンという物質が放出されます。ヒスタミンはさらに、血管を広げて皮膚に赤みを引き起こし、血管から漏れ出た血漿成分で腫れやふくらみが生じます。

 

 

第一薬品工業

 

 

ただし、湿疹でもじんましんでも、個別の症例について、直接の原因が分かるのは3割程度とも言われます。

 

 

それでも実際、最も多くの人に影響を与えているとみられるのが、ストレスです。

 

 

 

 

不安や緊張、イライラなど、精神的ストレスを感じると、免疫力が落ち、外部の刺激に対して敏感になります。結果、普段どおりの刺激でも過剰反応が起き、炎症症状が出やすくなると考えられます。

 

 

仕事上や人間関係のストレスからは、誰もが簡単に逃げられるわけではありませんが、少しでもストレスを発散できる方法を見つけたり、相談相手を見つけたり、視野を広げたりすることで、影響を軽減できるといいですね。

 

 

 

 

治療は基本、対症療法。塗り薬だけでなく、内服薬も併用します。

 

 

アレルゲンなど原因が突き止められる場合は、突き止めて除去したり回避したりすれば、症状は治まってきます。ただ、いったん出た症状は、炎症が炎症を呼び、いずれにしてもそのままではなかなか収まりません。薬などで鎮めてやることが大事です。

 

 

一般的な市販のかゆみ止め塗り薬(外用薬)で足りれば、それでもかまいません。

 

 

 

 

ただ、症状が治まらない、むしろ発疹の数やかゆみ、赤みが増してきた、というなら、まずは皮膚科を受診しましょう。

 

 

受診した場合も、問診や視診、触診で原因を検討すると同時に、症状を抑える治療(対症療法)が行われます。

 

 

まず塗り薬(外用薬)は、比較的軽いかゆみや赤みの場合は、抗ヒスタミン外用薬を使います。赤みや腫れなどの炎症がひどければ、ステロイド外用薬も使われます。

 

 

 

 

発疹が広範囲~全身にわたっている、薬の塗りにくい部位がかゆい、かゆみが長引いて眠れない、といった場合は、抗アレルギー剤の飲み薬も服用します。原因がアレルギーかどうかはともかく、ヒスタミンによるかゆみなどの発生は、アレルギーと同じ現象だからです。

 

 

 

 

内服薬には個人差も大きく、1~2週間使っても十分な効果が見られなかったり、眠気などの副作用が強かったりする場合は、医師に相談して薬を切り替えてもらうなどしましょう。

 

 

いずれにしても、原因不明の発疹が続く場合は、感染症やその他内科的な原因の場合もあります。まずは受診して医師の判断を仰ぐことをお勧めします。

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