足のニオイも、実は誰の皮膚にもいる常在菌が作り出しています。適度な角質ケアで水虫や蚊も遠ざけましょう!
【まとめ】
☆足のニオイの原因の1つは、「吉草酸アルデヒド」という物質。チーズや納豆のような、すっぱい腐敗臭に近い“特定悪臭物質”です。
☆吉草酸アルデヒドは、足の角質をエサに、常在菌が作り出しています。角質ケアで、足のニオイも、水虫も、蚊も遠ざけましょう。
☆そもそもなぜ足は角質が溜まってしまうの? 角質ケアをやり過ぎてはいけない理由がそこにあります。
足のニオイの原因物質、皮膚の常在菌が作り出す「イソ吉草酸アルデヒド」。
体のニオイについてこのところ頻繁に取り上げてきましたが、特に足のニオイで悩んでいる方も少なくありません。
足のあの独特の嫌なニオイの原因の1つは、「イソ吉草酸アルデヒド」という物質。ロート製薬が研究を行い、2015年に発表しています。
イソ吉草酸アルデヒドは、常温で独特の刺激臭のある無色の液体です。特定悪臭物質にも認定されていて、納豆やチーズのような、何とも言えない酸っぱい、腐敗臭に近いニオイがします。
ロート製薬によると、足の汗に含まれるイソ吉草酸アルデヒドが多い人ほど、足のニオイがきつかったそうです。
(ロート製薬)
常在菌のエサは皮膚の角質。ニオイだけじゃなく水虫や蚊が寄って来る原因にも。
汗や体のニオイは皮膚の常在菌が皮膚やその汚れ、皮脂を分解して発していることは先日からお伝えしている通りです(こちら)。
足のニオイも同じ。皮膚の常在菌が足の古い角質を分解し、作り出している物質の1つがイソ吉草酸アルデヒドなのです。
ロート製薬の実験でも、皮膚常在菌とアミノ酸(皮膚を構成するタンパク質の材料)や角層を一緒に培養すると、イソ吉草酸アルデヒドが発生しました。中でも、皮膚の常在菌として非常に一般的なブドウ球菌が、さかんにイソ吉草酸アルデヒドを作り出すことが分かりました。
(ロート製薬)
足の角質は、ニオイを作り出す常在菌だけでなく、水虫の原因である白癬菌(カビの仲間)のエサでもあります。また、エサが豊富であれば、様々な雑菌を受け入れる余地が広がりますから、結果として、先日お伝えしたように蚊が引き寄せられてくることにも(こちら)。
皮膚の常在菌は本来全てが悪いわけではありません。様々な常在菌がバランスを保って存在し、増え過ぎない限り、皮膚の表面を弱酸性に保ち守る役割も担っています。
それでもバランスが崩れたり、増えすぎたりすると臭いのもとになります。
そこで毎日の入浴で普通に汚れを落とし、足の清潔を保つのはもちろん、定期的に角質ケアなどを取り入れて、常在菌のエサが増え過ぎないようコントロールしていくのがおススメです。
角質はなぜ溜まる? 角質ケアはやり過ぎない程度に、自分に合った方法を見つけて。
自宅でできる角質ケアは、いくつか方法があります。
●足用スクラブ石けん
毎日お風呂で足を洗う際に使用します。普通にこの石けんで洗うだけ。効果は比較的マイルドなので、角質があまり溜まっていない方や、強い角質ケア後に状態を維持するのに向いています。
●角質ローラー・足用ヤスリ
ヤスリで一気に角質を削るので、簡単で即効性あり。しかし肌への負担が大きく、削り過ぎてしまう人が多いようです。足が湿っていると削り過ぎてしまうので、乾いた足に行います。削り過ぎは乾燥のもととなり、長い目で見ると角質をかえって厚くすることにも。週に1回までが適度です。
●角質パック
お風呂あがりの軟らかくなった角質を、ピーリング剤で溶かすタイプ。靴下状のパックを足に付け、一定時間放置した後に、シャワーで洗い流します。それから数日間かけてだんだんと角質の部分がむけてきます。本格的ですが、この数日間は我慢が必要かも。また、使い過ぎは禁物で、数ヶ月に1回が目安です。
いずれの方法でも、角質を除去した後は、必ずクリームなどで保湿と保護を忘れずに。
角質ケアは、やった方がいいけれど、やり過ぎてはいけない、という点がポイントです。それは、なぜ角質が溜まるかに関係しています。
もともと足の裏の皮膚は、生まれ変わり(ターンオーバー)の周期が長く、120日かかると言われています。角質が剥がれ落ちにくく、溜まりやすく、硬くなりやすいのです。
さらに、足の裏は、歩く時、走る時、ただ立っている時も、常に自分の体重を支え、地面と間接的にでも触れあっています。寝ている時でさえ、かかとや足のサイドは布団と触れ合っています。地上で生活する限り、ほぼ24時間、常に刺激を受け続けているのです。
その刺激から足を守るために、角質は厚くなっていきます。刺激が多いほど角質は溜まり、硬くなっていきます。そのため、立ち仕事の人や、日常的に運動をしている人は、足の角質が厚くなりやすいと言えます。
そこへもしたくさんの刺激を与えれば、さらに足を守り、角質を蓄えようとします。ですから必要以上に削ってしまったり、頻繁に刺激を与えたりしてはいけないのです。
このことを踏まえ、角質ケアの方法を検討してみてください。それぞれに長所短所があるので、自分の足の状態や性格に合った方法を見つけて採り入れたいですね。