-もしかして更年期障害?――症状は人それぞれ。心と体の変化に焦らず向き合って。-

2019.04.02

更年期障害の症状と心構えについて、新たにナビタスクリニックに加わった川原麻美医師に聞きました。(インタビュー前編)

 

 

【まとめ】

 

☆更年期障害は、閉経前後の10年間に女性ホルモンのバランスの崩れから現れる様々な症状で、日常生活に支障をきたすもの。

 

☆ホットフラッシュなど、発汗や体温調節など、自律神経の乱れによる症状が典型的。気分の落ち込みなど情緒不安定も。

 

☆肩こりや頭痛、疲れや眠気など、意外な症状で更年期症状と気づかない人も。丁寧な問診の上で様々な要素を加味して診断します。

 

 

※中編「薬による治療は大きく3種類――ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬」はこちら

※後編「我慢するよりラクに乗り切ろう。ホルモン補充療法はキレイと健康の味方です!」はこちら

 

 

 

日本人女性の平均閉経年齢は、約50歳。とはいえ個人差も大きく、早い人は40代前半、遅い人では50代後半に閉経を迎えます。

 

 

閉経の前後の10年間が「更年期」女性ホルモン(エストロゲン)の低下から、様々な症状が現れやすくなります。単純に徐々に低下するのでなく、大きく変動しながら全体として低下していく(下図)ので、体や心の調子が不安定になりがち。症状が重く、日常生活にも差し支える状態が「更年期障害」です。

 

 

日本産科婦人科学会

 

 

今週は、この4月からナビタスクリニック新宿で女性内科の診療を行うことになった、産婦人科医の川原麻美先生へのインタビュー。3回シリーズの前編は、更年期障害の症状についてです。(聞き手:堀米香奈子 ナビタスブログ編集部)

 

 

やっぱり更年期障害? みんな悩んでるこんな症状。

 

 

――一口に更年期障害と言っても、症状が一定しなかったり、人によって出方が違ったりすると聞きました。実際に受診される患者さんの症状について教えてください。

 

 

川原 最も典型的で分かりやすいのが、ほてりやのぼせ、ホットフラッシュですね。血管の拡張や熱の発散をつかさどる、自律神経のコントロールが上手くいかなくなってしまうものです。

 

 

――ホットフラッシュはよく聞きます。首から上だけ突然汗が噴き出す症状ですよね。私の母も昔、悩んでいた時期がありました。

 

 

 

 

川原 そうなんです。それなのに手足は冷える、という症状を併せもつことも少なくないです。

 

さらに、気分の浮き沈み、無気力やイライラなど、情緒が不安定になる人も多いです。

 

 

――知り合いで更年期障害を経験した女性も、何もしたくない日が続いたそうです。朝起きるのが辛く、起きても気だるくずっと疲労感があって。家事全般が辛く、好きだった料理も億劫になって、すると自己嫌悪でますます気分が落ち込み、悪循環になって・・・。

 

 

 

 

川原 珍しい話ではないと思いますよ。体と心はつながっていますし、どちらかではなくどちらにも不調をきたしがちです。

 

 

――その方の場合、ご主人が「絶対にうつ病だ」と思って受診させたら、更年期障害だったそうです。まだ40代前半だったので本人もショックだったみたいですが、原因がわかってほっとした部分もあったみたいで。

 

 

川原 そうなんですね。実は診断する側からすると、気分の落ち込みについては本当に更年期障害によるものなのか、見極めが難しい部分もあります。年齢的にも、お子さんの巣立ちの時期にあたる人が多いですし、親の介護問題とか、色々出てくる頃ですしね。

 

 

肩こりや頭痛、眠気・・・それも更年期障害だった!意外と多い、意外な症状。

 

 

では反対に、典型的ではないけれど実は更年期障害、という症状はどんなものがありますか。

 

 

川原 肩こりや筋肉痛、頭痛、めまい、といったところが、けっこう多いでしょうか。これも、もともと肩こりがひどい、もともと頭痛持ちなんです、という方は少なくないので、他の症状も併せて判断しなければなりません。

 

 

 

 

――私も頭痛持ちなんですが、更年期になったら、あれもこれもまとめて全部来そうです(笑)。

 

 

川原 あとは、疲れやすさと眠気も挙げられます。病院に来るほどではないけれど困ってる、という方が多いようです。

 

以前もクリニックのスタッフとの会話でも、「1~2時間程度の車の運転がきつくなってきた。頭がふわーっとしたり、眠気がきつくなったり。今までは同じ距離でも問題にならなかったのに・・・更年期かな」など、他愛ない会話でよく出てきました。

 

 

――そんなことも更年期障害の症状なんですか。貧血か何かと勘違いしそうです。更年期障害とは思わずに市販薬でやり過ごしている人もいそうですね。

 

 

川原 そうじゃないかな、と想像します。クリニックのスタッフは知識がありますから、なんとなく分かるんですね。もちろん、たいていは思い当たる症状がいくつもあるので。

 

些細なものなんですけどね。「頭痛が前よりちょっとひどくなった?」「肩こりもある?」「そういえば最近、ベッドに入っても眠りにくい?」といった感じで。

 

 

 

 

――そう言われると逆に、年齢が差し掛かってきて不調を感じたら、何でもかんでも更年期障害を疑ってしまいそうです・・・。

 

 

川原 そうなんです。更年期の症状は典型的でないものも多いので、皆さん悩まれます。本当は別の原因でも、「閉経のせい!きっと!」と、こじつけてしまいがちでもあるんです。

 

スタッフの運転時の話も、正直なところ最初は「それだけで本当に更年期障害?」と疑問に思いました。そのスタッフはちょうど仕事上の立場や環境が変わりつつあるタイミングだったので、そのせいではと。

 

でも、よくよく話を聞くと他にも更年期障害の兆候があったので。

 

 

――さすがに車の運転中に眠くなった、というだけで更年期障害を疑うわけではないんですね。(笑)

 

 

川原 一方、月経が問題なくある30代半ばでも、更年期障害を疑って相談される方もいるんですよ。えー、と思われるかもしれませんが、ご本人は本当に悩んでおられるんです。

 

 

更年期障害かどうかは血液検査で分かる?

 

 

――血液検査をすると、更年期障害かどうか判断がつく、という話を聞いたのですが、本当ですか?

 

 

川原 たしかに「更年期だと思う、採血して欲しい」「いつ閉経するか調べてほしい」と受診される方は少なくありません。実際、閉経したかどうかの診断には、血液検査を行い、エストロゲンや卵胞刺激ホルモンの値などを確認します。

 

 

 

 

ただ、採血で閉経に近い状態であることは分かっても、残念ながら事前に閉経時期をお伝えすることまではできません

 

 

――採血だけで更年期障害かどうか判断がつくわけではないのですね。

 

 

川原 更年期障害は体と心、さらに仕事や生活の状況など、多くの要素が複雑に絡み合って発症しますので、十分な問診が必要です。

 

 

――明確な基準があるわけではない、と。

 

 

川原 場合によっては、生活習慣の改善や心の問題の解決が先、と判断されることもあります。

 

それらについての指導や治療によっても症状が改善しない場合や、そうした問題が特に見られない場合、更年期障害と考えて薬による治療を行っていきます。

 

中編に続く】

 

 

川原麻美(かわはら・まみ)

2009年、京都府立医科大学卒業。綾部市立病院、船橋市立医療センターを経て2014年、亀田総合病院産婦人科。2016年より同院不妊生殖科医員。2019年4月よりナビタスクリニック新宿女性内科でも診療開始。(所属学会:日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会)

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