-冷えにはやっぱりショウガ! でも、生だと体を冷やすかも、って知ってた?-

2019.02.14

体を温める食材の代名詞、「ショウガ」。漢方でも広く使われています。でも、生と加熱したのとではちょっと効果が違うんです。

 

 

【まとめ】

☆ショウガは昔から漢方薬としても使われています。どんな漢方薬に含まれる? 効能は?

 

☆ショウガで体を温めるには、加熱・乾燥ショウガがおすすめ。加熱によって成分が変化します。

 

☆生ショウガには、解毒・殺菌作用、解熱作用、そして吐き気止めの効果も!

 

 

 

葛根湯にも入ってる! ショウガは立派な生薬なんです。

 

 

ショウガは熱帯アジア原産の植物で、ご存じの通り、根が食用や薬用に使われます。

 

 

漢方薬に使われる生薬としては、加工の程度によって大きく2つに分けられます。

 

☆乾姜(カンキョウ):蒸してから乾燥させたもの。

☆生姜(ショウキョウ):生まま乾燥させたもの。

 

カンキョウ東京生薬協会

 

ショウキョウ東京生薬協会

 

 

それぞれ特性が違います。

 

 

体を温める作用はカンキョウの方が強力胃腸の冷えている下痢便秘腹痛の際にも有効です。

 

 

ショウキョウは、吐き気食欲不振の改善、解熱のほか、咳止め効果も期待できます。

 

 

そうした特性に合わせつつ、いずれも胃腸薬や風邪薬の他,吐き気止め、痛み止め、下痢止めとして使われる漢方薬によく配合されています。

 

 

 

例えば、よく処方される、あるいは店頭で見かける漢方薬で、ショウガを含むものとしては・・・

 

 

●葛根湯(カッコントウ):

頭痛、発熱、首の後ろのこわばり、寒気がするが汗は出ないといった風邪の初期や、鼻炎など炎症症状の初期に。

 

●柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ):

発熱、寒気、頭痛、吐き気がある風邪や胃腸炎に。様々な内臓の痛みにも。

 

●小柴胡湯(ショウサイコトウ):

食欲不振、はきけ、胃炎、胃痛、疲労感など、こじれた風邪に。

 

●小青竜湯(ショウセイリュウトウ):

水のような鼻水や痰、くしゃみ、鼻づまり、咳などのある風邪やアレルギー性鼻炎に。

 

●小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ):

つわり、嘔吐、食欲がなくて胃に水分がたまっている感じがする時に。

 

●防風通聖散(ボウフウツウショウサン):

肥満、便秘、それらに伴うのぼせ、むくみ、皮膚症状に。

 

●補中益気湯 (ホチュウエッキトウ):

産後、夏バテ、風邪などからの体力回復、胃腸虚弱、疲労に。

 

 

などなど!

 

 

ただし漢方薬は、症状だけでなく、体調や体質によって適切な処方が変わるので、関心のある方はまず医師にご相談ください。

 

 

冷え対策、体をあたためたいなら生より加熱・乾燥させたショウガを!!

 

 

ショウガが薬として使われるのは、主に「ジンゲロール」「ジンゲロン」「ショウガオール」という辛味成分がそれぞれ効果を発揮するため。特に、最初にピリッと来る辛さがジンゲロールで、後からじわじわ、ぽかぽか来る辛さがショウガオールです。

 

 

実は、生の生姜には、ショウガオールはほとんど含まれていません。しかし熱を加えることで、ジンゲロールが、ジンゲロン、さらにショウガオールへと変化します。

 

(Shutterstock)

 

 

ジンゲロンには身体を内部から温め、免疫力向上や、風邪のウィルス撃退といった効果があります。

 

 

ショウガオールは、胃腸の働きを活発にし、身体を内側から温める効果が特に期待できる成分です。咳を鎮める効果もあります。

 

 

要するに、生薬のカンキョウには、ジンゲロンやショウガオールが豊富、ということですね。

 

 

ですから、体を温め、冷えを改善したい場合は、加熱したショウガを摂るようにしましょう。

 

 

ショウガを加えたスープや甘酒にショウガを入れて一煮立ちさせたものなど、体が温まります。豚肉のショウガ焼きなどもOKです。

 

 

 

また、忙しくても手軽に摂れるのが、粉末(ショウガパウダー)です。加熱して作られているので、ショウガオールがぎゅっと濃縮されています。いつもの料理や飲み物、みそ汁などにパパッとふりかければ、ピリッとアクセントにもなります。

 

 

 

生のショウガには解熱作用?! 殺菌作用や吐き気改善も!

 

 

一方、ジンゲロールは熱に弱く、生のショウガに多く含まれます。ショウキョウに多く含まれる、ということ。

 

 

 

末端の血管を拡張させ、血行を促進し、短期的には体を温める効果があります。ただし結果的に発汗が促され、体の深部の熱を逃がします。さらに気温が低い場合は拡張した血管が冷やされることで、逆に体を冷やしてしまう恐れがあるのです。

 

 

これは、言い方を変えれば解熱作用があるということ。のぼせやほてりに効く、というわけです。

 

 

さらに解毒・殺菌作用があります。寿司のツマは、生ものの保存技術が未発達だった頃の人々が、生魚を美味しく安全に食べるための知恵だったんですね。

 

 

吐き気を抑えて胃腸の働きを改善し、食欲を高める効果もあります。つわりの際にもおススメです。

 

 

食べ方としては、すりおろしたショウガを、うどんやそば、豆腐の上に乗せて食べたり、焼き肉や焼き魚のお供におろしたての生姜を一緒に食べるのもいいでしょう。煮魚や小籠包には針ショウガを添えていただくと、味も見た目も美味しくなりますね。

 

 

 

なお、おろしショウガは空気に触れているとジンゲロールが減っていくため、なるべく食べる直前にすりおろすのがベスト。ただし、冷凍保存は有効で、きっちりラップに包んで冷凍すれば2カ月くらいは持ちます。

 

 

また、ショウガは摂り過ぎると胃もたれや胃痛を起こすことがあります。1日の推薦量は10g程度薄いスライス6枚程度、おろしショウガなら小さじ1杯ほどです。

 

 

ショウガを上手に採り入れた食事を楽しんで、冷えや風邪に負けずに、この冬を乗り切りましょう!

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