-体のニオイと多汗対策に欠かせない「制汗剤」。どこを見て選べばいい?-

2019.08.10

気になる汗や汗のニオイ、体質改善でも追い付かなければ「制汗剤」を。制汗成分の違いを知っておくと、製品選びに役立ちますよ。

 

 

【まとめ】

 

☆制汗剤は、汗腺の出口にフタをしたり、引き締めたりして汗を抑制する薬剤。通常は制汗成分に殺菌・消臭成分を配合。

 

☆制汗成分によって効き目が違うので、購入前にチェック。塩化アルミニウムは、制汗力は高いけれど、皮膚への刺激が強いのが難点。

 

☆肌が弱い人やニオイの薄い人は昔ながらのミョウバンも。いずれにしても清潔な皮膚に使うのが鉄則です。

 

 

 

「制汗剤」って何? 基本は汗を止める効果、プラス殺菌・消臭効果。

 

 

汗や体のニオイについて、これまで何度かお伝えしてきました。

 

 

〇汗がニオうのは汗をかかないから?!ーーニオイケアは逆転の発想が大事です。

 

〇気になる体のニオイ・・・暑さのせいじゃなかった! 疾患や体調不良が潜んでいる場合も。

 

〇ダイエットで体のニオイがきつくなる!? 食べ物やストレスと上手に付き合って。

 

 

そこでご紹介した対策を試しても、腋臭(いわゆるワキガ)など抑えきれないニオイや、脇汗など局所的な汗そのものが気になるなら、やはり制汗剤を活用しましょう。

 

 

 

 

制汗剤は、「汗腺を閉塞あるいは収れんさせることによって、発汗量を減少させようとする薬剤」のこと。分かりやすく言えば、汗の出口にフタをする(閉塞)か、出口そのものを引き締める(収れん)ことで汗をできるだけ止めてしまおう、というものです。

 

 

制汗成分にはいくつか主要なものがあり、効き目や刺激等に違いがあります。ですから製品を選ぶ際には、イメージや謳い文句だけでなく、成分もチェックすることが大事。次項で改めてご紹介します。

 

 

 

 

なお、市販の制汗剤には、制汗成分の他に殺菌成分と消臭成分を配合してあるのが普通。

 

 

これまでにご説明してきたとおり、皮膚の常在菌がニオイを作り出します。そこで菌の繁殖を抑えることで、発生源からニオイを断とうとするのが殺菌成分。例えば、「イソプロピルメチルフェノール」や「塩化ベンザルコニウム」は、常在菌の一種である「ジフテロイド菌」を殺菌します。

 

 

また、発生してしまったニオイ成分(短鎖脂肪酸など)を中和したり吸着したりして、ニオイを解消したり減らしたりする効果を狙うのが消臭成分です。

 

 

通常、制汗成分だけでは完全に汗は抑えきれないため、時間がたてば少なからずニオイは出てきてしまうもの。そこでこの2つの成分が重要な役割を担っているのです。(逆に、この2つだけではニオイ対策も追い付かず、脇汗なども解消できません)

 

 

性状については、スプレー、スティック、ローション、ロールオンなど色々ありますが、制汗・殺菌・消臭成分は製品それぞれ。制汗成分をチェックした上で、どのタイプが使いやすいか加味して選ぶと良いですね。

 

 

選ぶ時は成分表示に注目! 効果の違いは? 進化している制汗剤。

 

 

では、制汗成分を見て行きましょう。

 

 

 

 

まずは、「塩化アルミニウム」(アルミニウムクロリッド)。

 

 

制汗効果はかなり高く、多汗症の治療に医療機関でも使われる成分です。汗腺で汗と反応してゲル状になり、汗の出口を閉塞させる(フタする)仕組みです。

 

 

医療機関では、塩化アルミニウムの20~30%水溶液あるいはアルコール溶液あるいは水溶液を、寝る前に気になる部分に塗るように指導されます。通常は一日1回ですが、日中に使用してもかまいません。効果を実感するまで2~3週間続ける必要があります。

 

 

ただし、注意点も。塩化アルミニウムは効果も高いのですが、肌への刺激も強め。かぶれやかゆみを引き起こしやすい(場合によっては衣服に影響が出るとも)ので、肌の弱い人は注意が必要です。「他の成分で効き目が弱く、どうしても試したい」といった場合は、市販品を入手する前に医療機関で相談することをお勧めします。

 

 

北海道曹達株式会社

 

富士市立中央病院

 

 

次に制汗力が高いとされるのが、「クロルヒドロキシアルミニウム」。制汗成分としてもっとも一般的に制汗剤に使われている成分です。塩化アルミニウムの改良品で、肌への刺激が少ないことが人気の理由。

 

 

ただ、ネットなどで口コミを見ると、クロルヒドロキシアルミニウムを使った商品は、制汗力にばらつきがありそうです。最近は制汗剤も進化していて、制汗成分だけでなくポリマーなどで「膜」を作って汗を抑えるものも。そうした成分も一緒に配合されている製品の方が、制汗効果は高いようです。

 

 

昔ながらのミョウバンの効き目は? どの製品も清潔な皮膚に使うのが鉄則。

 

 

さらに、「パラフェノールスルホン酸亜鉛」(フェノールスルホン酸亜鉛)という制汗成分が使われている場合もあります。主に毛穴を収れんさせる(引き締める)ことで汗を抑えるもの。塩化アルミニウムほどではありませんが、汗の出口にフタをする作用もあり、使用を続けるほど効き目が上がるとの報告もあります。

 

 

汗腺の出口を「収れん」させる効果なら、昔から制汗に使われる「焼ミョウバン」でも得られます。ミョウバンは天然の鉱物(無水硫酸カリウムアルミニウム)で、食品添加物でもあり、安全性はお墨付き。多くのデオドラント商品に配合されてきました。汗と反応して酸性になるので、ニオイを発生させる雑菌の繁殖を抑える効果もあります。

 

 

 

 

 

 

両方とも低刺激で肌に優しいことが一番の安心ポイント。そのかわり、制汗効果はどちらも低めです。肌が弱い、ニオイについてはそれほど強くないけど気になる、という方は、まずこうした成分のものから試してみてはいかがでしょうか。

 

 

いずれにしても、制汗剤を使う場合は、皮膚が清潔な状態であることが大前提。汗やニオイが出ている状態で使っても十分な効果は得られません。お風呂上がりの肌に早めに使うのが効果的です。

 

 

日中も、汗をかいたらこまめにシャワーを浴びるなど、石けんを使ってニオイがちな皮脂まできちんと洗い流すのがベスト。とはいえ、それができないことの方が多いでしょうから、かわりに殺菌成分の入ったウェットティッシュを持ち歩きましょう。汗をかいたら衣服につく前にしっかり拭いて、制汗剤を再び使用します。

 

 

 

 

今の暑い時期、長丁場になる時は、替えのインナー(肌着)なども用意しておきたいもの。汗じみやニオイが気になる前に早め早めに手を打っていきましょうね。

 

 

(参考サイト)

日本皮膚科学会

日本化粧品技術者会

- Recommend -

2019.08.18

実は足はコップ1杯の汗をかく。足汗ケアもニオイ対策に不可欠!...

2019.08.13

足のニオイが気になったら、角質ケアを取り入れて。でも、やり過...

2019.08.10

体のニオイと多汗対策に欠かせない「制汗剤」。どこを見て選べば...

2019.08.08

乳幼児を冷房漬けにしてはいけない、意外な理由――熱中症体質が...