足汗はムレのもと。常在菌を含む雑菌を増やし、ニオイや水虫、蚊を呼び寄せます。
【まとめ】
☆足は想像以上によく汗をかきます。ムレが常在菌や雑菌を繁殖させ、ニオイ・水虫・蚊を招きます。
☆靴下と靴の選び方で、足回りの環境は大きく変わります。どんな素材・形を選ぶべき?
☆頼れる足用の制汗剤。制汗成分は基本的には体用と同じ。選び方のポイントをおさらい。
足は10時間で200mLもの汗をかく! 雑菌繁殖の温床に。
前回の足のニオイ対策(こちら)では、皮膚の常在菌が角質を分解し、ニオイ物質の1つ「イソ吉草酸アルデヒド」を作り出すこと、そのために角質ケアを採り入れることをご提案しました。今回は、それに加えておススメする足汗対策です。
前回のロート製薬のグラフをよく見ていただくと、足のニオイ発生実験では、常在菌と角質だけでなく、そこに人工の汗を加えていることが分かります。深く関与しているのが、足の汗です。再掲しておきますね。
(ロート製薬)
ヒトの足は、そもそも1年中汗をかきやすい部位です。靴を履いた状態で約10時間過ごすと、両足でコップ1杯(約200mL)もの汗をかくそうです。靴を履いていると通気性に乏しく、足が蒸れてしまうのも無理はありません。
問題は、その汗によって雑菌が繁殖するのに絶好の環境が整ってしまうこと。
角質に加えて汗に含まれる皮脂などの有機成分によって、雑菌とってはエサがさらにおいしくなります。さらに、靴の中は体温と汗とで雑菌の繁殖にぴったりの高温多湿環境に。ニオイも強まり、水虫も悪化し、蚊もますます寄ってきます。
ですから、足汗ケアはニオイ・水虫・蚊対策に有効。いくつか簡単にできることを確認してみましょう。
靴下と靴選びのポイントは? 素材と形状が熱さとムレ具合を左右。
まずは靴下。素材は、何と言っても綿が吸湿性に優れます。そして出来れば5本指ソックスを。足指の間の汗も吸ってくれます。女性でストッキングを履かねばらなない人は、5本指になった汗取りクッションなどを活用しましょう。
ただ、そのまま履きっぱなしでは意味がありません。長時間靴を履き続けなければならない時でも、替えのソックスを1~2足バッグに忍ばせていくことをお勧めします。
靴は、女性ならサンダルや、オープントゥパンプスだと蒸れにくいですよね。それ以外でも、絶対に直履きは止めましょう。古い角質や汗などの汚れがエサとして靴に溜まり、ニオイの原因になります。
ビジネスシーンでかっちりした革靴やパンプスを履かねばらないなら、合成皮革製よりも天然皮革製がオススメ。見た目は一緒ですが、合皮はビニールに近くほぼ通気無しなのに対し、天然皮革はもともと生き物の皮膚ですから、湿気を吸ったり逃がしたりする性質を持っているのです。
そしてどんな素材でも、履いた後は丸1日以上は陰干しして、靴を休ませてください。
また、この時期は地面が熱くて余計に汗をかいたり蒸れたりしますが、女性でヒール靴が苦痛でなければ、ヒールが高い方がその熱を直接受けずに済みますね。
できれば色も、黒などの濃色よりも、白や薄いベージュなどの明るい色の方が熱を吸収しません。
足用制汗剤も活用。成分をチェックして、制汗効果の高いものを選んで。
さて、足の汗そのものの対策としては、足用の制汗剤がやはりお手軽で効果的。選ぶ際に注意するポイントは、体用の制汗剤とほぼ同様です。(こちら)
まずは、その商品が「制汗効果」と「殺菌・消臭効果」のどちらをメインにしているか確認しましょう。足用の場合も大抵は全ての効果を狙っていますが、殺菌・消臭成分が中心のものだと、効き目の弱い制汗成分が使われている場合があります。
制汗成分は、おさらいになりますが、塩化アルミニウムもしくはクロルヒドロキシアルミニウムがお勧めです。汗腺の出口にフタをしてくれる効果があるからです。
特に効果の高い塩化アルミニウムは、脇の皮膚は弱くてかぶれてしまう人が少なくないのですが、足の場合は皮膚が比較的丈夫なので問題の出ないことが多いようです。皮膚科では一般的に、脇には20%塩化アルミニウム溶液を使う場合でも、足には40%塩化アルミニウム溶液を外用することも。
なお、市販品では塩化アルミニウム13%が今のところ最高濃度となっています(主にネット販売)。ただ、13%でも、また足の皮膚でも、ダメージを受けてしまう人もいますから、塩化アルミニウムを試したい場合は、やはり受診をお勧めします。
どんな制汗成分の場合も、制汗剤は広く使うことが大事。足指の間やつけ根はもちろん、ムレが気になるくらい足汗をかく人は、足裏全体にも塗るようにしましょう。
以上、足の角質・雑菌・汗をケアして、少しでも気持ちよく夏を乗り切りましょう!