-【めざましテレビ・濱木医師解説】発症したら致死率100%! 流行国への渡航前に、狂犬病ワクチン接種を。-

2019.05.15

今も世界各国で流行中の狂犬病、助かる道は発症前のワクチン接種だけです。濱木医師がフジTV「めざましテレビ」で解説しました。

 

 

【まとめ】

 

☆狂犬病は、アジア諸国をはじめ世界中で今も流行中。犬だけでなく、コウモリ、キツネ、アライグマ、リスなども感染源。

 

☆ウイルスを持つ動物に噛まれると感染。発症すれば、致死率は100%。ヒトだと潜伏期間は1カ月~数年のことも!

 

☆感染・発症予防にはワクチン接種あるのみ。流行国に渡航する予定のある人は、トラベルクリニックで相談を!

 

 

 

噛まれて発症すれば、致死率100%! どんな症状が出るの?

 

先日、フィリピンを旅行後に帰国したノルウェー人女性が、狂犬病を発症し亡くなったことが報道され、話題となりました。女性は旅行中に犬に手を噛まれていたことが分かり、検査で狂犬病と診断されました。

 

 

(フジTV「めざましテレビ」2019.5.13)

 

 

狂犬病は、狂犬病ウイルスに侵された動物(アジアでは主に犬)に噛まれ、その唾液が傷口から体内に侵入することで感染し、発症します。ヒトを含む全ての哺乳類が感染・発症する可能性があります。

 

 

東京都福祉保健局

 

 

恐ろしいのは、発症した場合の致死率が100%であること。症状が出てしまったら、どんな最先端医療をもってしても、なす術はありません。

 

 

体内に侵入したウイルスは、末梢神経から中枢神経組織に入り、そこで大量に増えてさらに各神経組織へ伝わり、唾液腺で増えます。発病した人や動物は舌や喉の神経が麻痺し、唾液を飲み込むことができません。ウイルスは唾液と共に排出されるため、狂犬病の動物に噛まれると感染してしまうのです。

 

 

通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはありません。

 

 

潜伏期間は、平均で1~3ヶ月。ただし短ければ2週間、長いと数年のこともあります。犬に噛まれたけれども適切な対処をしないまま傷が癒え、忘れた頃に突然発症することも。そうなると原因の特定も困難です。

 

 

発症すると、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、疲労感、食欲不振など風邪のような症状で始まり、かまれた場所の痛みや知覚異常などが起きます。やがて、興奮や不安狂躁などの脳炎症状が現れ、錯乱、幻覚、筋肉のけいれんの後、最終的には昏睡状態から呼吸停止になり、死に至ります。

 

 

アジア諸国など世界各国で今も流行している狂犬病。注意すべきは犬だけではありません!

 

 

とはいえ、日本国内ではヒトの感染する病気としての認識は薄いですよね。今回の報道まで、「狂犬病は犬が予防接種する犬の病気」という程度に思っていた人もいるようです。

 

 

ところが実際、世界では年間約55,000人が狂犬病で命を落としています。2004年のデータですが、インドでは7,437人、中国2,635人、インドネシア1,113人の死亡が報告されました。

 

 

狂犬病ウイルスの感染源となる動物は、犬だけではありません。基本的にどんな哺乳動物にも可能性はありますが、多いのはコウモリやキツネです。北米では、アライグマやリス、スカンク、コヨーテなども報告されています。

 

 

厚生労働省

 

 

日本もかつては大規模な流行国で、1920年代には年間約3,500件の発生がありました。1922年の家畜伝染病予防法で犬へのワクチン接種が義務付けられると、大幅に減少。さらに1950年の狂犬病予防法で、犬の登録、年2回接種、野犬等の抑留が徹底されると、わずか7年で撲滅に至っています。

 

 

しかし、海外に渡航した日本人が被害にあい、帰国後に国内で発症するケースはその後も2度起きています。1970年に1人、そして2006年には2人、今回の報道と同じフィリピンで被害にあったものでした。

 

 

(フジTV「めざましテレビ」2019.5.13)

 

 

たまたま日本ではフィリピンでの感染が続いていますが、狂犬病の感染の心配のない国は世界でもごくわずか。日本の他、イギリスの一部、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドくらいのものです。感染症に関しては一般に安全そうなヨーロッパの大半やアメリカ合衆国、カナダなども、狂犬病に関しては油断できません中国や南アジア、東南アジア、アフリカ諸国はリスクが高くなっています。

 

 

厚生労働省

 

 

渡航前にワクチン接種! 動物にはむやみに近づかない! ・・・でも、噛まれた時はどうすればいい?

 

 

発症したらもう打つ手はありません。唯一の自衛手段はワクチン接種です。トラベルクリニックを受診して相談しましょう。ナビタスクリニックでも扱っています。

 

 

渡航前のワクチン接種は、4週間隔で2回注射します。可能なら、さらに6~12ヶ月後に追加接種できれば万全です。

 

 

しかし、知らなかった、時間がなかったなどの理由でワクチンを接種せずに渡航し、万一狂犬病の動物に咬まれてしまった場合、もう望みはないのでしょうか?

 

 

実は、その場合にも1つだけ道があります。ナビタスクリニック新宿の濱木珠恵院長がフジテレビ「めざましテレビ」の取材に応えました。

 

 

「もし咬まれてしまったら、すぐに病院に行っていただいて、ワクチンを打っていただくことですね。ワクチンを打つことによって発症を予防できます。発症すれば100%死亡すると言われていますから、とにかく発症前にワクチンを打ってほしいです」

 

 

感染予防に使われる狂犬病ワクチンは、実は発症予防にも効果があるのです。狂犬病は潜伏期間が長いので、咬まれたらすぐに傷口を丁寧に水で洗い流し、さらにワクチンを接種すれば、発病は十分防げるのです。

 

 

(フジTV「めざましテレビ」2019.5.13)

 

 

咬まれた後のワクチン接種では、第1回目を0日として、以降3、7、14、30および90日の計6回、注射します。

 

 

なお、何よりの鉄則は、海外では繋がれていない犬、猫、リスなど飼い主の分からない動物には、気軽に近づかないことです。

 

 

動物も狂犬病にかかると異常行動を起こしますから、様子のおかしい動物は特に注意

 

 

犬では、初期の頃は、落ち着きなく、興奮状態となります。目的もなく歩き回ったり、手当たり次第に噛みついたりします。さらに進むと、かすれた吠え声、光や音などの刺激への過敏反応が見られ、下を垂らし、よだれを垂れ流し、物をうまく飲み込めない状態となります。次第に麻痺が進み、最後は昏睡状態となって死に至ります。

 

 

野生動物(アライグマ、スカンクなど)も、不自然に人と接触しようとしたり、夜行性の動物が日中に現れたりするなどの行動異常を示します。

 

 

弱っていそうな動物を見るとかわいそうでつい手を差し伸べたくなる、という人もいるかも知れませんが、特に海外では厳禁。動物がいたら、狂犬病リスクを思い浮かべるようにしてくださいね。

 

 

日本獣医学会

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