この時期の手のカサカサ、ひびやあかぎれ、ハンドクリーム以外にもできることがあります。
【まとめ】
☆乾燥する冬は手荒れの季節。悪化の要因は、普段の生活のあちこちに。体のためにしていることが、手には良くなかったりします。
☆手っ取り早い対策といえば、ハンドクリーム。でも、店頭にはあれこれあり過ぎて・・・。どんな成分のものを選んだらよいでしょう?
☆手荒れの根本原因は、「冷え」にもあります。冷えるとどうして荒れてしまうの?
湿度が30%以下まで乾燥することも珍しくない冬は、肌には厳しい季節。女性は顔の乾燥も気になりますが、手荒れに悩む人も多いですよね。
良かれと思っている生活習慣が、実は手荒れを悪化させている?!
最初はただ手がカサつく、皮膚がゴワつく、といった状態で済んでいる手荒れ。ただ、放っておいてひどくなると、医学的には「進行性指掌角皮症」(しんこうせいししょうかくひしょう)と呼ばれる状態に。「ひび」や「あかぎれ」もその症状です。
主に利き手の親指や人差し指、中指の指先から発症し、皮膚が乾燥してはがれ落ち、さらに硬くなってひび割れたり、指紋がなくなるなどの症状がみられます。そして、ひどくなると両手のひら全体にまで広がってしまいます。
指先は、皮脂腺がないため、乾燥しやすく、実は刺激に弱いのです。また、手の甲の皮膚は元々薄く、様々な日常の動作の際に伸び縮みします。しかし乾燥すると伸縮性が落ち、動かすたびに無数の切れ目が入って、そこから炎症が起きやすいのです。
もともと皮膚の弱いアトピー素因を持つ人や、職業的には、主婦や美容師、飲食店員、銀行員などに多く見られます。水仕事を頻繁にしたり、日常的に紙幣を扱ったりするためです。指先の脂分が奪われ、繰り返し指先に刺激が加わって起こると考えられます。
その他、毎日の生活の中にも、手荒れやその悪化のリスクを高める要素はたくさん潜んでいます。
●こまめに手を洗う。ハンドドライヤーをよく使う。
●手指のアルコール消毒をよくする。
●自炊が多い。
●食器洗いを40℃以上のお湯でする。ゴム手袋をしない。
●手洗いや調理、食器洗い後にハンドクリームを使わない。
●エアコンが利いた場所で過ごす時間が長い。
●洗顔や入浴時にはゴシゴシしっかり洗う。
●新聞や本をよく読む。
●洗濯物をたたむ量が多い。
●手足が冷えやすい。
いかがですか? 思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか? 健康によい、体のため、と思ってやっていることも、手には厳しかったりするんですね。(ちなみに最後の「手足の冷え」だけ、他とちょっと毛色が違いますよね。これ、意外と大事なので後ほどご説明します)
ハンドクリームの正しい選び方、使い方
手荒れは気になっても、そのために生活習慣を大きく変えるのはなかなか難しいもの。特に手洗いに関しては、感染症の多いこの時期、しないわけにはいきません。
ただ、ちょっとした工夫で手荒れリスクを減らせることもあります。例えば、食器洗いの際の水温は36~37℃程度のぬるま湯にする、といったこと。熱めだと手指の皮脂が洗い流されてしまいますし、冷たすぎても血行不良となって悪影響。
また、水仕事による手荒れの観点からは、炊事などの際にゴム手袋を使用した方がよいですが、人によってはゴムでアレルギーが出る人もいますので、必ずとは言えません。
そうした中、一番カンタンで効果的な対策が、ハンドクリームなどの保湿剤をまめに塗ることです。油分で皮膚をコーティングし、保護するのです。
では、店頭にゴマンと並んだハンドクリームから、どうやって自分に合ったものを見つけたらよいのでしょうか。ざっくり以下のように見当をつけてみましょう。
●手荒れがそれほど気にならない人・・・どんな製品でもOK!香りや使用感(ベタつきが少ない)などで選んでかまいません。
●カサカサし始めている人・・・「尿素」配合がオススメ。尿素は水分を引き付ける性質を持っています。また、よく聞く「ワセリン」でもOK。これはほぼほぼ純粋な油ですが、それだけに安全性も高く、刺激成分なども混じっていないので安心です。
●ヒリヒリ痛い、かゆみがある人(軽症)・・・刺激が気になる人は、やはりワセリンを。ただ、症状を積極的に改善するなら、「ビタミンE」配合だと、血行促進効果が期待できます。また、同じく血行を改善すると共に、傷の修復作用もある「ヘパリン」含有のクリームもオススメです。
つける時は、タップリが基本。指で2すくい分は使います。でも、そんなに使ったら手がベタベタになりますよね。本来はこまめに、1日に何度も塗り直すほうがよいのですが、無理な場合は、夜寝る前にタップリ付けましょう。そのまま専用手袋をはめて寝るのも効果的です。
冷え症は手荒れの大敵! 根本改善には、冷えをなんとかしよう。
さて、最初に挙げた手荒れのリスク要素に、「冷え症」がありました。実は、空気の乾燥だけでなく、寒冷による血行不良も、手荒れの大きな原因です。
前々回に書いた通り、冷え症の本質は、寒さ+低代謝⇒体の中心に熱を集める自律神経の働き⇒末端の血行不良です。
血液は、水分とともに酸素や栄養分を体中の細胞に届けるもの。つまり、血行不良となった末端の細胞には、水分・酸素・栄養素が十分に行き届かなくなるということです。
となれば、皮膚の細胞の働きは鈍くなって新陳代謝が低下し、受けた刺激やダメージにも弱くなります。細かな手の荒れに対し、修復が追い付かない状態となり悪化、ひびやあかぎれにまで至ります。
ですから根本的な対策は血行不良を改善すること。具体的には、適切な栄養摂取と運動、さらにカイロの活用などです。(詳しくは前々回をご参照ください)
加えて、指や指の付け根のマッサージも有効です。あまり強い力でマッサージすると毛細血管が傷ついて、症状がひどくなる場合があるのでご注意を。
なお、炎症部分が痛くて水仕事ができない、かゆみが強くて眠れない、というくらいひどい場合は、皮膚科を受診してください。かゆみにはステロイドの塗り薬を処方されることもあります。血行不良が強いときは、血管拡張剤の飲み薬も使われます。
ただ、できればそうなる前に、こまめにハンドクリームでケアしておくのがオススメですよ!