-【久住医師出演・TBSサタデープラス】食中毒、知らなきゃ損する常識チェック――2日目のカレーは大丈夫?-

2019.06.24

梅雨の時期に最も増える細菌性食中毒、誤った知識がリスクを高めているかも?!久住医師が解説しました。

 

 

【まとめ】

 

☆自宅で作ったカレーにはウェルシュ菌が繁殖しがち。でも、正しい保存・加熱方法で2日目でも安心して美味しく食べられます。

 

☆作ったカレーの保存、直ぐに冷蔵庫に入れていい? 常温に置いて粗熱を取ってからのほうがいい?難しい問題ですが、おススメの解決法は?

 

☆以前あたってしまった食品、またあたりそうと避けたくなるもの。やっぱり一度あたると、あたりやすくなるの?

 

 

 

降ったりやんだり、すっきりしないお天気が続いています。このジメジメした時期は、先日もまとめたように細菌性食中毒の多発シーズン。ナビタスクリニック理事長の久住英二医師がTBS「サタデープラス」に出演し、クイズに沿って間違いやすい食中毒対策のポイントを解説しました。今回と次回に分けてお伝えします。

 

 

皆さんもご一緒に考えながらご確認ください。

 

 

Q1.2日目のカレーを電子レンジで30秒ほどチン――食べてもいい? 食べない方がいい?

 

 

 

 

 

 

「カレーは2日目が美味しい」なんてよく言われますよね。だからこそ、安全に食べたいもの。気を付けるべき1つ目は、加熱方法です。

 

 

「作り置きしたカレーには『ウェルシュ菌』という菌が増えます。ウェルシュ菌は食中毒の原因となる毒素を出し、きちんと加熱しないと消えません」と久住医師。

 

 

ウェルシュ菌は決して珍しい細菌ではありません。私たちの腸内にもいる常在菌で、動物の腸内や土中、水中など自然界に広く存在します。

 

 

ウェルシュ菌の毒素を消すには、60℃以上で約10分は加熱が必要電子レンジで30秒チンしただけでは、加熱ムラが多く毒素が十分に消えていないと考えられ、食べない方がよいと言えます。

 

 

 

 

 

 

 

カレーやシチューのようにドロっとした食べ物は熱が回りにくいので、全体が加熱されるようにお鍋をしっかりかき混ぜながら、「毒素を消す」という意識でじっくり、コンロで加熱しましょう。それならば美味しく安心して食べられます。

 

 

 

 

その際、再保存はせずに食べきることも大切です。ウェルシュ菌は空気を嫌う細菌で、カレーやシチューの中のような空気から遮断された環境が大好き。さらに「芽胞」というカプセルを作ってこもると、100℃でも死滅しません(発芽すれば加熱で殺菌できます)。繰り返し常温に戻すのはリスクを高めることになり、お勧めできません。

 

 

なお、「スパイスが入っているので菌の繁殖が抑えられるのでは?」というウワサもあるようですが、使用するスパイスの量から考えてもそこまでの効果は期待できません

 

 

Q2.作ったカレーの保存方法、正しいのは――すぐに冷蔵? 常温で冷ましてから冷蔵? 

 

 

 

 

2日目のカレーを美味しく安全に食べるには、実は食べる直前だけでなく、作った日の保存方法も重要。当然、冷蔵庫で保存するのですが、入れるタイミングがポイントです。

 

 

「粗熱を取って」という言葉もありますし、温かいうちにラップをして冷蔵庫に入れてはいけないようにも思えますね。庫内の温度が上がれば、他の食品が傷む心配があります。大量に水滴がついてカレーに落ち、水が出たようになってしまいそうでもあります。

 

 

しかし、「作ったカレーを常温で置いて自然に冷ましておくのは、非常に危険です。ウェルシュ菌は22~55℃という広い温度帯で増殖します」と久住医師は警告します。

 

 

 

 

 

ウェルシュ菌は、最も増殖する43~47℃では、10分で2倍、1時間半ほどで約1000倍に増えてしまいます。ですから、なるべく早く冷蔵庫に入れるのが正しい保存方法なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

スタジオ出演されていた女優の三田寛子さんも、「粗熱が取れてきた頃の温度が一番細菌が増えやすいと聞いたので、早めに冷蔵庫に入れて、周りを保冷剤で覆って急激に冷やします」とコメントしていました。

 

 

このように保冷剤を工夫すれば、冷蔵庫内の温度上昇によって他の食品が傷むことも防げますね。また、最近の冷蔵庫には、食品を熱いまま入れて一気に冷やすことのできる「急速冷蔵室」あるいは「急速冷凍室」が装備されていることも。使いこなせていない方は、ぜひこの機会に確認してみてください。

 

 

Q3.一度食中毒になった食材、あたりやすくなる――ウソ? ホント?

 

 

   

 

「以前、生カキを食べたらあたってひどい目にあった。もう怖くて食べられない」、なんていう人、多いですよね。確かに、一度何かの食材で食中毒を経験してしまうと、また繰り返してしまう気がしてしまうものです。

 

 

 

 

でも、久住医師は「一度食中毒にかかったからと言って、同じ食材でまたかかりやすくなる、というわけではありません」ときっぱり否定。「そういう風に感じる方は、一度苦しい思いをした経験から、症状に神経質になっているだけかもしれません」と話します。

 

 

 

 

そんな方はぜひ逆転の発想を。食中毒になった経験があり、その食品や状況が分かっているなら、できれば問題点を改善することを考えてみましょう。同じ食品でも、調理法や保存法、取り扱いなどを改めるのです。積極的に予防できるなら、安心して口にできるようになるかもしれません。

 

 

(ただし、食べることは本来的にリスクを伴う行為ではあります。特に、生カキのノロウイルスなど、一定のリスクを排除しきれない食品もあります。それでも闇雲に怖がって避けるだけでなく、食べることで得られる満足の大きさと、リスクとを比較して、冷静に判断したいですね)

 

 

「食中毒による下痢や嘔吐が長時間続くと脱水症状を引き起こし、重症化すると死に至ることもあります」と久住医師。本当にちょっとした心がけの違いで、結果が大きく変わってきてしまう可能性があるんですね。

 

 

次回も引き続き食中毒クイズをご紹介します。

(画像は全てTBS「サタデープラス」2019年6月22日放送よりお借りしました)

 

 

久住英二(くすみ・えいじ)

ナビタスクリニック立川・川崎・新宿理事長。内科医、血液内科医、旅行医学、予防接種。新潟大学医学部卒業。虎の門病院血液科、東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門研究員を経て2008年、JR東日本立川駅にナビタスクリニック立川を開業。好評を博し、川崎駅、新宿駅にも展開。医療の問題点を最前線で感じ、情報発信している。医療ガバナンス学会理事、医療法人社団鉄医会理事長内科医、血液専門医、Certificate in Travel Health、International Society of Travel Medicine。

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