-夜の快眠には、朝の味噌汁と高たんぱくランチ、魚介の夕食を! 寝酒は実はNGです。-

2019.07.09

梅雨寒の今、体調を崩さないためには質の高い睡眠を十分とることが大事です。快眠のための食事のポイントとは?

 

 

【まとめ】

 

☆梅雨で体調を崩しやすい季節。健康維持には十分な睡眠が必須です。そのためにできることが、食事にもあります。

 

☆積極的に摂りたい2つのアミノ酸、トリプトファンとグリシン。選ぶ食品だけでなく、食べるタイミングや献立のバランスも大事です。

 

☆飲み物で気を付けることは? カフェインは寝る前何時間までなら摂ってもいい? 寝酒って寝つきがよくなるわけじゃないって本当?

 

 

※第2弾「寝つきを左右するカギは“体温変化”だった!入浴と運動を味方につけて」はこちら
※第3弾「夜ぐっすり・朝スッキリな寝室の条件とは? 秘訣は「体内時計」との同調です!」はこちら

 

 

 

ちょっとした梅雨寒が続いていて体調を崩しやすい季節です。健康を保つのに必須なのが、バランスの取れた栄養、適度な運動、そして十分な睡眠。栄養と運動は目が覚めている間のことなので、その気になれば工夫のしようはあるもの。一方、ぐっすり眠れるかどうかは自分でコントロールするのが難しいところですよね。

 

 

 

 

快眠のために日中から寝るまでの間にできることはないでしょうか? 今回はまず食事について考えていきます。

 

 

朝食の味噌汁と高たんぱくランチで、トリプトファン+αをチャージ!

 

 

快眠のための食事ついて、ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師が『週刊ポスト』(2019年7月12日号)の取材に応えています。⇒記事はこちら

 

 

谷本医師が紹介している朝食メニューの1品が、「味噌汁」

 

 

味噌や豆腐などの大豆製品には必須アミノ酸のトリプトファンが多く含まれます。これは“睡眠ホルモン”と呼ばれるメラトニンの原料朝食時に摂取して、昼に日光を浴びることで、メラトニンの夜間の分泌量が増えて快眠につながる。

 

近年、トリプトファンを摂ることで、睡眠の質が高まることを示唆する臨床研究の結果が出ています」

 

 

(谷本哲也医師)

 

 

 

さらに、豚肉とジャガイモの具にすれば、より夜の快眠効果が高まるのだとか。豊富に含まれるビタミンB6がトリプトファンの吸収を促すといいます。

 

 

その点、豚汁は優等生。トリプトファンは、実は大豆製品だけでなく肉や魚介類にも多く含まれます。豚汁には豚肉、豆腐、ジャガイモが使われ、加えて様々な野菜も入っています。トリプトファン豊富なうえに、栄養バランスがとても良いのです。

 

 

さらに、ランチでもお肉や魚を食べるよう心掛けましょう。朝と昼にトリプトファンを摂るのには、理由があります。

 

 

実は、トリプトファンをしっかり脳に送り込むには、運動が必要運動するまでに血中にトリプトファンが溶け込んでいるよう、朝から昼にかけての早い時間帯に摂取しておくべき、というわけです。(なお、運動は夜行うよりも夕方までがオススメ。それは次回ご説明します)

 

 

また、ジャガイモだけでなく、お米やパン、麺類などの炭水化物も適量摂ることが重要です。

 

 

 

 

タンパク質は様々なアミノ酸が集まって出来ています。タンパク質だけ摂っていると、トリプトファン以外のアミノ酸もこぞって脳に向かい、“渋滞”を起こしてしまいます。炭水化物を摂ると、インスリンが分泌され、多くのアミノ酸が筋肉に取り込まれて渋滞が解消されます。トリプトファンはインスリンの影響をあまり受けないので、スムーズに脳に届けられるようになる、というわけです。

 

 

夕食には魚介メニューでグリシンを補給。低糖低脂質で食べ過ぎず。

 

 

もうひとつ、快眠によいとされるアミノ酸があります。「グリシン」です。生体リズムを整え、睡眠を改善する効果が確認されているのです。

 

 

グリシンは体内でも合成されるのですが、エビやホタテにも多く含まれます。

 

 

 

 

こちらは夕食に採り入れるのがお勧めです。グリシンは、トリプトファンとは脳に達する経路が違い、消化後に約1時間で脳に届けられます。多く摂ると、直接的に眠気を催す働きもあるので、日中向きではないのです。

 

 

また、夕食を食べ過ぎないことも重要。ダイエットのために心がけている人もいるかもしれませんが、低糖低脂質が基本です。血糖値が高い状態は、エネルギーが脳に注がれ続けているということ。脳が休まりません。また寝ている間には、大人でもわずかに成長ホルモンが出ていて、若さを保つのに重要な働きをしているのですが、血糖値が高いと分泌が悪くなってしまいます。脂質が多いと消化に時間がかかり、胃にも負担がかかります。

 

 

お茶やコーヒーは何時までOK? 寝酒ってほんとに快眠できる?

 

 

食べ物だけでなく、飲み物にもちょっと気をつかってみましょう。

 

 

眠れないと困るから、コーヒーやコーラ、栄養ドリンクなどカフェイン類を控えている人は少なくないかもしれません。確かにカフェインは寝つきを悪くします。ちょっとした落とし穴は、緑茶、紅茶、ココア(チョコレート)にも含まれていること。気づかないうちに摂っている、摂り過ぎている、ということのないようにしたいですね。

 

 

 

 

 

 

では、寝るどれくらい前までなら影響が少なくて済むでしょうか?

 

 

研究では、寝る3時間前までは寝つきに影響が出たそうです。それどころか、睡眠の質が下がり、眠っている時間も短くなってしまったとのこと。健康な若い人でも、カフェインの摂取は就寝4時間前までにしておきましょう。高齢者では5~7時間も影響が続くと言われますので、3時のおやつで緑茶やコーヒーを摂ったら、夜はカフェインを含まないハト麦茶やルイボスティーなどがオススメです。また、妊婦さんでは10時間程度影響が続くこともあるので注意してください。

 

 

カフェインには利尿作用ありますから、睡眠中にトイレに起きずに済むように、という意味でも寝る前の緑茶などは控えたいですね。

 

 

なお、寝酒が習慣、という人もいますよね。しかし実は、睡眠にとってはあまり良い策ではないようです。

 

 

 

 

 

お酒を飲むと眠くなるイメージは確かにあります。ただ、それは深酒をした場合や、体質的にお酒に強くない人の場合。そうした場合、睡眠の後半にアルコールが抜けて来たころに目が覚めやすくなるなど、睡眠の質は下がりがち。また、ちょっと飲んだだけの場合は、かえって寝つきが悪くなり、睡眠時間が長くなるなどの変化が観察されたそうです。

 

 

以上、食べ物や飲み物も、睡眠に影響を与えるんですね。食べ物だけ気を付ければよいわけではありませんが、ざっと振り返ってみると、睡眠によい食事は健康的な食事でもありそうです。日常的に心がけていくといいですね。

 

 

※第2弾「寝つきを左右するカギは“体温変化”だった!入浴と運動を味方につけて」はこちら

※第3弾「夜ぐっすり・朝スッキリな寝室の条件とは? 秘訣は「体内時計」との同調です!」はこちら

 

(参考)
『ロハス・メディカル』2016年4月号「よく眠れる食事」

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