報道が影を潜めていた間に、患者が今年既に1000人を超えてしまった風疹。特に東京のビジネスマンに急増中です。
【まとめ】
☆今年に入って報道が激減していた風疹。しかし患者は順調に増え、既に年内だけで1000人超に。
☆東京を中心に40代、さらに20~30代の男性に急増中。働き盛りのビジネスマンが感染を拡げています。
☆生まれてくる赤ちゃんの聴力を奪う先天性風疹症候群。予防のためのワクチン2回接種は、大人としての責任です!
わずか3カ月で患者が1000人超。大流行した2013年に次ぐ勢いの風疹。
昨年、患者の急増が報じられた風疹。
厚労省も年末に、成人男性への流行と先天性風疹症候群への懸念を受け、これまで定期接種を受ける機会がなかった「1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性(現在39歳11カ月~56歳11カ月)を対象に、2019~2021年度末の約3年間、風疹の抗体検査の上で、定期接種を行う」と発表しました。定期接種=無料で予防接種が受けられる、ということです。
それを機に報道は影を潜め、巷の騒ぎもなんとなく収まってしまったものの、実は病気の方はまったく収束の気配を見せていません。
国立感染症研究所によれば、風疹は年明け以降も昨年と同じペースで患者が増えています。年明けから3月17日 までに風疹と診断された人は合計で937人。前の集と比べて77人増加しました。報告の遅れや、17日から今日までに報告されている患者を含めれば、実際の患者数は1000人超は確実です。
このグラフではその勢いが分かりにくいので、縦軸をもう少し拡大して比較してみると・・・
流行しなかった年が完全に低レベルで横ばいだったのに対し、今年は大流行年の2013年に次ぐ急増ぶりであることが分かります。
東京~首都圏や大都市で急増中。40代男性を中心に20~30代男性もハイリスク。
中でも患者数トップが東京、そしてその周りの首都圏。ほとんどが国内での感染です。昨年から言われているように、特に成人男性、ビジネスマンの間で流行しています。
実際、患者の中心は、やはり40代男性。ですが、20~30代男性も安心できません。
上:男性(合計731人) 下:女性(合計206人)
黄:20代 緑:30代 紫:40代 グラフ内の数字は%
なお、報告されている症状トップ3は、発疹924人(99%)、発熱824人(88%)、リンパ節(耳のすぐ後ろの部分)の腫れ529人(56%)で、およそ半数の人が3つとも出ていました。また、発熱が発疹より先だった人が過半数でした。
風疹の皮膚症状(国立感染症研究所)
上記の症状が重なるようなら、ただの風邪と決めつけず、直ちに医療機関を受診しましょう。
半年~1年後には先天性風疹症候群が急増?! ワクチン2回接種が唯一かつ確実な予防法。
風疹で恐ろしいのは、先天性風疹症候群。妊婦さんの感染により、生まれてくる赤ちゃんの聴力が奪われるリスクが高くなります。
実際、今年に入り、2014年以降報告のなかった先天性風疹症候群も既に1人報告されています。
2014年の先天性風疹症候群の急増は、2013年の大流行の影響です。赤ちゃんがお腹に10カ月いるため、風疹の流行とは1年近いズレが生じるのです。昨年半ば以降続いている風疹流行を踏まえると、今年の後半から来年にかけて先天性風疹症候群の赤ちゃんは増えていくと見られます。
グレーのグラフが先天性風疹症候群。
2013年に風疹が大流行、翌2014年に急増した。
風疹は感染していても症状の出ないこと(不顕性感染)もあり、それと知らずに妊婦さんに接触し、うつしてしまう可能性もあります。
風疹含有ワクチン(麻疹風疹混合=MRワクチン、もしくはMMRワクチン)の2回接種が唯一そして確実な予防方法です。
自分がきちんと予防接種を受けているかは母子手帳を確認するのが確実ですが、ない人は以下の表を参考にしてください。2回受けていない人、受けたかどうか怪しい人は、さっそく医療機関で予防接種を。それが大人としての責任ですね!
特に妊婦さんや妊娠を考えている女性が身の回りにいる、という方は、急いで接種を検討してくださいね。