-蚊に刺されたくないなら、まずは足を清潔に! 蚊に刺されやすい血液型は?-

2019.08.06

蚊の刺されやすさには個人差があります。決め手は足!虫よけ剤以外にできることがあります。

 

 

【まとめ】

☆蚊に刺されやすい人と、蚊に刺されにくい人がいる? 気のせいではありません。決め手は「足」!

 

☆問題は足のニオイではありません。でも、足をきれいにすると蚊に刺されなくなるのはなぜ?

 

☆血液型によっても刺されやすさが違うって本当? 蚊媒介感染症と血液型との関係は?

 

 

 

先日は虫よけ剤の選び方として、有効成分とその配合率「ディート30%」「イカリジン15%」に注目することをお伝えしました(こちら)。

 

 

ただ、そもそも蚊に刺されやすい人と、刺されにくい人がいるように思いませんか? 蚊は何を狙って近づいてくるのでしょうか。

 

 

蚊は、足の雑菌が発する物質で興奮し、人を刺して血を吸います!

 

 

この話、2016年に京都の高校生が発見したことで大きなニュースになりました。ご記憶の方も多いかもしれません。

 

 

高校生は妹の蚊アレルギーを見て、何とかしてあげたいと中学3年生からヒトスジシマカの実験を開始。妹の履いた靴下に反応してメスが集まり、そこにオスが引き寄せられ、何度も交尾が行われるのを見て、誘引物質の存在に気付いたとのこと。

 

 

 

 

その誘因こそが、足の常在菌(雑菌)。

 

 

ヒトの鼻でかぎ分けられる「ニオイ」とは別に(妹さんの靴下はお父さんよりニオわないのに、妹さんの方がよく蚊に刺されたとのこと)、一部の常在菌が出す脂肪酸などの化学物質やその割合が、蚊を興奮させ、血を吸おうとさせると考えられています。

 

 

そこで蚊にできるだけ刺されないためにおススメなのが、とにかく足を清潔にすること!!

 

 

 

 

 

足を頻繁に石けんで洗い、靴や靴下もできるだけ新しいものを身に着けるといいですね。それほど頻繁に洗えない場合は、アルコール消毒でもOKです。(妹さんの足をアルコール消毒したら、蚊に刺される数は3分の1に激減したんだとか!)

 

 

蚊は、吐く息に含まれる二酸化炭素や、体から発する乳酸、も察知する。

 

 

この「足の雑菌」に関する事実が発見される前から、蚊の誘引物質についての研究は世界各地で行われてきました。

 

 

特に、蚊はヒトの吐く息に含まれる二酸化炭素や、手のひらなど皮膚表面から発する乳酸などを感知して近づいてくることはよく知られています。1962年の国内の文献でも、それを証明した実験が紹介されています。

 

 

一説には、蚊は二酸化炭素の濃度差によって、無風状態なら10m離れたところにいるヒトの存在に気づくことができるそうです。そうやってまず二酸化炭素を手掛かりに遠くからおびき寄せられてきます。

 

 

 

 

そうして近づいてくると、先ほどの足の雑菌や乳酸などから発せられるガス成分を感知します。これらによって、ヒトの存在の確信を得て、吸血行動を起こすのです。

 

 

さらに蚊は体温も感知します。ヒトの体温で温められるのは、周囲の空気40㎝四方程度と言われています。ちなみに、体温以上に高い温度だとヒトではないと分かり、また逆に気温が40℃近くなってしまうとヒトの体温が分からなくなってしまうそうです。

 

 

ただ、こうして見ると、吐息を制限したり、熱い中で体温を遮る服を着るのは無理ですよね。ですから、対策できるのはやはり、足の雑菌や乳酸などから発せられる成分。こまめにシャワーを浴びるなど体の清潔を保つことが蚊対策に有効というわけです。

 

 

蚊に刺されやすい血液型? 蚊媒介感染症とのカンケイは?

 

 

ウソのような話ですが、蚊に刺されやすい血液型はあるようです。

 

 

結論から言えば、O型

 

 

 

 

1972年の「nature」論文では、メスのハマダラカ20匹を使い、10分間に腕を何か所刺されるかカウントし、さらに蚊の体内から吸った血液をとり出して血液型を確認しています。その結果、被験者102人中、O型の人は平均5.045カ所、一方、O型以外の人は平均3.503カ所刺されていました

 

 

日本でも、ヒトスジシマカ(いわゆるヤブカ)で64人の被験者を対象に同じような実験をした人がいて、O型がA型よりも2倍刺されやすいという結果だったそうです。

 

 

こうした研究から、O型が蚊に刺されやすいのは事実として間違いではないよう。ただ、その理由やメカニズムはまだはっきりしていません

 

 

一方、蚊が媒介する感染症のかかりやすさとなると、また違った結果が出てきます。

 

 

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1980年のインドの研究では、マラリア患者736人を調べると、その土地の血液型の構成比と合致せずA型の患者が多くO型の患者は少ないことが分かりました。同じように1998年のジンバブエの研究でも、489人のマラリア患者のうち、重症例はO型に少なく、O型以外の患者は重症化する傾向が見られました。こうした研究は繰り返し行われ、2012年にもインドで同様の研究結果が出ています。

 

 

以上から、O型はマラリアに抵抗性があると見られます。実際、マラリア流行地域の住民にはO型の人が多いのだとか。マラリアによってO型以外の人々は淘汰されていった結果ではないかという説もあります。ただし、こちらも科学的なメカニズムはまだ分かっていません。

 

 

また、デング熱では、AB型が重症化リスクが高く、O型は低い、という2018年の研究結果(スリランカ)もあります。

 

 

血液型は変えられませんが、東南アジアやアフリカ、南米など蚊媒介感染症の流行国に行く場合は、ちょっと覚えておくと、心構えが違ってくるかもしれませんね。

 

 

いずれにしても、まずは足を清潔に、そして有効成分濃度の高い虫よけ剤を使うこと。この2本立てで、蚊から身を守っていきましょう!

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