-【久住医師出演】「外国人労働者 受け入れ進む“現実”」(テレビ東京)――電話医療通訳もその1つです。-

2018.11.28

電話医療通訳(メディフォン)を導入しているナビタスクリニック新宿の様子が、昨日放送のテレビ東京「ゆうがたサテライト」で紹介されました。

 

 

【まとめ】

 

☆ナビタスクリニックでも、常時17か国語で対応可能な電話医療通訳(メディフォン)を導入。込み入った問診や治療説明もスムーズです。

 

☆的確な診断、スムーズな治療、トラブル防止、職員の負担軽減が実現。外国人のみならず日本人の患者さんにとってもメリットが!

 

☆全国的には、医療機関の認識不足と、医療通訳の人材不足が深刻。外国人労働者の受け入れ拡大や東京オリ・パラで増える外国人患者さんに対応できるよう、ぜひサービス拡充を。

 

※特集動画はこちら

 

 

 

ナビタスクリニックでは電話医療通訳を導入しています。

 

 

人手不足から、既に外国人労働者なしには営業が成り立たない業種も出てきている昨今。外国人労働者やその受け入れをサポートする様々なサービスも広がっています。その一つとして、電話医療通訳が昨日放送のテレビ東京「ゆうがたサテライト」、特集内で取り上げられました。

 

 

ご理解いただけると思いますが、問診ではとにかく、患者さん一人ひとりの症状を詳しく、微妙なニュアンスまで聞き取ることが重要。例えば、「お腹が痛い」と一口に言っても、どのあたりが、どんな時に、どのように痛むのか。しくしく痛むのか、ズキズキ痛むのか、急に指すように痛む、絶えず鈍痛がある、など、実際の症状は様々です。

 

 

ですが、母国語以外、例えば片言の英語などでは、それが難しいのが現実。患者さんにとってもストレスですし、医師としてももどかしいばかり。それで済めばまだ良い方で、誤診等にもつながりかねません。

 

 

その点、電話医療通訳が導入してあれば、患者さんは通訳の同伴なくいきなり受診しても、母国語で詳しい症状を伝えたり、疑問をすぐ尋ねたりすることができます。また、医療側も、複雑な説明でも端折ることなく患者さんに伝えることができます。

 

 

実際、ナビタスクリニックでも電話医療通訳(メディフォン)を利用しています。

 

 

 

番組でも、「外国人患者さんと込み入ったことが聴けるようになり、問診がスムーズになった」と、当院での導入の効果が紹介されました。取材時には中国留学生が予防接種に訪れており、今後の接種のタイミングなどの説明が電話医療通訳を通じて伝えられました。医療専門通訳なので、医療用語等も正確に訳してもらうことができます。

 

 

大都市新宿には、英語圏以外からの外国人労働者や外国人観光客も多く、受診者の母国語も実に様々です。メディフォンでは24時間・365日、電話の向こうで、在宅を含め約300人の通訳が待機しているとのこと。17言語※に対応しており、今後は対応言語を増やしていく方針だそうです。ナビタスクリニックでも今までのところほとんど困ったことはありません。

 

※英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語・タイ語・ロシア語・タガログ語・フランス語・ヒンディー語・モンゴル語・ネパール語・インドネシア語・ペルシャ語・ミャンマー語・広東語

 

 

外国人患者さんへの対応の充実は、全ての患者さんの便利につながります!

 

 

厚労省の実態調査(2017年8月発表)によれば、医療通訳(電話通訳を含む)を利用した経験があるのは、回答した全国1,710医療機関の12.7%にとどまります。それでも、その85.3%が利用して「概ねよかった」と回答。

 

 

理由として、番組でも紹介されていたような「スムーズに患者の治療が行えた」「意思疎通ができないことが原因で起こるようなトラブルが未然に防げた」という回答の他、「職員の精神的・肉体的な負担の軽減、時間の削減が図られた」というものもありました。

 

(厚労省「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」

 

 

こうしたことは、実は日本人の患者さんにとってもメリットとなります。意思疎通に問題が生じて診療が滞ったり時間が延びたりすれば、他の患者さんの待ち時間が増えます。体調が悪い時はもちろん、誰しも忙しい昨今、想定以上の待ち時間は大きなストレスですよね。また、クリニックのスタッフの負担を減らすことも、実は患者さんたちに気持ちよく受診していただくために必要なことです。

 

 

ですから増え続ける外国人患者の方々への対応を準備しておくことが、全ての患者さんにとっての便利につながります。特に、「コンビニクリニック」を自負する当院では当然の対応と考え、導入しています。

 

番組で久住医師はさらに、電話医療通訳の導入で「的確な診断に結び付けば、治療期間が短縮できる」と指摘。そうなれば本人の負担も軽くなるだけでなく、医療費削減にもつながり、社会全体としてもメリットが大きいと言えそうです。

 

 

ただ、全国的にはまだまだ医療機関側の認識不足も深刻。先の調査でも47の医療通訳サービス提供事業者の半数近くが「医療機関等の医療通訳に関する知識・理解」を問題点として挙げました。

 

 

東京オリ・パラへ向けて、医療通訳サービスの拡充を

 

 

とはいえ同調査によれば、外来では79.7%、入院では58.5%の医療機関が、「外国人患者を受け入れたことがある」と回答しています。そのうち、日本語でのコミュニケーションが難しい患者を受け入れた医療機関も、65.3%に上っています。

 

 

その場合に使用した言語は、第1位が「英語」で56.8%。次いで中国語が26.6%、日本語が26.0%でした。しかし先の通り、母国語以外で自分の病状を充分伝えることは、よほどその言語が堪能でなければとても難しいこと。また、問診を行う医師や医療スタッフにも相応の能力が求められます。

 

(厚労省「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」

 

 

ところが、医療通訳人材は不足しているようです。

 

 

回答した47の医療通訳サービス提供事業者に医療通訳として登録されている人数は、合計約2,400名(のべ数。複数の事業者に重複して登録されている場合あり)。その3割強が英語(764人)で、3割弱が中国語(686人)、残りが他言語です。

 

 

全国には病院とクリニック合わせて約18万もの医療機関があります。もしすべて遠隔通訳だったとしても、単純計算で、47業者に登録されている英語や中国語の医療通訳者1人あたり250前後(重複登録があればもっと)の施設を担当するというのは、ちょっとあり得ない話

 

 

実際、医療通訳事業者の最も多くが挙げた問題点が、「医療通訳の担い手となる人員の確保」で、事業者の55.3%が、現時点で既に医療通訳者の確保に頭を悩ませているそうです。

 

 

外国人労働者の受け入れ拡大東京オリ・パラを機に、今後も医療通訳の需要はどんどん増えていくことでしょう。対応が追い付かず、必要な時に必要なサービスが受けられなくなるのは、利用側としても困ります。

 

 

外国人患者さんと日本人患者さん、どちらの方々にも気持ちよく受診していただけるよう、業界全体として医療通訳サービス(遠隔含む)の拡充が進むことを期待したいですね。

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