貧血って、要するに酸欠! 検査数値のここをチェック! 不調の原因が分かるかもしれません。
【まとめ】
☆赤血球に含まれる鉄が、体中に酸素を運んでいます。つまり貧血=鉄不足=酸欠ということ。
☆だから貧血だと、動くとすぐクラクラ、ぐったり、おっくうに。思い当たる人は、貧血かもしれません。
☆貧血かどうか、検査結果のここをチェック! ポイントは赤血球の大きさと色!
前回、長引く肌荒れや抜け毛、薄く反った爪は、貧血のせいかもしれない、と書きました。今回は、見た目で分かる健康だけでなく、毎日の元気にも鉄が重要、という話です。
こんな人はいませんか? 原因不明の体の不調。だるい、重い、息切れ、おっくう・・・
●毎日よく寝ても眠い、朝起きた時から疲れている。
●ちょっと走ったり階段を上ったりしただけで、息が上がる。
●いつも体が重たくだるい。動いたり出かけたりがおっくう。
●なぜだか無性に氷をガリガリ食べたくなる。
どれも、原因がわからないのに、どこか体の調子がおかしいな、という状態です。
特に最初の3つに関しては、人によっては、年齢のせいと考えているかもしれません。たしかに更年期のホルモンバランスの乱れでも、同じようなことは起きます。でも、歳を重ねても元気で活動的な人はたくさんいますよね?
直ぐに息切れや動悸がする場合、気管支など呼吸器の病気や、心臓の病気が隠れている場合もあります。また、原因の分からない極度の疲労感が、長期間続く「慢性疲労症候群」という病気の場合もあります。
しかし、もっと身近な原因で、全身の元気がなく、力が入らず、すぐに疲れてしまう事態は簡単に引き起こされるのです。
それが「貧血」。体の中でいったい何が起きているのでしょうか?
貧血の本質は、酸素を運ぶ鉄不不足による、“全身の酸欠”です。
実は貧血による全身の不調の正体は、「酸欠」。
前回少し書いたように、鉄は、血液の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」の材料です。空気と共に吸い込んだ酸素は、肺で赤血球の中のヘモグロビンと結びつき、血流に乗って全身を巡ります。そうしてたどり着いた筋肉などで、ヘモグロビンは酸素を手放して供給し、血液はまた酸素を補給しに肺に戻ってくるのです。

肺で受け取ったはヘモグロビンと結びついて運ばれ、全身の細胞に届けられる。(Shutterstock)
ところが、鉄不足でヘモグロビンが少ないと、赤血球は酸素を少ししか積み込めません。その結果、酸素が全身に十分にいきわたらず、すぐに体のあちこちで酸欠状態に。
少しの階段やちょっとした運動でも、酸素を体に効率よく採り込めないのですぐに疲れ、息切れしてしまいます。そして、回復も遅くなります。いつも全身が重く、けだるく感じて、外出も面倒になります。
実は私自身も、貧血と診断されたことがあります。当時は今よりも忙しくなく、睡眠時間も十分確保していたのに、常に体がだるく、眠くて仕方ありませんでした。診察の合間にベッドに横にならないといられず、いよいよ検査をして貧血が判明したのです。
検査数値の意味、知っておくと、自分の体がもっとよく分かります。
ではここで、先日私が出演させていただいたNHK番組「美と若さの新常識SP『増やせ!元気でかわいい赤血球』」での話を振り返りながら、血液検査項目と貧血の関係を見ていきたいと思います。
検査項目のうち、まず見ていただきたいのが「平均赤血球容積」(MCV)。赤血球の大きさを表していて、この数値が低い(基準値はおおよそ80~101fL)場合、赤血球が“小粒”だということ。体の中全体として、鉄分量が不足している可能性があります。
小粒の赤血球は、見た目に小さいだけでなく、形もバラバラで、赤い色もうすくなっています。これはヘモグロビンが少ないためにおこること。その結果、顔色も能面や幽霊のように青白くなり、健康的な美しさからはかけ離れてしまいます。
(NHK)
実際、そういう方はヘモグロビン濃度(Hgb)を見ていただくと、これも基準値(おおよそ11.2~15.2g/dL)より下回っていることが多いのです。
そうなると、赤血球の数が通常レベルでも、貧血=全身の酸欠から、めまいや立ちくらみなど、様々な症状が出て生活に支障をきたすように。
前回も書いたことですが、国の調査では、閉経前の女性は1日当たり10.5gの鉄分摂取が必要なところ、実際には平均で7.5g弱しか摂れていません。
次回は、もっとたくさんの鉄分を効率よく食事から摂取する工夫についてお伝えします。
(詳しく知りたい人は・・・)
濱木珠恵 著 (主婦の友社)
貧血で血が足りないオトナ女子=ドラキュラ女子が急増中!?
あなたの抱えている不調、実は貧血が原因かも!
ナビタスクリニック新宿院長
濱木珠恵