-【インタビュー】親子の笑顔のために走り続ける「社会問題解決集団」。-

2018.11.02

訪問型病児保育、障害児保育、小規模保育など、常識にとらわれず、利用者目線で新たな保育の在り方を実現してきたNPO法人フローレンス、代表理事の駒崎弘樹氏にお話を伺いました(前編)。

 

【まとめ】

☆常識や固定概念にとらわれない「社会問題解決集団」NPO法人フローレンスの訪問型病児保育サービスが、多くの働くママ・パパに支持されています。

 

☆2012年に開始した小児科医往診サービスで、子供の急変に対応するだけでなく、ママドクターの社会復帰もお手伝い。

 

☆昨年開設したママドクターたちによる時短クリニックも、コンサルの懸念を覆し、親身の相談がママたちに大好評。

 

※後編はこちら

 

 

ナビタスクリニックでも利用者が多い診療科の一つが小児科。特に、川崎クリニックでは小児科も平日夜9時まで、立川クリニックでも平日夜8時まで診療しています。仕事帰りに保育園にお子さんを迎えに行き、そのまま立ち寄られる方も多いようです。

 

そんな働くお母さん・お父さんにとっての大きな気がかりは、子供の突然の病気。子供のケアと、仕事への影響をどうやりくりするか――頼みの綱は病児保育ですが、利用しづらいという声も多く聞かれます。

 

 

NPO法人フローレンスは、自らを「社会問題解決集団」と位置づけ、常識や固定概念にとらわれない新たな価値を保育産業に提示してきました。駒崎弘樹代表理事にお話を伺いました。(聞き手 ナビタスクリニック堀米香奈子)

 

 

病児保育は圧倒的に不足。連れて行くのも大変。本人も不安・・・「自宅訪問型」で全てを解決。

 

 

――2005年に始められた自宅訪問型の病児保育について教えてください。

 

 

近年、保育所や医療機関等に付設された専用スペースに病気の子供を預けられる、いわゆる「病児保育」は徐々に増えてきています。しかし、体調の悪い子供をその施設まで連れて行くのにも一苦労、お子さん自身も体が辛い中、慣れない場所で一日過ごすのは不安に違いありません。

 

 

それでも利用できれば良い方で、今も現実に病児保育の受け入れ枠は圧倒的に不足しています。施設数もそうですが、利用可能枠にも限りがあり、当日の申し込みでは利用できないことも少なくありません。10数年前は他の選択肢もなく、利用できなければ仕事を休むしかない、という状況でした。

 

 

そこで保育スタッフがご自宅にうかがってお子さんを看病する、自宅訪問型の病児保育を始めたんです。初年度の利用会員は数十人だったのが、今では6000人を超え、累計の利用件数は5万件超となっています。

 

フローレンスホームページより)

 

 

大人気の「訪問型病児保育+小児科医往診サービス」。ママドクターの社会復帰も。

 

 

――訪問型病児保育では2012年から、保育スタッフに加えて小児科医が往診を行うサービスも始まっていますね。

 

 

はい。訪問型病児保育に医師の往診をプラスしたのは世界でも初めての試みで、大変好評をいただいています。これには2つの意味がありました。1つはもちろん、お子さんの体調急変への対応です。訪問型病児保育でも、お預かり前にかかりつけ医の診察は受けていただいていますが、子供の体調が1日安定しているとは限りません。

 

 

 

もう1つは、ママドクターの社会復帰です。もともとフローレンスはスタッフの「働き方」にも高い関心と意識を持ち、自ら改革に取り組んできました。そんな中、専門分野で活躍している女医さんも、妊娠・出産というライフイベントによって、キャリアを中断せざるを得ない、という話を利用会員の女医の方から聞いたのです。

 

 

小さな子供を持つ女医さんは、宿直や夜勤ができないため、多くは出産前に勤めていた病院をやめねばなりません。妊娠が分かったとたん、医局で「いつ辞めるの?」と聞かれた、という女医さんもいました。そして数年間、子育てに専念するか、健診などの短時間で済むアルバイトをこなし、いざ子育てを終えても現場復帰は簡単ではありません日進月歩の医療の世界では、数年のブランクは小さくないからです。

 

 

病児保育現場への往診なら、日中の短い時間で、それでも現場医療に携われます。手術などもなく、万が一自身の子供の急用ができても休める体制を組んでおけばいい。子育て中の女医さんでも働ける環境を整えられることに気づいたのです。今では4~5人の女医さんに参加していただいています。

 

 

コンサルに反対されたママドクターの時短クリニックも、親身の対応が評判に。

 

 

――昨年10月には、「マーガレットこどもクリニック」も開設されました。どんな経緯で医療機関の経営に乗り出されたのでしょうか?

 

 

子育て中の女医さんにも、往診だけでなく、やはり働く「場」が必要だと感じ、時短クリニックを作ろうと考えました。一般的なクリニックの診療時間は9~19時、間に3時間ほどの休みが入ります。でも、それでは帰宅時間が遅すぎ、子育て中の女医さんには無理です。そこで、9時半~16時半で中休みは1時間、としたのです。当初コンサルの方には「それではお客さん(患者さん)を逃します」と、反対にあいました(笑)。

 

マーガレットこどもクリニックホームページより)

 

 

たしかに、普通の小児科だったら経営的には難しかったでしょう。しかし、渋谷区初となる病児保育室に併設し、また、田中純子院長はじめ女医さんが、自らの子育て経験や専門知識を活かしてお母さんたちの子育て相談に乗っています。その親身な対応が評判で、お陰様で順調に1周年を迎えました。

 

 

そうした女医の皆さんとの出会いがあったからこそ、クリニック開設に踏み切ったとも言えます。

 

後編へ続く

 

駒崎弘樹(こまざき・ひろき)

認定NPO法人フローレンス 代表理事

詳しいプロフィールはこちら

 

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