-手足口病が急増中。東京では1週間で2倍の増加数! 大人も用心して。-

2019.07.16

乳幼児の3大夏風邪の1つ、手足口病。今年は流行年で、7月にはいってこの5年間で最大の増加スピードとなっています。

 

 

【まとめ】

 

☆子供たちの3大夏風邪の1つ、手足口病が急増中。東京都では前週比2倍のスピードで増えています。

 

☆ウイルス性の感染症で、手足や口の中に痛みを伴う発疹が出ます。発熱や倦怠感などがある場合も。

 

☆特効薬もワクチンもありません。経口感染の予防には手洗いの徹底を。まれに大人もうつり、重症化することも。

 

 

子供たちに「手足口病」患者が急増中! 東京では前週と比べて2倍のスピード。

 

 

3大夏風邪の1つ、「手足口病」が急増しています。

 

 

国立感染症研究所

 

 

国立感染研究所によると、手足口病の報告数は今年5月以降増加が続いていて、過去5年間の同時期を上回るスピードとのこと。特に東京では7月第1週の1医療機関当たり患者数が9.73人(前週は5.1人)と、1週間でほぼ倍増しています。

 

東京都内流行マップ(保健所ごと)

 

 

東京都:定点医療機関あたり患者数

東京都感染症情報センター

 

 

手足口病の患者の9割は、6歳以下の乳幼児半数は2歳以下の乳児で、4歳くらいまでにかかる子が多い病気です。ですが、小学生に流行することもあります。

 

 

手足口病はその名の通り、手のひらや足の裏、口の中に、2~3㎜(米粒くらい)の発疹が現れます。3割くらいの人は発熱しますが、大抵は38℃以下。食欲不振や喉の痛みを訴える場合もあります。発疹はやや赤く、盛り上がっていて痛みがあり、水疱になったり、お尻やひざなどに出たりすることも。

 

 

国立感染症研究所

 

 

近年では概ね1年おきに大流行する傾向。今年もちょうどその流行年に当たっていると懸念されています。

 

 

特効薬はありません。脱水に注意して。まれに脳炎・髄膜炎も。

 

 

原因はウイルス感染。エンテロウイルスと呼ばれるグループの一部のウイルスによってひき起こされます。患者の咳やくしゃみのツバに含まれたり、患者の排泄物を処理して手についたりしたウイルスが、口に入ることで感染します。そのほか、水疱が破れた中身も感染源に。3~5日の潜伏期間ののちに発症します。

 

 

風邪と同じで、特効薬はありません3~7日程度で自然に症状が治まるのを待つしかありません。口の中に発疹がある場合は、刺激にならないよう薄味の食べ物を工夫します。なにより大事なのは、脱水にならないこと。経口補水液などを少しずつ、回数を分けて摂取するようにしましょう。

 

 

 

 

まれにですが、脳炎や髄膜炎など、中枢神経系の合併症を引き起こすことがあります。子供の場合は、親御さんなど看病する人が注意して見守り、元気がない、頭痛、嘔吐、高熱、あるいは発熱が2日以上続く、といった場合は直ちに受診させてください。

 

 

なお、手足口病にかかった子について、登園・登校に関する法的な定めはありません。症状が回復次第、登園・登校は法的には可能ですが、念のため園や学校に確認することをおすすめします。

 

予防はまず手洗い。大人が子供からうつされて重症化することも。

 

 

ワクチンは開発中のようですが、まだ実用化には至っていません。経口感染ですから、予防にはまず手洗いの徹底が重要です。また、看病する人も手洗いに加え、マスクやゴム手袋などを使用しましょう。

 

 

 

 

というのも、症状がおさまった後も、患者さんの便の中には2~4週間ウイルスが含まれますので、患者さんと同じトイレを使う時や、乳幼児のオムツ交換をしてあげる際には注意が必要です。

 

 

実際、大人の場合、自分の子が手足口病にかかり、そこから感染してしまうことが多いようです。手足口病というものを知らず、子供の発疹もただの皮膚科疾患だろうと油断しているうちにうつされていた、という人も。

 

 

大人が発症すると重症化しやすいと言われます。例えば、発疹の痛みが強く出がちに。足の裏の発疹が歩けないほど痛むことも。全身倦怠感や悪寒、関節痛、筋肉痛など、インフルエンザのような全身症状も強くなります。

 

 

 

 

大人では小さい頃に感染などで自然に免疫がつき、その後も知らないうちにウイルスに曝される機会が多いために、免疫が維持されている人が大半です。そのため大人では発症に至る人が少ないのですが、もし発症してしまうと日常生活や仕事に大きな支障が出ます。普段から手洗いを励行し、お子さんがいらっしゃる方は体に異変がないか注意深く見守っていきましょう!

 

 

- Recommend -

2020.07.10

【東南アジア2カ国と入国緩和交渉の進む今、デング熱がシンガポ...

2020.02.12

東洋経済オンライン 久住医師寄稿 新型肺炎記事まとめ(2)...

2020.02.12

東洋経済オンライン 久住医師寄稿 新型肺炎記事まとめ(1)...

2020.02.02

「無症状感染者2人」が意味すること。国内感染を前提とした対応...