全国で急増する手足口病。大人も感染して拷問レベルの痛みも! 久住英二医師の解説をまとめました。
【まとめ】
☆TBS「ビビット」に久住医師が出演。全国で3万人超!流行の拡大が続く手足口病について、解説しました。
☆大人もかかる理由とは? 手足や口内に激痛が数日間。「歩けない」「地獄の苦しみ」「まさに拷問」といった声が続々。
☆治療法はなし!口内の痛みで水分が取れず脱水になる前に痛み止めを飲んで。予防は手洗いの徹底から。
先日もお伝えした、3大夏風邪の1つ「手足口病」の流行拡大(こちら)。全国で患者は3万人を超え、37都道府県で警報レベルを超える事態になっています。大人もかかり、その痛みは想像を超えると言います。
これについてTBS「ビビット」が取り上げ、ナビタスクリニック理事長の久住英二医師がスタジオに生出演して症状や感染経路、治療、予防などについて解説しました。
子供からうつされ歩けないほどの激痛、爪が20枚全部はがれた女性も。
番組では、自分の子供から手足口病をうつされ、耐え難い痛みに苦しんだという40代女性を取材。足は当初、チクチク痛む程度だったのが、翌日には真っ赤に腫れあがったとのこと。手足の皮がボロボロにむけただけでなく、水疱が部分的に膿んでしまい、まともに歩けないほどの激痛に。出勤には通常の1.5~2倍の時間がかかってしまったそうです。
痛みは数日でなんとか収まったものの、1カ月に新たな異変が・・・。
爪がだんだん浮いてきて、ランダムにはがれ始めたというのです。これは爪の下の皮膚に水疱ができてしまったため。この女性は足の爪も手の爪も全部、計20枚はがれたそうです。シャンプーの際に、かろうじて繋がっている爪がピッとはがれて激痛が走ることも。生爪をはがすのと同じ痛みですから、相当なものです。
この女性は指先にテープなどを撒いて対策をとったそうですが、全ての爪が再び生えそろって回復するまでに半年かかったそうです。
番組では他にも、「箸持つのも飲食も歩くのも痛い」「シャワーは拷問」「二度とかかりたくない」「ほんと地獄です」という経験者の声が紹介されていました。
どうして流行を繰り返すの? 大人までかかってしまうのはなぜ?
こうした痛みについては久住医師も、
「足の裏に豆ができるととても痛いですよね。それが手足から口の中まで、たくさんできると想像してみてください。口の中なら、口内炎が数十個できるイメージです。大人だけでなく子供も当然痛がりますが、小さい子供だったら泣いて訴えるしかないですね」
と説明。
また、流行の原因については、
「いくつかのウイルスが手足口病を引き起こしますが、同じウイルスでも新しい型が出てきたり、国内では流行っていないものが海外から入ってきたりして、免疫がないタイプだと大きな流行に発展しやすいのです。その場合は大人もかかる人が増えてしまいます」
「多いのはお子さんが家庭に持ち込んで親御さんが受診される、というケースですが、お子さんがいない方でも油断はできません。症状が消えてからも2~4週間は感染源になり得るので、そこかしこでウイルスをもらってくる可能性があるんです」
「通常の風邪と同じように、手洗いをこまめにしたり、普段からの心がけが大事です。タオルの共用も良くありませんね。咳を受ける時は手の平ではなく、ひじの内側の袖などで受けましょう」
と解説しました。
根本的な治療法はありません! 痛み止めなどを使い、脱水に気を付けて安静に。
治療については先日もこのブログで、特効薬はなく、脱水に気を付けて安静にしているしかないことをお伝えしました。久住医師も、
「出来てしまった水疱を元に戻すような治療はありません。痛みに対して痛み止め薬を使ったり、少し治ってきてかゆくなったらかゆみ止め薬を使う、口の中は口内炎用の塗り薬を使う、といったことに限られます。口の中の痛みが強くて飲食が出来ないのは脱水の原因となって困りますから、そういう場合は強い痛み止めを使うこともあります」
とアドバイスします。
また、スタジオからの
「1回かかったらもうかからないんですか?」
という質問に対しては、
「完全に同じ種類のウイルスであれば、もうかからなくなりますが、手足口病を引き起こすウイルスにはいくつかタイプがあるので、別のタイプであればまたかかります。それでも繰り返しかかるうちに、だんだんかからなくなるものです。やはり乳幼児がピークで、他の風邪もそうですが、5歳くらいまでにかかりにくくなってくるんですね」
と久住医師。
「大人が万が一かかっても、治れば水疱の跡ものこりませんので安心してください」
でも、激痛に耐えることを考えると、予防に努めたいですよね。手洗いの徹底(タオルは共用せず)から始めていきましょう!
(トップ画像:Shutterstock/Lolostock、本文中画像:2019年7月19日放送TBS「ビビット」)