-【久住医師出演】性後進国の日本。低用量ピル・アフターピル普及を妨げているものとは?(AbemaTV)-

2018.11.16

久住医師が出演したAbemaTV「“望まない妊娠”中絶を防ぐためにアフターピルの市販化は必要?」の白熱トークまとめ、最終回です。(後編)

 

【まとめ】

☆低用量ピルは月経前症候群の改善や卵巣がん・子宮がん予防など、女性の健康にも効果。避妊だけのものではないと知ってほしい。

 

☆海外と比べて大きく遅れている日本の性教育。その裏にある保守的な思想と、国が女性の自決権を縛っている現実。

 

☆性の本質は、人としての尊厳と信頼に基づくもの。コミュニケーションとしての性を子供たちに学んでほしい。

 

 

※前編はこちら。中編はこちら。AbemaTVによるまとめ記事はこちら

無料視聴が延長されています(こちら)。

 

 

さっそく前回の続きをどうぞ。

 

 

低用量ピルには避妊以外に女性に嬉しい効果も。

 

 

小島慶子氏 「低用量ピルやIUD(子宮内避妊用具)を使っている人は、いつでもセックスできる、したいんだ、と誤解されることがあるのですが、実は使っている理由は様々です。私も以前、月経前症候群(イライラや眠気、腹痛、頭痛など様々)の改善のために低用量ピルを服用していました。他にも、生理を軽くしたいとか、子供はもういらないというご夫婦とか、本当に事情は様々ですよね」

 

 

久住医師 「ええ。あまり知られていませんが、低用量ピルを服用していくことで、将来、卵巣がんになるリスクが3~5割減ることも分かっています。子宮体がんもリスクが減ります。また、子宮内膜症もピルによって予防や治療ができます。実は低用量ピルは女性の健康を高める上でも非常に有用なのです。なおかつ避妊もできる。最新のピルでは、月経周期を4か月に1回くらいにできます」

 

 

 

「低用量ピルを使えば、例えばアスリートの方々なら、どうしても大会に月経が重なって成績が残せない、といったことも回避できますし、マラソンランナーの貧血を防ぐために使うこともできます。また40代女性の4人に1人が貧血になりますが、月経による鉄分の喪失によることも多い。それも改善できます。低用量ピルは、避妊のためだけに使うものではないことを、ぜひ知っていただきたいと思います」

 

 

乙武洋匡氏 「私もなでしこジャパンで活躍された澤穂希選手にお話を伺った際に、『あれだけ私がコンスタントに活躍できたのは、低用量ピルを使っていたからです』と仰っていました。月に1回の生理と試合がぶつかってしまうと、どうしてもパフォーマンスが下がってしまう。それをコントロールすることで、いつも試合で最高のパフォーマンスを発揮できると。それを女性のアスリートはもっと知った方がいいと、仰っていましたね」

 

 

小川彩佳氏 「私も女性医師の友人に聞くと、かなり使っている人が多いんです。手術や当直で長時間拘束されるような激務の中で、重い生理痛を回避したい、あるいは長時間お手洗いに行けない状況に対応するためだそうです。働く女性が多い中で、女性自身が身を守り、自律していくためにも、正しい知識と共に普及していけばいいなと思います」

 

 

染矢氏「そうですね。まずは知ること。正しい知識が広がり、情報が共有されることが大事ですね」

 

 

性教育後進国。妊娠・中絶・避妊という言葉を使わず何を教える?

 

 

染矢明日香氏 「中高校生へのアンケートでは、膣外射精や安全日など避妊法について誤った知識を持っていたり、まったく分からないという子も多くいました。また知識があっても、男の子に避妊してほしいと言うことに抵抗がある子もいます。アフターピルについて知っている子は少なくて、20%程度でした」

 

 

 

村本氏 「中高生を対象に性教育を実施されているそうですが、小学生だとまだ早いですか」

 

 

染矢氏 「そんなことないですね。むしろ中高生になっていきなり性教育の講演が1時間ある、というのではなく小学生以前の段階で、乳幼児期から段階を追って性について楽しく学んでいく機会が必要だと思っています」

 

 

田上嘉一氏 「自分も親と性について話したかと言えば、そうではなかった。でも、学校に頼るのは限界があります。自分も子を持つ親として今後、性について子供と話していくことも、大事な親の役割かなと思いますね」

 

 

小島氏 「大人自身も、性について教えることを真剣に学び、教えることについての心理的ハードルを乗り越える必要があります」

 

 

乙武氏 「実際、学校での性教育は今でもまだ全く進んでいません。昨年も足立区の中学校で行われた授業では、事前に教師が生徒にアンケートをとったところ、性の知識が乏しいにも関わらず性行為への意欲が高いということで、しっかり妊娠、中絶、避妊について教えました。ところが、この授業内容を知った自民党の都議が都議会で『この授業は行き過ぎだ。指導要領で定められた範囲を大きく逸脱している』と指摘して、あろうことか東京都の教育委員会はこれを真に受けて足立区の教育委員会に指導を行ったのです」

 

 

 

「つまり、教育委員会が『妊娠・中絶・避妊について教えるべきではない』という側に立ったということです。これは私は大問題だと思っています。じゃあ、妊娠・中絶・避妊という言葉を使わない性教育で、何を教えようというのでしょうか

 

 

小島氏 「うちは13歳と15歳の息子に小さい頃から割と性教育をしていて、今住んでいるオーストラリアでは学校でも性教育を受けています。中学生の時に男女一緒に体の仕組みや生について学び、高校1年生ではシリコンの男性器の模型をホワイトボードに貼って、先生が実演して、男女一緒にコンドームの付け方を習います。子供たち自身が模型を使ってやってみる場合もあるそうです。だから息子たちは全部知っています

 

 

染矢氏 「海外では小中高と性教育が義務化されていて、日本とは時間数も全然違いますし、教員や保護者が性教育について学ぶ教材や情報が豊富にあります。その点でもまだまだ日本は大きく遅れていると感じています」

 

 

問題の本質は、女性の自決権、尊厳と信頼。コミュニケーションとしての性。

 

 

田上氏 「近代以降の保守的な考えだと、誰と結婚するかといったことを含めて、女性の性も家長である男性の管理下にあったんだと思うんです。でも今は違います。誰とセックスするか、妊娠や中絶も女性自身が決める時代です。でも、アフターピルの市販を禁じている現状は、女性が自分で自分の体のことを決める権利を国家が縛っている。僕はこれは人権問題だと思うんです」

 

 

久住医師 「アフターピルのオンライン処方を9月から続けていますが、厚労省はこれを『不適切な可能性がある』としています。私はアクセスを妨げている方こそ『不適切』だと思っていますので、自らの信じる“良い方向”へ、進めていきたいと思っています」

 

 

小島氏 「こうした問題の背景には、性のことについて自分で決めたいと言う女性に対しての偏見もあると思うんです。性に奔放だとか、よろしくない、と。まともな女性がセックスしたいなんて言うはずがない、というような前提がある気がします」

 

 

 

乙武氏 「自民党の杉田水脈衆議院の『LGBTは生産性がない』発言を擁護した小川榮太郎さん(文芸評論家)が、論説の中で性的思考を公にすることについて『人間ならパンツくらい穿いておけ』と批判していました。要するに、性というのはコソコソやるもので、自身含めおおっぴらにするものではない、というのが保守的な思想の方には多いのかなと。つまり自民党都議が足立区の性教育について異議を唱えたのと同じ思想だと思うんです」

 

「そうではなくて、もっとオープンにして、小島さんのように親子間でも、誰でも語っていけるようなものにするとが大事なのではないでしょうか」

 

 

小島氏 「私は息子たちがもっと小さい頃からそういう話をしています。私が彼らによく言うのが、もし交際した相手とセックスする場面になって、もし彼女が『今日は妊娠しない日だから、あるいは、ピル飲んでるから、コンドームはいらないよ』と言った場合には、君たちがむしろ彼女に『こういう理由でコンドームは必要なんだよ。使わなかったら、君自身を危険にさらしちゃうよ』って教えてあげてねということ。要は、『自分の大事な人だから、僕もこの人の体を守る責任がある』って思ってほしいんです」

 

小学生くらいの段階で性や体の仕組みについてきちんと分かっておいて、その上で中高生くらいになったら、性というのは人の尊厳に関わるんだよ、お互いにお互いを信用して行うものなんだよ、と、コミュニケーションとしての性という次の段階を学んでほしいですよね」

 

【完】

 

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