料理雑誌『オレンジページ』読者のアラフォー女性のお悩みに、濱木医師が答えました。テーマは、貧血・隠れ貧血です。
【まとめ】
☆アラフォー女性の疲れ、肌荒れ、髪、爪などの悩み、実は年のせいだけじゃなくて、鉄不足(貧血)のせいかもしれません。
☆通常の血液検査では調べられない「かくれ貧血」は、貯蔵鉄が不足した状態。貧血の一歩手前ですが、同じような症状も。
☆肉や魚などから鉄補給を。ほうれん草など植物性の鉄はビタミンCと一緒に摂って吸収UP。サプリや鉄剤は医師に相談を。
年齢のせいだとあきらめている健康や美容の悩み、実は鉄不足のせいかも!
アラフォーともなると、体の悩みはつきません(←筆者の実感)。でも、年のせいにして諦める前に、きちんと向き合えば改善できること、改善すべきことはあるようです。
心当たりはありませんか?
●眠りが浅く、疲れが取れにくい
●肌荒れがなかなか改善しない
●いつも体が重くだるい
●口内炎が治りにくくなった
●爪が割れやすい、シワシワしている
●髪がパサパサ、ハリ・ツヤがない
これらは全て、「貧血」あるいは「かくれ貧血」の症状でもあります。
ナビタスクリニック新宿院長の濱木珠恵医師が、発売中の料理雑誌『オレンジページ』(2019年5/2・17合併号)の「オトナ女子の保健室」コーナーで解説しました。
日本人女性の4分の1が貧血と言われます。30代後半~に多い子宮筋腫によって、生理での出血が増えて貧血になる人もいるそうです。
貧血とは鉄分が不足した状態。鉄分は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料です。ヘモグロビンは、代謝や解毒にも関わる酸素を全身に運搬しているため、不足すると全身の細胞が酸欠になり、様々な症状が出てしまうのです。
貧血と診断されない「かくれ貧血」は、貯蔵鉄ゼロの崖っぷち状態!!
赤血球(ヘモグロビン)に使われているのは、実は体全体に存在する鉄の7割。残りの20~25%は、「貯蔵鉄」として、肝臓に蓄えられています。
血中の鉄分はこの貯蔵鉄から絶えず補充されて、一定の量を保つ仕組みになっています。鉄の摂取が十分でなかったり、激しい運動や生理、妊娠などで鉄の消費が多かったりすると、この貯蔵鉄がどんどん駆り出されて血中に出て行くのです。
そのため、血液検査で貧血(ヘモグロビン値が12g/dL 未満)とは診断されなくても、実は貯蔵鉄の方はすっからかん、という人が少なくありません。
これがいわゆる「かくれ貧血」。崖っぷち状態です。
かくれ貧血は血液検査で、「フェリチン」という貯蔵鉄の材料がどれだけ含まれるか調べれば分かります。しかし、通常の血液検査項目にフェリチンは入っていません。そのために診断のつかないまま貧血と隠れ貧血を行ったり来たりし、頻繁に貧血と同じ症状に悩まされる、といったことも。
貧血とは診断されていないけれど、どうも思い当たる症状が似ている、という人は、受診してフェリチンの値を調べてもらいましょう。
食事改善やサプリ、鉄剤を利用して。根気よく半年は続けましょう!
そもそも日本人女性は一般に鉄不足だそうです。厚労省の摂取推奨量は1日当たり10.5gですが、日本人女性の平均鉄分摂取量は7mgと、3分の2しか摂れていません。
貧血との診断を受けていなくても、意識的に鉄分を多く摂る必要がある、ということです。『オレンジページ』で濱木医師は、鉄分の多い食べ物として、レバー、赤身肉、小松菜、ほうれん草、しじみ、あさり、ひじき、卵を紹介しています。
ただし注意点は、野菜・豆・海藻などに含まれる鉄分の場合は、ビタミンCも一緒に摂ること。肉や魚など動物性食品に含まれるヘム鉄は吸収率が比較的高いのですが、植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、そのままだと吸収率が極端に低いのです。そこにビタミンCを一緒に摂ると、吸収率がアップすることが知られています。
また、レバーは鉄分が非常に豊富ですが、臭みがあって食べにくい、という人もいますね。その場合は豚など普通の赤身肉でOK。たまに無理してレバーを食べるより、日々しっかり鉄分を含む食事を摂ることが大事です。
こうしたことを踏まえて濱木医師が以前からお勧めしているのが酢豚。パイナップルはビタミンCや食物繊維も豊富で美容にも◎。さらに酵素がお肉を軟らかくしてくれるそうですよ♪
ただし、食事の内容に注意していても食が細く、貧血気味という方もいます。そういう方はサプリメントや病院で処方される鉄剤も利用した方がよさそう。サプリに比べて鉄剤は10倍もの鉄を含みますが、体に合わず気分が悪くなってしまう人もいるので、「医師と相談し、自分に合う方法で補って」と濱木医師。
また、意識的な鉄の補給を始めてから血液検査の値が改善するまでには半年近くかかるとのこと。1~2カ月で投げ出してしまわず、根気よく改善に取り組んでいきましょう!
(詳しく知りたい人は・・・)
濱木珠恵 著 (主婦の友社)
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ナビタスクリニック新宿院長
濱木珠恵