インフルエンザの流行は冬、長くても3月まで、というのが例年のパターン。しかし今年は様子が違うようです。なぜ今更と思いませんか?
【まとめ】
☆先々週からのインフルエンザ患者増加に関し、久住医師がNHKとテレビ朝日の取材に応えました。
☆ナビタスクリニックでもGW前の駆け込み受診は例年の1.3倍。インフル再流行の理由は、寒暖差、花粉症、ワクチンの効果切れ?!
☆GWで人の流動性が高まり、レジャー疲れも出てくることで、感染の拡大が懸念されます。
ついに大型連休!しかし懸念はB型インフルエンザの密かな流行拡大・・・
いよいよ始まった10連休。多くの方が日本には珍しい長期休暇を楽しみにされていたことでしょう。しかし1つ、懸念があります。交通渋滞? それは毎年のこと。今年のゴールデンウィークの気がかりは、インフルエンザです。
この時期に?と思いますよね。そのまさか、なのです。ちょうど先週末に北海道で雪が降ったように、季節外れのインフルが流行中。
国立感染症研究所によれば、4月8日からの1週間の患者数は6万5,000人と推計され、前週と比べて増加。1医療機関あたりの患者数(「1人」以上で流行とされます)は1.67人でした。さらに21日までの1週間では9万6,000人と、1.5倍近く増えました。
(日本気象協会)
休校や学級閉鎖も前週の8倍以上に上ったそうです。
インフルエンザは一般に、11月頃~A型が流行し、その後年明け後にB型が流行する傾向があります。実際、今流行しているのもB型です。
これにより、各地のクリニックでは、例年にも増して駆け込み受診の患者さんが多く見られたとのこと。
そんな中、NHK「ニュース7」がナビタスクリニック新宿を取材、理事長の久住医師が現状と心掛けについてお話ししました。また、テレビ朝日「報道ステーション」の取材も受け、フリップで見解が紹介されました。
(NHK「ニュース7」2019.4.27)
インフルで駆け込み受診が3割増しに。寒暖差、花粉症、ワクチン効果切れが原因?!
ナビタスクリニックでも連休前に受診される患者さんが、例年に比べて3割程度増加しました。理由の一つは、薬を希望して訪れた定期受診の患者さん。いつも飲んでいる薬が連休中に切れてしまうため、前もって処方を希望されたものです。
そしてもう一つがインフルエンザなのです。
「多い日は10人弱の方が、検査でインフルエンザと診断されます」
と久住医師。
(NHK「ニュース7」2019.4.27)
今年に限ってなぜ今ごろ急増しているのか、理由は詳しくは分かっていません。しかし、時期的な背景としては以下のようなことが言えるようです。
●天候が不安定で、寒暖差が大きかった。
4月に入っても、朝晩の冷え込みが激しい一方で日中はポカポカ陽気になる、昨日まで暖かかったのに急に日中の気温が10℃以上も下がる、冷たい風が吹く、など、体温調節には厳しい日が続いた。
●花粉症が酷かった、今年から発症した。
今年はスギ花粉の飛散が多めだった。花粉症では鼻やのどの粘膜に炎症が起きる結果、粘膜がダメージを受けて防御力が低下する。インフルウイルスは鼻やのどの粘膜から侵入する。
●ワクチンの効果が切れてきた。
通常、ワクチンの効果は接種から5カ月と言われます。多くの人が11月前後に接種を受けているため、ちょうど4月前後に効果が切れ始めると見られます。
(テレビ朝日「報道ステーション」2019.4.26)
GWで人の流動性が高まり、ウイルスが全国に拡散?! レジャー疲れで抵抗力が落ちるとキケン。
さて、このままだんだんに流行が治まってくれれば良いのですが、不安材料がまだあります。この大型連休です。人が各地へ大きく移動しますから、ウイルスが全国へと拡散しやすい状況です。また、慣れない旅行やレジャーで疲労も溜まりがち。生活も不規則になり、体の抵抗力が落ちやすいのです。
久住医師はNHKの取材に対し、インフルエンザ予防のための心がけとして、
「少しでも体調が悪いな、という日は無理をしない。手洗いをしっかりする。睡眠時間を確保する」
という3点を挙げました。
(NHK「ニュース7」2019.4.27)
まず、手洗いなどで少しでもウイルスが体に入るリスクを減らすこと。万が一入ってしまっても、ごくごく少量であって、体に備わった免疫力が勝って駆逐できれば感染・発症せずに済みます。そのためにも無理をせず、よく寝ることが肝心、というわけです。
楽しい予定が続く平成~令和の大型連休ですが、今日明日も天候は全国的に不安定。週後半は回復傾向で気温も上がっていく見込みとはいえ、まだまだ用心が必要です。必ず羽織るものを持って出て、人込みではマスクをする、こまめに手を洗うなど、自衛に務めましょう!
なお、連休中もナビタスクリニックは診療を行っています。診療科目や時間などには変更がありますので、詳しくはホームページをご確認ください。