-インフルも風邪の一種!? 薬は飲まなくてもいい? 漢方が効く、って本当?-

2019.01.29

 インフル流行がピークを迎える中、ゾフルーザに耐性ウイルスが見つかりました。ほんとにゾフルーザが一番いいの?という疑問に答えます。

 

 

【まとめ】

 

☆インフルエンザが全国的に流行する中、新しい特効薬ゾフルーザに対する耐性ウイルスが初めて検出されました。

 

☆ゾフルーザとタミフル、実際の効き目は大差なく、違いを実感できません。タミフルのジェネリック薬なら、ゾフルーザ1人分の金額で1家族(3.5人)分が賄えます。

 

☆インフルに効く漢方薬がある、ってご存じですか?しかも保険が効きます。ただし副作用がないわけではないので、医師にご相談を。

 

 

 

今季大人気の「ゾフルーザ」に、早くも耐性ウイルスのニュースが・・・。

 

 

インフルエンザが流行のピークを迎えています。1月14日~20日(2019年第3週)のインフルエンザの推定患者数は、約213万人。前週の約168万人を更新し、2009年の測定開始以来、最多数を記録しています。

 

 

国立感染症研究所が作成している「インフルエンザ流行レベルマップ」第3週(1/25更新)も、ご覧の通り真っ赤っ赤です。

 

(国立感染症研究所)

 

 

そんな中、今季大注目の新しい特効薬「ゾフルーザ」に、気になるニュースも。

 

 

錠剤を1回飲めば済む、という手軽さから急速に普及してきたゾフルーザ。しかし先日、使用した患者から耐性を持つウイルスが初めて検出されたと言うのです。また、新しい薬だけに、未知の副作用を懸念して、慎重な姿勢を示す医療機関も出てきています。

 

 

「耐性」とは、薬に抵抗性を持っている、つまり薬が効かないということ。病原体をやっつける薬では、必ず起きてくる問題です。敵もさるもの、あの手この手でなんとか薬の猛毒から逃げ延びようとするためです。

 

 

例えば、世界中で、細菌をやっつけるための抗生剤が風邪など本来の目的以外で乱用され、結果として薬剤耐性菌が次々に現れています。

 

 

特にウイルスは、姿を容易に変えることができるもの。耐性ウイルスの出現は、元より時間の問題とも言えます。新薬ゾフルーザも例外ではなかった、ということです。

 

 

 

インフルも風邪と一緒!? 服薬は絶対ではありません。ただし・・・

 

 

さて、そもそもインフルエンザとは、インフルエンザウイルスが気道(のどや鼻など)から体内に侵入して引き起こされる感染症のこと。

 

(Shutterstock)

 

 

 

典型的な症状は、突然の寒気や震えと共に急激に高熱が出て、頭痛やだるさ、節々の痛み(筋肉痛、関節痛)、咳や鼻水などの呼吸器症状が現れるもの。嘔吐や下痢などの消化器症状も見られることがあります。

 

 

普通の風邪と比べると、高熱やだるさ(全身倦怠感)、節々の痛みが強く現れることが違いとされます。また、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを起こし、重症になることがあるのも特徴です。

 

 

ただ、そもそも風邪も、病原体(主にウイルス)が気道の粘膜から体内に侵入して呼吸器症状を引き起こし、さらに発熱、頭痛、全身倦怠感などが見られるもの。

 

 

よくよく考えると、インフルエンザと風邪は感染経路も同じですし、症状の程度に違いはあれ、症状の種類は大差ないことが分かります。

 

 

 

インフルエンザも、言ってみれば風邪の一種なのです。ただ、原因となる病原体が明らか(インフルエンザウイルス)で特効薬があり、重症化しやすいもの、というわけです。

 

 

では、その特効薬、必ず飲むべきものなのでしょうか? つまり、飲まなければ治らないのでしょうか?

 

 

答えは「NO」です。

 

 

インフルエンザは、先の通り、基本的には“強めの風邪”。ですから、症状がひどくなく、体力も十分なら、受診せずとも自宅で安静にしていれば、じきに治ります。

 

 

もちろん、体の負担にならないよう温度や湿度管理に気を付け、ちょっとずつ水分を補給し、胃腸の状態に合わせて可能な範囲で栄養を摂ること。基本的には風邪と同じ対処で、体がウイルスを撃退すれば回復します。

 

 

ただ、脳症などの心配や、急速に悪化して肺炎などに陥るリスクは、やはりあります。

 

 

ですから、体力のないお年寄りや小さなお子さんは、受診してタミフルやリレンザ、ゾフルーザなどの特効薬を服用した方が安心と言えます。

 

 

ゾフルーザの効き目、タミフルとあまり変わらない? タミフルのジェネリック薬や、インフルに効く漢方も。

 

 

ナビタスクリニックでは今季、タミフルのジェネリック薬を多く処方しています。タミフルと同じ効き目で、タミフル(1治療あたり2,720円)に比べて薬価は半額(同1,360円)。ゾフルーザ(同4,789円)と比べると1/3.5の価格なので、ゾフルーザ1人分ちょっとの値段でほぼ1家族分が賄えてしまうかも、という安さです。

 

 

しかも、ゾフルーザの方が治りは早いようなイメージをお持ちかもしれませんが、実は有効性は、タミフルとゾフルーザとで、あまり変わりません。

 

 

国際共同試験では、タミフルよりも有効性が高いことが明白だったのは、「体内のウイルスを早く減らす効果」だけでした。

 

シオノギ製薬ホームページより編集部にて作成)

 

 

熱が下がったり、体調がもどったりして回復するまでの期間は、ほとんど一緒。ですからゾフルーザを使っても、「タミフルより早く治った!」という実感は持てそうにありません。

 

 

であれば、ずっと安価なタミフルのジェネリック薬で十分とも思えますよね。

 

 

また、あまり知られていませんが、インフルエンザに効く漢方薬もあります。現在、「麻黄湯」「柴胡桂枝湯」「竹茹湯胆湯」の3つが、インフルエンザに対し保険も利く薬として認められています。

 

 

このうち最も注目されているのは、「麻黄湯」(まおうとう)です。よく知られる「葛根湯」にも含まれる「麻黄」という成分に、ウイルス不活化作用が認められているのです。また、「桂皮」(シナモン)も含まれ、抗ウイルス作用があることが明らかになっています。

 

麻黄

 

桂皮(シナモン)

 

 

ただ、漢方薬にも副作用はあります。体調や体質をよく見極めて使う必要があります。使い慣れない人が素人判断で使うと、思わぬトラブルが生じかねません。

 

 

ナビタスクリニックでも漢方薬を処方しています。気になる方は、医師にご相談ください。

- Recommend -

2020.08.17

この秋~冬、早めのインフル予防接種をおススメする、3つの理由...

2020.07.10

【東南アジア2カ国と入国緩和交渉の進む今、デング熱がシンガポ...

2020.02.12

東洋経済オンライン 久住医師寄稿 新型肺炎記事まとめ(2)...

2020.02.12

東洋経済オンライン 久住医師寄稿 新型肺炎記事まとめ(1)...