-【久住医師コメント】「アフターピルが市販されると女性の性が乱れる」という大嘘(現代ビジネス)-

2018.12.25

今年1年を振り返ると、昨年以上に盛り上がりを見せたのがアフターピル問題。改めて久住英二医師が「現代ビジネス」の取材に応えました。

 

 

【まとめ】

 

☆アフターピルを求めて受診する人の抱える事情は実に様々。オンライン診療のニーズもますます実感しています。

 

☆アフターピル問題が関心を集めるのに伴い、緊急性の要請に目を付けたSNSによる違法な取引も、ますます目に付くように。

 

☆市販薬見送りの理由とされた「性の乱れ」も、本質が別のところにある様々な問題が顕在化したもの。本来は別途対応すべき。

 

 

 

ナビタスクリニック新宿では9月にオンライン診療を開設して以来、アフターピルに関して1日に数件、全国から問い合わせがあります。連休明けなどは特に集中し、1日5、6人にアフターピルを処方することもあり、ニーズを実感しています。

 

 

そんな中、久住英二医師が「現代ビジネス」※の取材に応じました。(以下、久住医師コメントは現代ビジネスからの引用。冒頭写真も。)

 

 

アフターピル、当院では実際にこんな相談がありました。

 

 

このブログでもたびたび取り上げているアフターピル問題。

 

 

実際、どんな女性がアフターピルを求めて受診しているのでしょうか。久住医師が「現代ビジネス」で明らかにしたの下記のようなケースです。

 

 

避妊に失敗した高校生が、友人に付き添われ受診

 

夫が避妊に応じない。経済的にこれ以上の出産は難しく、受診

 

●会社員の女性。休日に避妊を失敗したが、仕事が忙しく平日に受診できないため、オンライン処方を利用

 

●地方の女性。産婦人科を受診するだけで「妊娠した」と噂が立つので困ると、オンライ処方を利用。薬は自宅には送らず、郵便局留めで送ってほしいと依頼

 

 

 

この他、記事にもあるように、処方箋を持って「薬局に行ったら薬がなく取り寄せと言われた」と言う人も。取り寄せではアフターピルによる避妊が可能な期間が過ぎてしまい、意味がありません。また、「結婚して、子供を産みなさいと、医師に説教された」など、不快な思いをした、という人も珍しくないとのこと。

 

 

いずれも本来は、市販薬化によって解決されるべき問題です。しかし、検討会でいったん却下された案件復活させるのは、短期間では非常に困難。今も市販薬化を求める活動は続いていますが、今日明日にどうなるものではありません。そこで、いざという時の“駆け込み寺”として踏み切ったのが、オンライン処方でした。(詳しくはこちら)

 

 

ますます勢いを増す怪しいSNS「アフターピルお譲りします」「格安で」

 

 

アフターピルのオンライン処方や市販薬化が求められる大きな理由の一つが、緊急性です。

 

 

国内承認薬、つまり医療機関で通常処方される「ノルレボ」は、性交渉後72時間以内の服用が必要(海外で市販もされており、当院でオンライン処方している「エラ」は、120時間以内)。しかし地方などでは診療は平日昼間のみ、土日は休診という医療機関も普通です。

ノルレボ錠(Shutterstock)

 

 

そうなると、金曜夜に避妊に失敗した場合、月曜の昼間に急きょ仕事を抜け出して受診しなければなりません。今の日本では、そんなに自由な働き方をしている人は多くないですよね。

 

 

そうなると、インターネットで何とか解決手段を調べることに。運よく受診できる医療機関が見つかればよいのですが、そうそう上手くは行かないもの。途方に暮れていると、目に飛び込んでくるのが「アフターピル譲ります」「格安」などと繰り返し呼びかけるSNSアカウントです(こちら)。

 

 

これについて、久住医師は改めて、

 

 

「医療機関でないものの中には、違法に輸入された薬も数多くあり効果は不明であり、体に有害な成分が入っている可能性も。薬は味や匂いで真贋の見分けがつかず、サプライチェーンを信頼するしかない。身元の分からない人から薬を買うなど、危険としか言いようがない

 

 

と指摘。

 

 

「アフターピルはちゃんとした薬を飲んでも効果が100%でないから、効かずに妊娠してしまっても、ニセ薬だったのか分からない。決して手を出さないように」

 

 

と警告します。

 

性の乱れの本質は、オンライン処方や市販薬化とは別のところに。

 

 

アフターピルの市販薬化が見送られた際の理由として挙げられたのが、入手しやすくなると性が乱れるのでは?との懸念でした。

 

 

これに対して久住医師は、日ごろの診療をふまえ、

 

 

同じ患者が何度もアフターピルを求めるケースは、まずない

 

 

とコメント。

 

 

「もしあるとすれば、性交渉目的よりも、家庭での避妊拒否のDVを誰にも相談できないでいるケース転売目的などが考えられると思います。その場合は、見過ごさずに、何らかの対応が必要だと考えています」

 

 

としています。

 

 

要するに、アフターピルの市販薬化によって性が乱れるのではなく、それぞれ別のところに本質がある様々な性の問題が、アフターピルを介して表に出てくるかもしれないということ。であれば、市販薬化の是非とは別に、それぞれ対応すべきです。

 

 

また、対面診療でもオンライン診療でも、当院ではアフターピル希望者に対し、

 

 

●服用後に月経がなかった場合、産婦人科を受診すべきこと

 

コンドームが外れたケースでは性感染症をもらっている可能性があり、検査を受けるべきこと

 

●失敗が続く場合などは、低用量ピル服用をお勧めしたいこと

 

●子宮頚がん検査やHPVワクチンの必要性

 

 

などについて説明しています。

 

久住英二医師

 

こうした点も本来、わざわざ診療の際に医師から個別に説明するべきものというより、ある一定の年齢に達した人なら誰もが持っておくべき知識です。

 

 

だからこそ、アフターピルの市販薬化に慎重な人々の中には「性教育の改善が先」と指摘する人たちがいることも分かります。

 

 

それでも、オンライン処方に踏み切り、市販薬化を求めるのは、やはり必要としている人が大勢いることを現場で実感しているから。アフターピルと性教育の問題は密接に関わっていますが、対応や解決はそれぞれ行う必要があります。どちらかを理由に、もう片方を見て見ぬふりしてよいものではありません。

 

 

これからもナビタスクリニックは、皆様の「アンメット・メディカルニーズ(満たされていない医療)」に応えてまいります。

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