-【久住医師出演】アフターピル市販化見送りの理由は、”あるべき論”という幻想。医学的理由ではない。(AbemaTV)-

2018.11.15

引き続き、久住医師が出演したAbema TVのアフターピル問題特集を振り返ります。市販化を巡る問題について、スタジオの議論が白熱しました。(中編)

 

 

【まとめ】

 

☆WHOも普及を訴えているアフターピル。日本国内での市販化見送りは医学的理由ではない。教育の遅れを理由に挙げるのは、お門違い?!

 

☆市販化反対派の主張は、“あるべき論”ばかり。しかし、必要とする人がいるという現実。最終的な救済手段はあってしかるべき。

 

☆アフターピルはすでに違法なネット通販が行われている可能性も!? そもそも日本人の避妊方法第2位は間違っている!

 

 

※前編はこちら。また、番組の無料視聴が延長されたようです(こちら)。

 

 

 

避妊の知識の乏しさや性教育の遅れから、望まない妊娠が後を絶たず、毎日450件もの中絶が行われている日本(若い女性では1日40件)。女性にとって最後の手段となる緊急避妊薬(アフターピル)の市販化は見送られ、入手ハードルは高いままとなっています。せめてもの策として、ナビタスクリニック新宿は、この9月からアフターピルのオンライン処方を開始しました。

 

 

というのが、番組前半で放送されたVTRの内容(詳しくは前編をご参照ください)。ここからスタジオはフリートークに入ります。AbemaTVのサイトでも概要がアップされていますので、このブログではより具体的に出演者の発言を取り上げていきます。

 

 

市販化が見送られたのは、医学的理由からではない。

 

 

久住医師 「アフターピルを使うと、だいたい95%の確率で妊娠を阻止できます。ノルレボという国内で承認され流通しているオレンジ色のパッケージの薬は、性交渉後72時間以内に服用します。一方、紫色のパッケージのエラは120時間以内の服用となっていますが、国内未承認なので当院では個人輸入して提供しています。いずれの薬も性交渉後できるだけ早い段階で服用した方が、高い効果が期待できます」

 

(Abema TV)

 

 

村本大輔氏(ウーマンラッシュアワー) 「簡単に買えない(市販化されていない)のは、何かリスクがあるからだと思うんですが、どういうリスクなんでしょう?」

 

 

久住医師 「(重篤なリスクを否定した上で)副作用として頭痛が18%、胃の痛みが12%、吐き気が12%報告されていますが、いずれも一過性です。むしろ、服用によって回避できる可能性の高い、望まない妊娠というリスクの大きさと比べれば、副作用の相対的なリスクは非常に小さいと言えます。ですから市販してかまわないと考えています」

 

「実際、WHOも『この薬は全ての女性がアクセスできるよう配備すべき』としています。ですからノルレボも、海外では市販薬。薬局で2000円前後で購入できます。それが日本では、診察料を含めれば15000円ほどかかります」

 

 

小川彩佳氏(テレビ朝日アナウンサー) 「イギリスやカナダ、スウェーデンなど、若者に無料で提供されている国もありますね

 

 

村本氏 「では市販に反対している人たちは、どういう理由なんでしょうか?」

 

 

久住医師 「例えば避妊せずに女性に性交渉を強要し、後からこの薬を飲ませるなど、悪用する人がいる、という懸念をいう人もいます。ツイッターなどを見ると、そういう発言がかなり多いですね」

 

 

乙武洋匡氏(作家) 「実際にアフターピルの市販化が政策課題として挙がった時に、厚労省がパブリックコメントを求めたところ、大多数が賛成だったにもかかわらず、厚労省は却下した、という経緯があるんですよね」

 

(AbemaTV)パブリックコメントでは、348件中、320件が賛成

 

 

久住医師 「検討会の委員の先生方としては、日本は性教育が遅れているので、この薬の意味を国民がきちんと分かって使用することができない、という意見が中心です。では、性教育をしなかったのは誰なのか、ということです。それはこの国の教育制度そのものの問題です。教育制度が現代に即していないからと言って、じゃあ救済手段も与えられない、というのはおかしいですよね」

 

 

池澤あやか氏(タレント/エンジニア) 「この議論を通して何が決まったのかが気になりますね。教育を推進していくとか、薬剤師の方に知識を付けてもらおうとか、何か進んだのか。そういった動きも何もなくストップしてしまったのか」

 

 

あるべき論ではなく、最終的な救済手段は提供されるべき

 

 

その他、賛成派・反対派の意見は以下の通り。

 

(AbemaTV)

 

 

田上嘉一弁護士(弁護士ドットコムGM) 「反対派の主張はどれも決定的な理由になってないですね。感染症のリスクについてはきちんと性教育してコンドームを付けましょうと言えば済む話ですし、受診が遅れる危険性も薬の説明書にきちんと書き添えたり、教育を徹底すればいいですよね」

 

 

久住医師 「性感染症対策にはコンドーム、望まない妊娠にはアフターピル、二本立ての対策が必要です。また、市販化された場合は薬局で薬剤師が対面で説明して販売することになると考えられますが、その薬剤師に十分な知識がないことを反対の理由として挙げる人もいるそうです。しかし、薬の知識に加え、レイプ被害者の方々へのメンタル面のケアについても勉強会を開くなど、前向きな動きを見せる薬剤師のグループもあります」

 

 

乙武氏 「もっと一人ひとりの生活に思いをはせてほしいですね。僕らセックスする前に、今日は土日で医療機関が閉まっていてアフターピルが手に入らないから、やめておこう、というふうには考えないですよね」

 

「それに地方の小さな町だと、町で一つしかない産婦人科に行くと知り合いだらけだったりする。受診すれば『あれ、どうしたの? 妊娠したの?』と簡単に聞かれるかもしれない。そういう状況では安心してアフターピルをもらいに行けません。厚労省はプライバシーのことまでちゃんと考えてるんでしょうか

 

 

小島慶子氏(エッセイスト/元TBSアナウンサー) 「たぶんそれが抑止力になるという発想じゃないですか。アフターピルを解禁したら、人に見られず人に知られず後から避妊できるんだからセックスし放題だ!と。でも、アフターピル市販を解禁しなければ、入手には人の目がある、だったらセックスしないでおこう、と考えるだろうと。しかしそれは幻想ですよね」

 

性感染症だって、じゃあコンドームを正しく使っているかと言えば、そうではない。一度挿入してしまって射精の直前に装着するなら、性感染症は防げません。大事なのは、正しく知ること、自分の体について自分で決定すること、そして性交渉も避妊も男女2人の合意・同意のもとに行うことです」

 

 

村本氏 「僕も正直、その場の雰囲気で、コンドームを付けないでやってしまったことがあります。その後に女の子がアフターピル入手するだけでも恥ずかしい大変な思いをしていることも知らず、最低な人間ですよ。でも、そういう男もやっぱりいますから、だったら女性が自分の身を自分で守れないといけない。そういうシステムがなくてはどうしようもないですよ」

 

 

久住医師 「あるべき論ではなくて、実際に困る人がいるんだから、最終手段は提供されるべきです。もちろん正しく性交渉をすべきではあるけれど、人間は非合理な生き物ですから。つねに合理的に、正しい判断を下せるわけではありませんから、いざという時の救済手段があってしかるべきなんです」

 

 

違法なネット通販も?! 誤った避妊法がまかり通る日本。

 

 

久住医師 「ノルレボは、売上から推定すると年間11万錠くらい流通しています。他方、日本での人工妊娠中絶件数は、年間16万5000件。中絶件数よりアフターピルの使用数が少ないというのはまず考えにくいので、当院のように未承認薬を個人輸入して処方している医療機関もあるでしょうし、あるいは、インターネットなどを通じて違法な売買が行われている可能性もあります」

 

「また、2011年のノルレボ国内発売以前は、中用量ピルと呼ばれるものを2回服用させることで、効果は劣りますが緊急避妊薬としていたそうです。そうしたものを加味すれば、実数としては数字の2~3倍は処方されている可能性があります」

 

 

小川氏 「具体的な避妊方法としては、日本は圧倒的にコンドームで、40%程度を占めます。一方、ピルは1%以下です。ドイツやフランスでは大多数がピルです。そして日本では、驚くべきことにコンドームに次いで多いのが膣外射精となっていますが・・・」

 

(AbemaTV) グラフ中、IUD=子宮内避妊用具

 

久住医師 「これは避妊方法ではないですね。射精する前から精子が出ていることがありますから、男が自覚的に射精前に外に出したとしても妊娠する可能性がある、ということです」

 

「なお、このグラフにある『ピル』は主に、いわゆる低用量ピルのことですね。日本では毎日服用して妊娠をコントロールするタイプのものしかありませんが、海外では皮下にプラスチックのチューブに薬をしみこませたものを埋め込むタイプが多く使われています。1度施術すれば3年間は生理も来ません」

 

 

(次回に続く)

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