-気になる体のニオイ・・・暑さのせいじゃなかった! 疾患や体調不良が潜んでいる場合も。-

2019.07.27

体のニオイは病気や体調と密接な関係があることも。兆候を見つけたら体調や生活改善を意識してみましょう。

 

 

【まとめ】

 

☆体のニオイは体調と密接な関係も。例えば、糖尿病だと甘酸っぱいニオイがするのはなぜ?

 

☆加齢臭は生活習慣病のサインだった! ツンとするアンモニア臭は、肝機能低下のせいかも。

 

☆適度な運動や食事、生活習慣の見直しが大事! 効果的とされる栄養素もありますが、サプリ選びは慎重に。

 

 

 

前回、汗は本来、無臭だという話をしました(こちら)。特に、「以前はそんなことなかったのに、最近なんだか汗がニオう気がする。清潔を心がけているのに」という人はいませんか? もしかしたら、蒸し暑さでニオイを強く感じているだけではないかも。病気や体調不良を知らせる体のSOSの場合があるのです。

 

 

今回は汗のニオイと病気や体調不良の関係を3つ、改善のためにできることと併せてご紹介します。

 

 

体から甘酸っぱいニオイ…糖尿病の可能性。有酸素運動を取り入れて。

 

 

糖尿病だとおしっこから甘いにおいがする」と聞いたことがありませんか? 同じ原因で、汗も甘酸っぱい、果物が腐ったような臭いがすることがあります。

 

 

 

 

糖尿病は、体の細胞が糖をうまく取り込めず、血中に残ってしまう病気。血糖値が上がり、その血液から作られる尿にも糖が混じるので「糖尿病」と言われます。

 

 

糖を十分に取り込めないので、細胞はエネルギー不足に陥ります。これを補うため、肝臓は中性脂肪を分解して、「ケトン体」という別のエネルギー源を合成します。このケトン体が、甘酸っぱく、果物が腐ったようなニオイなのです。こうして糖尿病だと、その血液から作られた尿も汗も、また時には息も、ケトン体独特のすっぱいニオイがしはじめる、というわけです。

 

 

ニオイも問題ですが、糖尿病そのものが体にとって大問題ですよね。細胞が糖を摂り込めず高血糖のままだと、血管の再生機能が障害され、動脈硬化が進みます。血管が細くなったり詰まったりし、酸素や栄養の供給が不足する結果、失明や足の壊疽(下肢切断へ)など重大な合併症のリスクが高まります。

 

 

 

 

インスリン注射や薬による治療もありますが、その前にできることは、ウォーキングなどの有酸素運動。運動をすると、インスリンに頼らなくても糖が細胞の中に取り込まれ、血糖値が下がることが分かっています。

 

 

加齢臭、問題はニオイだけじゃない。生活習慣病対策に抗酸化ビタミンを。

 

 

中高年以降のニオイ問題と言えば、加齢臭。ニオイ自体にも個人差がありますが、青臭いような、酸っぱいような臭い、と言われることが多いようです。ローソクやブルーチーズ、古本など、色々に例えられることも。

 

 

 

 

原因は、「ノネナール」と呼ばれる原因物質。加齢と共に、皮脂の中に過酸化脂質パルミトレイン酸という脂肪酸が増加し、この2つが結びついて出来ます。

 

 

特に問題なのが、過酸化脂質。動脈硬化と、それによって引き起こされる生活習慣病の元凶でもある物質です。

 

 

動脈硬化は、血管内に酸化した悪玉コレステロール(過酸化脂質)が蓄積して起こり、連鎖的に血管の細胞を酸化させていく悪循環によって進行していきます。その先に待っているのが、心臓や脳の血管が破れたり詰まったりする心血管イベントなどの生活習慣病なのです。

 

 

 

 

しかも、血中悪玉コレステロールの量が増えるほど、皮脂が増え、加齢臭が酷くなると言われます。さらに状態が悪くなると、全身の汗まで加齢臭がするようになるとも。逆に、そこまで行くと、動脈硬化が進んでいると見たほうがよいでしょう。

 

 

血中の脂質の「酸化」を引き起こす原因の1つが、活性酸素です。つまり、加齢臭と生活習慣病の予防・改善には、活性酸素を減らすことが有効と考えられるのです。

 

 

活性酸素は、ストレスや喫煙など、さまざまな原因で体内で発生します。これを打ち消すのが、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化ビタミン

 

 

ビタミンC源としてよく言われるのはレモンなどの柑橘類ですが、パセリやブロッコリー、芽キャベツなどにも多く含まれます。また、ビタミンEは脂溶性ビタミンで、アーモンドなどのナッツ類やアボカドなどに含まれます。意識的に食事に採り入れてみましょう。

 

 

 

 

 

 

ツンとくるアンモニア臭 肝機能改善に有効な対策は何?

 

 

体からツンとするニオイが漂ってきたら、肝臓の機能が低下しているのかもしれません。原因はアンモニアです。

 

 

アンモニアは、タンパク質を消化する過程で、腸管内の細菌によってどうしても出来てしまう物質。しかし、体にとっては毒素です。

 

 

そこで肝臓が解毒機能を担っています。それがオルニチン回路。「オルニチン」という物質とアンモニアを反応させて、体に無害な尿素にするのです。しかし、肝機能が低下していると、オルニチン回路の働きも落ちます。分解しきれなかったアンモニアを含む血液から汗が作られ、ツンとしたアンモニア臭がすることに。

 

 

 

 

血中にアンモニアが多く含まれると、ニオイの問題だけでなく、疲労感の原因にもなります。そこでオルニチンを食事などによって補給するのが一案。オルニチンサイクルを活性化させてアンモニア除去を促し、疲労回復につながると考えられています。

 

 

オルニチンはシジミやキハダマグロ、エノキタケなどに含まれます。ただ、これらの食事に含まれるオルニチンで十分と言えるかは別。積極的に摂りたい場合はサプリメントも候補となります。

 

 

その場合、「シジミエキス」等ではなく、「オルニチン」のサプリを選ぶようにします。シジミそのものをただ濃縮すればよいというわけではなく、むしろ不要あるいは有害成分まで濃縮されているとも限らないからです。実際、そういった商品で体を害した例も報告されています。

 

 

 

 

肝炎でない場合、肝臓機能回復には、脂身の少ない肉や魚など良質のたんぱく質を摂る一方で、食べ過ぎに注意し、睡眠を十分とることも大事。適度な運動などを取り入れて肥満も防ぎましょう。

 

 

なお、私たち人間では気づくことができないレベルでは、もっと様々な病気で体のニオイとの関係が指摘されています。そこで例えば、人の10万倍の嗅覚とも言われる犬の嗅覚を利用して、人の「がんのニオイ」を検知する「がん探知犬」も研究が進められています。

 

 

こうして見ると、ニオイケアの基本は、生活習慣や食生活を見直し、健康作りを心掛けることと言えそうです。ある意味一石二鳥。年齢によっても体質や体内環境は変わりますから、自分や家族の体の変化と向き合い、生活を振り返ることから始めてみましょう!

 

 

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