-このところ鼻詰まりが酷い、でも風邪でも花粉症でもないーー“寒暖差アレルギー”かも!-

2019.04.12

寒暖差で体調を崩しがちな今日この頃。ただ鼻の症状だけだったら、感染症やアレルギーではないかもしれません。

 

 

【まとめ】

 

☆寒暖差の激しいこの時期、風邪や花粉症に間違えやすい“寒暖差アレルギー”が起こりがち。医学的には「血管運動性鼻炎」の一種です。

 

☆急激な温度変化(低下)で自律神経のバランスが乱れ、鼻の毛細血管が拡張し、粘膜が腫れて鼻が詰まったり、鼻水が出たりします。

 

☆治療は対症療法のみ。内服薬や点鼻薬を使います。足を冷やさないこと、ストレスを溜めず規則正しい生活をすることが改善のポイント!

 

 

 

1日の気温差が激しいこの時期に起こりやすい、血管運動性鼻炎とは?

 

 

春だというのに朝晩の冷え込みが厳しい日が続いています。日中は20℃以上まで上がったのに、また夜~明け方に5℃以下まで下がるような日もありますよね。

 

 

 

 

気象庁

 

 

1日のうちで気温差が激しい日は、体がついていけずに体調を崩しがち。「どうもこのところ鼻が詰まって 」「花粉症かな」「風邪ではなさそうだけど」・・・なんていう人はいませんか?

 

 

それ、もしかしたらいわゆる“寒暖差アレルギー”かもしれません。

 

 

ただし、「アレルギー」というのは、あくまで通称。実はアレルギーではありません

 

 

アレルギーというのは、体への外敵の侵入を阻止し、排除しようとする防御メカニズムが過剰に働いた状態。本来は外敵でないものまで異物として反応し、鼻水やくしゃみ、せきなどによって追い出そうとするのです。空気中に漂う花粉やハウスダスト(ほこり、ダニの死骸)などが、原因物質(アレルゲン)としてよく知られています。

 

 

これに対し、寒暖差アレルギーは、はっきりしたアレルゲンが確認できるわけではありません。色々な検査をしても陰性になってしまうのです。しかし、それでも、鼻詰まりや鼻水などアレルギーと同じような症状が出てしまうのです。

 

 

これは医学的には、「血管運動性鼻炎」と呼ばれるものの一種です。

 

 

急激な温度の変化によって自律神経(交感神経・副交感神経)の適切なバランスが崩れ、鼻の粘膜などの毛細血管をコントロールできなくなった状態です。

 

 

そもそも鼻詰まり・鼻水って、何がどうなって起きる? 

 

 

血管運動性鼻炎は、以下のようなものが引き金になると考えられています。

 

●外気の急激な温度変化(特に低下)

●たばこの煙

●飲酒

●精神的ストレス

●妊娠 など

 

 

暖かい部屋から出て急に外の冷たい空気に触れたり、お酒を飲んだりすると、鼻が詰まりやすい、など、思い当たる人もいるでしょう。

 

 

この時、鼻の奥では、交感神経が抑制され、副交感神経が過剰に働いていることが分かっています。

 

 

 

 

一般に副交感神経が優位に働くと、体の各部は弛緩する(ゆるむ)方向に反応します。鼻の粘膜に張り巡らされた毛細血管も同じ寒暖差が刺激となって副交感神経が過剰に作用すると、毛細血管がゆるんで拡がります。その結果、2つの事が起こります。

 

 

1.鼻詰まり

 

鼻の粘膜の毛細血管が拡がると、粘膜そのものが腫れた状態になります。図のように鼻の通りが悪くなります。

 

佐藤製薬

 

 

2.鼻水が出る

 

鼻の粘膜の毛細血管が拡がることで、血管から水分がにじみ出やすくなります。それが鼻水となります。鼻炎の鼻水は水っぽいため、それ自体が鼻づまりの原因となるわけではありません

 

 

治療はどうするの? 悪化させないためにできることは?

 

 

 

アレルギー性鼻炎であればアレルゲンを除去したり、吸い込まないようにすることが重要ですが、血管運動性鼻炎は、原因がはっきりしなかったり避けることが難しいため、ひどい場合は症状を抑える治療(対症療法)を行います。

 

 

薬物治療では、抗ヒスタミン薬や漢方薬などの飲み薬や、ステロイド(副腎皮質ホルモン)や抗ヒスタミン剤が含まれる点鼻薬が処方されます。薬物療法で十分に効果を得られない場合は耳鼻科でレーザー手術なども行われます。

 

 

 

また、寒暖差による血管運動性鼻炎を改善したり、症状を悪化させたりしないためには、日頃から次の2つの心がけが大事です。

 

 

①防寒対策をしっかりする。特に「あし」を冷やさない。

 

 

体を冷やすと、普通は熱の放散を防ごうとして血管が収縮するものです。脚(足)を冷たくした場合でも、鼻の粘膜も収縮します。しかし血管運動性鼻炎の場合、脚(足)を冷やすと自律神経の異常によって鼻の粘膜の血管が拡がってしまうことが、研究によって確認されています。

 

 

というわけで、脚(足)は冷やさないよう心がけましょう。衣服や靴を工夫することで、寒暖の差の影響を和らげられますね。昔から言われる「頭寒足熱」、やはり侮れないようです。

 

 

 

 

②自律神経を疲弊させない、規則正しい生活を心がける

 

 

原因を取り除けない以上、普段から自律神経に負担がかかるような生活習慣は改めることが大事です。自分なりのストレス解消方法を見つける、睡眠不足を避けて規則正しい生活を送る、バランスの取れた食事を心掛ける、適度な運動をして体力をつける、など心と体のストレスを減らすライフスタイルを確立したいですね。

 

 

 

 

鼻が詰まるとどうしても口呼吸になるため、ウイルスを吸い込んで喉に付着しやすく、風邪など感染症のリスクも高まります。鼻呼吸のほうが頭もスッキリしますよね。心当たりのある人は、できるだけの自衛策を。それでも改善しない場合は受診してみてください。

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