-【日刊SPA!・久住医師コメント】はしかが関西から大流行、実は世界でも…。“反ワクチン運動”が影響か?-

2019.03.05

麻疹の国内感染拡大の背景には、世界での流行があります。見えてくるのは、非科学的なワクチン忌避キャンペーンです。

 

 

【まとめ】

 

☆日本での麻疹流行拡大、背景には世界的パンデミックの危機が・・・。麻疹免疫が不十分なため、入ってくるとすぐ広まることに。

 

☆その裏に、世界的な反ワクチン運動。日本の接種率低下や予防接種政策の遅れもその一端?「日刊SPA!」の取材に久住医師が応えました。

 

☆富裕層ほどワクチン接種率が低い?低学歴・定収入層よりむしろ高等教育を受けた富裕層が、エセ科学に基づいてワクチン忌避する事実。

 

 

 

世界中が警戒、このままいけば麻疹パンデミックへ!

 

 

先週は、【Dr.久住が斬る!】前回記事で、麻疹(はしか)の国内感染拡大と、日本の予防接種政策の遅れをお伝えしました。日本は今も一応、麻疹の排除国。ところが国内由来ではなくとも、人々の流動性が高まった今日、海外から簡単にウイルスが入ってきます

 

 

国内流行の背景には、世界的な麻疹流行があるのです。

 

 

The Guardian」誌(2月15日付)によれば、昨年の麻疹感染者数は、これまでに報告されているだけでも全世界で約22.9万人。おそらく全集計後には25万人弱に上ると見られます。この数字は、2017年に比べて倍増です。

 

 

ヨーロッパでも、昨年は53カ国中47カ国、82,596人が感染。2017年の3倍、最も少なかった2016年と比べて15倍に上ったと、世界保健機関(WHO)が報告しています。

 

 

しかも、今年に入り、世界でも感染拡大がスピードアップ。米国では、昨年1年間の感染者数は合計372人でした。それが今年1月から2月21日までに報告されただけでも、既に159人に達しています(米国CDCによる)。南米や東南アジアでも、アウトブレイクが次々に報じられています。

 

 

(日刊SPA!)

 

 

続々持ち込まれる海外由来のウイルスに対抗し、修飾麻疹も予防できるほどに強い免疫を持っている割合は、どの年代も8~9割にとどまっています。

 

 

世界的大流行の裏に、誤った理解による反ワクチン?!

 

 

世界的パンデミックを引き起こしかねない状況を作り出している要因の1つとして、「反ワクチン運動」が注目されています。

 

 

これに関して、ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が、「日刊SPA!」の取材に応えました。(以下、コメントは「日刊SPA!」を元に再編集)

 

 

「『MMRワクチン※を接種すると自閉症になる』という根拠のない言説が、世界中に広まっています。張本人は、日本でも劇場公開中止が決まった“反ワクチン運動”映画の監督で、英国人の元医師、アンドリュー・ウェイクフィールド氏です」

※麻疹、風疹、おたふく風邪の三種混合ワクチン

 

 

「世界中の反ワクチン運動の“タネ本”となっている1998年の彼の論文は、データ改ざんが発覚し撤回されたばかりか、自身も責任を追及され医師免許を剝奪されています。にもかかわらず、科学的根拠の一切ない反ワクチンの考えは欧米全域に広まってしまいました」

 

 

 

 

そうした反ワクチン運動は世界各地に拡がり、麻疹ワクチンの接種を非義務化した結果、感染者が続出する国も相次いでいるというのです。トランプ大統領も、反ワクチンの考えに染まっているのだとか。

 

 

日本は反ワクチンの天国? 教育レベルの高い富裕層ほどエセ科学に騙されがち!

 

 

さて、もうお分かりの通り、日本もこうした反ワクチン運動の例外ではないのです。日本の予防接種政策が後退したのも、世界的に反ワクチンの動きが高まったのと同じ1990年代半ばのこと。以来、厚労省は曖昧な態度で、誤った情報を流す反ワクチンの動きを黙認してきました。

 

 

その最たるものが、先進国で日本だけが取り残されているHPVワクチンです。子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス感染を予防するもので、WHOが先頭に立ち、世界中で予防接種が推進されています。

 

 

ところが、このブログでも何度かお伝えしてきた通り(詳しくはこちら)、先進国で日本だけがHPVワクチン接種率1%未満。将来、先進国で日本でだけ、子宮頸がんが増加すると危惧されています。

 

 

(MSD Connect)

 

 

HPVワクチンの接種率が低迷してしまったきっかけは、やはり副反応問題。どんな注射でも起き得る副反応(おそらく迷走神経反射)をHPVワクチン特有の副作用として、2016年には集団訴訟にまで発展。マスコミも過剰に書き立て、ワクチン忌避の動きが広がりました。WHOはすでに一昨年、「因果関係はない」「極めて安全」との見解を発表していますが、腰の引けた厚労省は今なお積極勧奨を取り下げたままです。

 

 

そして反ワクチン活動家もまた、今なお非科学的な情報を流し続けています。政府が頬被りを続ける日本は、反ワクチンを“生業”とする人々には天国に違いありません。

 

 

再び麻疹報道に戻り、「日刊SPA!」より久住医師コメントです。

 

 

「彼らは必ずしも反科学ではないのですが、科学的根拠や論理よりも、自分が信じることこそ真実だと考えます。それに合致する都合のいい情報が、ネットやSNSの普及により入手しやすくなり、反科学へと転じました

 

 

「感染者を追跡すると、富裕層が暮らすエリアほどワクチン接種率が低いことが判明しました。エセ科学やフェイクニュースを信じワクチンを忌避するのは、低学歴・定収入層ではなく、高等教育を受けた富裕層なのです」

 

 

正しい知識が身を守ります。しかし正しい知識を持っていると過信していると、落とし穴に落ちてしまう。人は聞きたいことを聞くもの、基本的に聞きたいことしか耳に入らないそうです。自分が正しいと思っていることが本当に本当なのか、まず自分を疑ってみることも大事かもしれませんね。

 

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