-【濱木医師監修】そのビミョーな不調、本当に夏バテ?(『夏のけんこう』掲載)-

2019.06.18

夏バテと、その陰に隠れた貧血、一石二鳥で解決しましょう!濱木医師の監修記事をチェックしながらまとめます。

 

 

【まとめ】

 

☆今日の「夏バテ」は、猛暑の屋外とエアコンで冷えきった室内との出入りで、自律神経が参ってしまうせい。「冷え」対策を。

 

☆夏バテと思っていた疲れやだるさ、実は貧血かも?!夏は貧血リスクの高い時期でもあります。

 

☆タンパク質食品と旬の野菜をしっかり摂ることで、夏バテも貧血もいっぺんに解決しましょう!

 

 

 

梅雨とは言え、晴れの日もあり徐々に気温は上昇傾向。湿度も高まってきて、日本特有の蒸し暑い時期に突入しそうです。

 

 

そうなってくると、気がかりは「夏バテ」。そして実は「貧血」も、夏が1年で最も要注意です。

 

 

ナビタスクリニック新宿院長の濱木珠恵医師が、全国の健保組合・健保組合・共済組合の組合員向け機関誌『夏のけんこう』で、貧血と夏バテについて監修しました。

 

(『夏のけんこう』2019年6月)

 

 

夏バテの原因は暑さじゃない!? 生活習慣を見直して「冷え」対策も。

 

 

昔は夏バテというと、連日の暑さのせいで食欲が無くなったり、体力が奪われてだるかったり、という状態を指しました。しかしエアコンの普及で、状況は変わってきています。近年の夏バテは、外気の暑さと、室内の寒いほどの涼しさのギャップが大きな要因

 

 

ヒトの体は、体温を一定範囲に保つように出来ています。ちょうど平熱くらいで、体内の様々な酵素が正常に反応し、もっとも効率よく全身の活動が制御できるからです。そのため体の外の温度が大きく上下すると、その度に体温を保とうと自律神経がフル回転することになります。ですから灼熱の屋外と、キンキンに冷房の効いた室内と、出入りを繰り返していると、神経が疲弊してしまいます。

 

 

 

 

ですからこれからの時期、注意すべきは熱中症だけではありません。実は「冷え」が落とし穴。「冷房病」などという言葉もあり、エアコンによる冷えに悩む女性は多いですよね。ただ、その症状や悩みがない人も冷え対策を心掛けたほうが、夏バテしにくい結果につながるのです。

 

 

具体的に濱木医師が勧めるのは、以下の心がけや工夫です。

 

 

●特に首、手首、足首を冷やさない。

●肌着は吸湿・吸水性が高く乾きやすい素材を選ぶ。

●適度に汗をかく機会を持つ。

●寝る時は、水枕などで頭寒足熱を心がける。

●寝る1時間前にぬるめのお風呂に入る。

 

 

(『夏のけんこう』2019年6月)

 

 

本当に夏バテ? だるい、疲れやすい・・・貧血かもしれません。男性も注意!

 

 

専門が血液内科であり、ナビタスクリニックで女性内科を担当している濱木医師は、「夏バテ風の貧血」患者さんの多さを指摘します。

 

 

「夏バテかな?」と思っていたのが、実は貧血の典型的な症状だった、というケースが珍しくないのです。例えば・・・

 

 

・いつも疲れている。寝ても疲れが取れない。

・ちょっと階段を上っただけで息切れ・動悸がする。

・あまり食欲がない

・何かにつけイライラする。気分が沈みがち

・肌もボロボロ、髪もバサバサ

 

 

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足した状態。血中の鉄分が足りなければ血液検査で「貧血」と診断されますが、肝臓に蓄えられている「貯蔵鉄」が不足した“隠れ貧血”の人もいます。隠れ貧血はいわば崖っぷち状態ですが、ギリギリ貧血との診断が下らず、気づかれないままのことが少なくありません。

 

 

(Shutterstock)

 

 

なお、貧血と聞いてよくイメージされる「立ちくらみ」や「めまい」は、いわゆる「脳貧血」に見られる症状。脳への酸素供給が一時的に減るために起こるもので、鉄欠乏性貧血とは根本的に違うものです。

 

 

実は、夏は鉄欠乏性貧血に陥りやすい時期

 

 

1つ目の理由は汗をたくさんかくこと。鉄分は日常的に、汗からも少しずつ失われています。夏はたくさん汗をかくので、鉄が失われやすいのです。

 

 

2つ目の理由は、食事の内容。暑さで食欲がないからと、そうめんなどさっぱりしたもので済ませてしまい、タンパク質を多く含む食品が不足しがちです。鉄分は肉や魚など、タンパク源に多く含まれています

 

 

(『夏のけんこう』2019年6月)

 

 

鉄を効率よく摂り、夏バテ解消になる食事とは? ポイントはタンパク質と野菜!

 

 

夏バテと貧血を同時に予防できる食事の秘訣は、十分なタンパク質食品と、旬の野菜の上手な採り入れ方。

 

 

先の通り、鉄分はタンパク質を多く含む肉や魚、大豆などに多く含まれます。さらに、タンパク質をしっかり摂ることは、体温維持にも大切なことが分かっています。つまり、鉄不足だけでなく冷えの予防や改善のためにも、十分なタンパク質が大事なのです。

 

 

そして、野菜。ホウレンソウや小松菜、春菊などは鉄分を比較的多く含みますが、この鉄分は肉・魚の鉄分に比べて吸収しづらいのが玉にキズ。それでもビタミンCと一緒に摂ることで、吸収率がアップします。ですからピーマンやトマト、キュウリなど、ビタミンCを多く含む野菜と一緒に食べるように心がけてください。

 

 

お気づきかと思いますが、上記の野菜は夏が旬でもあります。旬野菜は時季外れのものよりも栄養素を豊富に含んでいますから、なおさらこれからは積極的に夏野菜を摂りたいですね。

 

 

(『夏のけんこう』2019年6月)

 

 

なお、生のトマトやキュウリは「体を冷やす」とも言われます。体の熱中症予防にはちょうどいいのですが、冷えが気になる場合は、摂り過ぎないようにご注意を。様々な野菜をバランスよく、適量を心がけましょう

 

 

ナビタスクリニック新宿院長
濱木珠恵(はまき・たまえ)

北海道大学卒業。国際医療センターにて研修後、虎の門病院、国立がんセンター中央病院にて造血幹細胞移植の臨床研究を行う。都立府中病院、都立墨東病院にて血液疾患の治療に従事した後、2012年9月より現職。専門は内科、血液内科。駅ナカに位置する同院では、貧血内科や女性内科などで、多くの通勤・通学女性の健康をサポート中。

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