-ちゃんと知らない「機能性表示食品」。トクホとの違いは? 表示は企業の責任、効果は自己責任?-

2018.11.07

「お腹の調子を整える」「脂肪の吸収を穏やかにする」などとラベルに表示されている機能性表示食品。でも、どういうものか、正しく理解している人は意外と少ないようです。

 

 

【まとめ】

 

☆2015年に導入された機能性食品制度。安全性や機能性の科学的根拠等を消費者庁に届け出て、適切な表示と情報公開を行えば、食品の健康機能が表示できます。

 

☆でも、トクホとの違いをきちんと理解していますか? 実は”責任の所在”が大きく違う両者。なぜ導入されたの? 消費者のメリットは?

 

☆食べれば必ず健康効果が得られるものではありません。トクホ申請を却下された商品も流通しています。あくまで補助的に賢く利用して。

 

 

機能性表示食品って何?

 

 

健康に役立つ機能がきっちりラベルで謳われている機能性表示食品。健康を気遣う人にとっては、気になる存在ですよね。

 

 

機能性表示食品とは、健康の維持や増進に役立つ機能を科学的根拠に基づいて表示し、販売されている食品※です。2015年に導入された制度で、これまでに1300超の商品が消費者庁によって受理されています。多くはサプリメントや飲料などの加工食品です。

 

 

企業は、安全性や機能性について科学的根拠を含む一定の内容を消費者庁(長官)に届け出れば、適切な表示と情報公開を行うことを条件に、「機能性表示食品」として販売できます。また、販売開始後は、消費者庁を中心に監視が行われることになっています。

 

 

製品パッケージを見てみると、注意書きがびっしり書き込まれています。

 

徳島県防災・危機管理情報安心とくしま より)

 

 

また、必ず「届出番号」が記載されているので、この番号を頼りに消費者庁のwebサイト(こちら)で、試験結果などの科学的根拠を見ることもできます。

 

 

その他、実は意外なところでは、ごくわずかながら生鮮品も機能性表示食品として届けることができます。現在までに、ミカンやトマト、もやし、米、カンパチなど15商品が受理されています。

 

 

※詳しい情報は、消費者庁が作成したパンフレット(こちら)にも載っています。関心のある方はぜひチェックしてみてください。

 

 

 

トクホとどう違う? 表示は企業の責任で、国は責任を取らない? 消費者のメリットは?

 

 

以前は、食品自体の栄養機能について表示が許されていたのは「特定保健用食品」、いわゆるトクホだけでした。トクホに認定されるには、健康効果と安全性について科学的根拠に基づく国の審査を受け、消費者庁長官の許可を受けることが必要です。

 

 

機能性表示食品とトクホは、似ているようで大きく違います。機能性表示食品は、国に届け出るだけでOK。つまり国の審査はなく、許可を受けているわけではありません

 

 

消費者庁のサイトやパンフレットでも、栄養機能を「事業者の責任において」表示してよいと強調されています。どういうことかと言うと、何か問題が生じてもたぶん国は責任を取らない、ということです。

 

 

そもそも機能性表示食品制度が導入された背景には、財政赤字による「小さな政府」への舵切りもあるのだとか。「小さな政府」とは、政府や行政の権限・規模を可能な限り小さくして残りは民間に委ねるもの。審査や許可をカットすることで、国の予算縮小につながり、巡り巡って国民の利益につながる、という考えです。

 

 

表示は企業の責任、判断は消費者任せ」というのでは、ちょっと心配になりますよね。でも、もちろん消費者にとってのメリットは他にもあります。

 

 

機能性表示食品制度の導入で、これまで健康効果があるのにトクホ審査を受けられず、消費者に機能を認識されていなかった製品でも、その効果を謳えるようになりました。と言うのも、トクホ審査を通るには、科学的な実験を繰り返す必要があり、企業側にとっても莫大なコストがかかるのです。あまり体力のない中小企業は、良い製品でもお財布の事情で健康効果を謳うことができなかった、というわけです。

(イメージ画像)

 

 

機能性表示食品の登場で、健康意識の高い消費者も、以前よりも健康に役立つ機能を持つ食品の情報が得られやすくなったと言えます。

 

 

トクホを却下された商品も。問われる消費者の「身を守る意識」。賢く取り入れて。

 

 

一方で、やはり気がかりはあります。

 

 

制度上、安全性や機能性の点でトクホ申請を却下された商品でも、機能性表示食品として届け出て、販売することは可能実際にそういう商品も流通しています。トクホ不合格のことは消費者庁のサイトにも載っていません。

 

 

しかも、機能性表示食品としての申請に必要なデータは、メーカーが独自に行った実験1件だけで足ります。たまたま出た都合の良い結果で申請し、機能表示ができてしまう、ということです。その後の実験でもし「効果がない」と分かっても、表示を取り下げるかどうかは企業任せです。

 

 

当然ながら、機能性表示食品だからといって必ず効果があるわけではありません。食べただけで健康になるわけではない。そこを勘違いしないことが大事です。企業の姿勢が問われるのは当然としても、消費者自身も「自分で自分を守る」意識で情報を吟味し、判断する必要があるのです。

 

 

まして、適切に食事に取り入れず、その食品ばかり食べるなど全体として栄養に偏り・過不足があれば、健康効果の意味はありません。機能性食品はあくまで補助的な食品であり、機能性の表示はあくまで補助的な情報多くの食品をバランスよく適量摂る、という基本が大前提。その上で機能性表示食品を賢く利用したいですね。

 

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