-ロタウイルス胃腸炎は今がピーク! 赤ちゃんのワクチン接種はお済みですか?-

2019.04.17

 ウイルス性胃腸炎は冬のもの、と思っていませんか? ノロが治まってきたこの頃にもっとも流行するのがロタ。かからずに済む赤ちゃんはいません。

 

 

【まとめ】

 

☆ロタウイルス胃腸炎は、今まさにピーク期。乳児を中心に、5歳までにすべてのお子さんが経験します。

 

☆米のとぎ汁のような下痢を繰り返します。水分補給だけは気を付けて。食事は治り始めが見えてからでかまいません。

 

☆ワクチン接種は重症化予防のため。とはいえ、十分に効果はあるはず。自治体の補助がないかも確認しておきましょう。

 

 

 

春はロタウイルス胃腸炎。すべてのお子さんが5歳までにかかります!

 

 

ウイルス性の胃腸炎、いわゆる「お腹のカゼ」は、冬のものだと思っていませんか? それ、ノロウイルスによる場合のこと。実はになると、小児、とくに赤ちゃんを中心に、別の胃腸炎が急に勢いづいてきます。

 

 

ロタウイルス胃腸炎です。

 

 

ノロウイルスは冬が患者数ピークなのに対し、ロタウイルスはグラフの通り、年末から患者が見られ始め、2月から増えて、3~4月にピークとなります。国立感染症研究所によれば、年間の感染性胃腸炎患者の42~58%がロタウイルスによるものと推計されます。

 

 

MSD Connect

 

 

ということで、今まさにピーク真っ只中

 

 

ロタウイルスの特徴の一つが、その感染力の強さです。生後半年~2歳を中心に、5歳までに世界中のほぼすべての子供がロタウイルスに感染し、胃腸炎を発症するとされるくらいです。

 

 

感染経路は、ヒトからヒト。ウイルスの粒子は人の体から出ても壊れにくく、10~100個で感染してしまうと考えられています。ですから、汚染された水や食物などを触った手から口へと、間接的に感染すると言われます。

 

 

日本では亡くなるケースはまれですが、その感染力の強さと環境中での安定性から、世界最高レベルの衛生状態にもかかわらず、ロタウイルス感染の予防は困難です。なお、新生児は感染しても症状が現れない「不顕性感染」で済むことが多いのですが、これは母親から受け継いだ免疫が残っているためと考えられています。

 

 

どんな風に発症するの? かかってしまったらどうケアしたらいい?

 

 

症状はたいてい、発熱と嘔吐から始まります。3分の1の子供が39℃以上の熱が出て、突然に噴水のように吐きます。また、ロタウイルスは腸にダメージを与えて水分吸収を難しくします。そのため、1~2日後から、白濁した、米のとぎ汁のような下痢を繰り返すのが最大の特徴です。

 

 

腸からの水分吸収が困難なので、他の感染性胃腸炎よりも脱水には十分注意が必要です(特に2歳未満)脳炎・脳症を引き起こすこともあり、そうなると4割近くに後遺症が残ってしまいます。重症化しやすいのは、やはり1~2歳児です。

 

 

国立感染症研究所によれば、5歳までにロタウイルス胃腸炎で入院するリスクは15~43人に1人(年間26,500~78,000人と推計)で、入院患者の70~80%は2歳以下との報告があるそうです。

 

 

とはいえ、感染・発症してしまったら特別な治療法はなく、下痢、脱水、嘔吐へのケアが中心。

 

 

症状が軽ければ「オーエスワン」などの経口補液が一番効率的に水分と電解質を補給できます。吐き気が強くて全く水分を飲めないまま、脱水が進んでしまった場合は、受診して点滴を受けさせてください。

 

 

吐き気がある時は、食事は無理せずに。水分さえ取れていれば、食事は1日くらい食べなくても大丈夫です。

 

 

ワクチン接種は、“重症化予防”。それでもおススメできる効果があります!

 

 

ロタウイルス胃腸炎は初回感染時の症状が最も重く、2回目以降は症状が軽くなっていきます(大人もうつるのですが、症状が軽かったり出なかったりします)。これは、「交叉免疫」と呼ばれる現象です。

 

ロタウイルスにも、インフルエンザウイルスと同じように、「」があります。大きく分けて2類型あり、さらにそれぞれ数十種類に分かれます。でも、構造が似た型のウイルスが入ってきた場合は、免疫細胞がすでに記憶している型との共通点を見つけ、「敵」と判断して攻撃を加えることができます。それが交差免疫です。

 

 

ロタウイルスの構造。表面の構造の特徴で型に分類される。

国立感染症研究所

 

 

ロタウイルスワクチンはこの性質を応用して、胃腸炎の重症化を予防することが目的のワクチンです。重症化予防とはいえ、不顕性感染化を含むため、実際には期待以上の効果を実感できるはず。

 

実際、千葉県いすみ市では、ワクチンを全額公費化した翌シーズンに患者が減少特に市内在住の2 歳未満の子供で大きく減りました(グラフ)。また、新潟県発田市ではワクチン接種率が30%に上った段階で、重症のウイルス胃腸炎の発生率が5分の1なったそうです。

 

 

2歳未満ロタウイルス胃腸炎患者数(千葉県いすみ市)

厚生労働省資料

 

 

米国では 、2006 年にワクチンが定期接種化されると、ロタウイルス胃腸炎による5歳以下の入院は3年後には10分の1、その翌年にはさらに10分の1に減少しています。

 

 

ロタウイルスワクチンは2種類、どちらでも打った方がいいのは確か。

 

 

ロタウイルスワクチンには、ロタリックスロタテックの2種類があります。(表)

 

 

ロタウイルスワクチンの特徴と接種スケジュール

国立感染症研究所

 

 

違いはさほど大きくないのですが、ロタリックスは2回接種で済むのがメリットです。カバ―される型が一見少なそうに見えるのですが、上記の交叉免疫によりロタテックと同程度の効果が期待できるとのこと。他方、ロタテックは様々な型をカバーしている点で心強いのですが、3回接種が必要です。

 

 

ちなみにナビタスクリニックでは、川崎院ではロタリックス、立川院・新宿院ではロタテックを導入しています。それぞれにメリット・デメリットはあれど、重症化予防に有効なのは間違いありません。

 

 

まれとは言え、脳炎などを起こして後遺症が残るリスクを考えれば、後悔先に立たず。何より、本人の辛さと看病の大変さ(仕事との両立含め)を想像すれば、ワクチンを打たない手はありません。

 

 

ピークは過ぎても、感染リスクは一年中接種がまだの赤ちゃんをお持ちのパパママは、ぜひご検討ください。任意接種なので費用は自己負担ですが、補助が出る自治体もありますよ!

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